小松 和弘(経営コンサルタント)- Q&A回答「FCで経験を積んでから独立するのもひとつの方法です」 - 専門家プロファイル

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コマツ カズヒロ
( 東京都 / 経営コンサルタント )
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フランチャイズを選択した際のメリット・デメリット

法人・ビジネス 独立開業 2007/09/19 12:00

 昔から経営者になることに憧れを抱いておりまして、いつか必ず起業をしたいと考えてそのための勉強や貯蓄に励んでいます。また業界としては飲食店を開業したいと考えております。

 その場合にお聞きしたいのですが、「経営者になりたい」「自分の考えで店舗を運営したい」という目的での起業を考えた際に、FCチェーンで飲食店を開業することは妥当でしょうか。もちろんゼロからスタートしたい気持ちが強くありますが、家族もおり、リスクはできるだけ小さくしてはじめたいと考えております。

 起業して飲食店を開業する際に、フランチャイズチェーンを選択した場合のメリットやデメリットなど、お教えいただければと思い質問をさせていただきました。よろしくお願いいたします。

織箪さん ( 福井県 / 男性 / 29歳 )

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経営コンサルタント

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FCで経験を積んでから独立するのもひとつの方法です

2017/08/07 01:12

■ 0. はじめに
織箪さん、こんにちは。
飲食店を開業するにあたり、フランチャイズチェーン(以下、FC)に加盟するのが良いか、自分で独立するのが良いか検討されているようですね。確かにどちらの方法にも一長一短あります。そこで、まずは一般的なメリット・デメリットについて説明させて頂きます。
その上で、織箪さんにとってどちらを選択するのがよいのか助言させて頂きます。

■ 1. FC のメリット
一般的に FC に加盟することで得られるメリットには以下のようなものが挙げられます。

(a) その業界の知識や経験がない場合でも容易に開業でき、経営者となれる。
(b) 本部が持つ経営(仕入れ、調理、接客、宣伝など)に関するノウハウや指導を受けられるので、成功の可能性が高い。
(c) 本部が持つ商標を使用でき、そのブランド力を営業に活かせる。
(d) 本部が開発した新商品や販売促進ツールの提供を受けられるので、経営者は店舗経営に専念できる。
(e) 本部が行なうマーケティング活動により、ブランド認知や集客の向上が図れる。
(f) 仕入れに関するスケールメリットが働き、豊富な種類の商品を低コストで得やすい。
(g) 必要な設備(ハード、ソフト)が確立されており、自分で独立する場合に比べ初期投資を最小限に抑えられる。
(h) FC の信頼性により、自分で独立する場合よりも銀行からの融資を受けやすい。
(i) FC によっては「暖簾分け制度」があり、FC 脱退後も同じブランドを継続使用できる場合がある。

■ 2. FC のデメリット
一方、FC に加盟することのデメリットとして、以下のようなものが挙げられます。

(a) 店舗の経営状況に関わらずロイヤリティの支払いが必要なことがある。
(b) 本部または他の加盟店舗の不祥事などによりブランドが毀損した場合に営業に大きな影響が出やすい。
(c) 商品開発、運営方法、仕入先などは FC 本部の意向が優先されやすく、経営者のオリジナリティを出したり、店舗ごとの柔軟な対応することが制限される。
(d) 仕入れコストに本部の利益やデリバリーコストが加算され、割高になることもある。
(e) 本部が持つノウハウやサポート力について、本当に競争力があるものかどうかは契約しないと分からない。
(f) 契約期間があり、期間途中で FC を脱退するには違約金が発生する。
(g) 競業避止義務があり、FC 脱退後に独立しにくい (詳細は後述します)。

上記では数多く存在するメリット・デメリットのうち代表的なものを説明させて頂きました。
この他にも様々な観点があり、下記サイトに詳しくまとまっていますので、参考までに紹介させて頂きます。是非一度ご覧頂下さい。
https://www.fc-hikaku.net/franchises/2080#anchor1

■ 3. 織箪さんへのご提案
頂いた相談内容から織箪さんの想いを整理すると以下の通りかと思います。

・経営者になりたい
・自分の考えで店舗を運営したい
・ゼロからスタートしたい
・その一方、家族がいるのでリスクは小さくしたい

ご自身のチャレンジしたい気持ちと家族のためにリスクを抑えたい気持ちの両方をお持ちのようです。FC に加盟すると経営者の創意工夫が制限される場合があるので、ご自身の考えで店舗経営するには独立する方が適しています。一方 FC 加盟する方が、本部からノウハウや各種支援を受けられるので、リスクを小さくすることができます。織箪さんにとってどちらが適しているかを判断するのは非常に難しい問題です。ここでは相談内容で伺っている点から判断し、ひとつの案を提示させて頂きます。

織箪さんの場合、経営者になるために以前から色々と勉強されているようですが、まだ実際の飲食店経営の経験はないものと推測します。そのことを考慮すると、まずは FC に加盟し、実際の飲食店経営を通して知識・経験を積んでいくのが良い方法かと思います。その後、FC を継続しても良いですが、FC のままでは経営者が持つ裁量の範囲が限定的なので本当にやりたいことができない可能性もあります。もしご自分のオリジナリティを反映させたお店にしたいとの想いが強ければ FC から脱退し、独立するのもひとつの方法かと考えます。

■ 4. FC を選択する際の注意点
FC に加盟すると決められた場合、どの FC を選択するかが重要になります。FC 募集している企業は多くありますので、その選択の際には下記のような点に気をつけて下さい。事前に確認しておくことで成功する可能性を高めることが可能となります。

・初期投資(加盟金、研修費、設備費、販促費 etc)が小さい。
・ロイヤリティの比率(%)や金額が小さい。
・経営指導、マニュアル、サポート体制がしっかりしている。
・商品・商品開発に競争力がある。
・経営者の裁量に幅がある(自由度が高い)。

FC 加盟で失敗する要因のひとつとして「高いロイヤリティ」があります。ロイヤリティ額の設定方法には、一般に下記 3 つの方式かあります。

・粗利分配方式 : 粗利金額に対して一定の割合(%)を本部に支払う
・売上歩合方式 : 売上金額に対して一定の割合(%)を本部に支払う
・定額方式 : 粗利金額や売上金額に関係なく、決められた一定の金額を支払う

それぞれ一長一短がありますが、飲食店の場合は「売上歩合方式」を採用しているケースが多く、5% 前後が相場となっています。
この方式でご注意頂きたい点は、割合が売上げにかかるため、材料費や人件費などの経費を差し引いた後に利益が出ていない場合でもロイヤリティが発生することです。そのため、損益分岐点となる売上高が通常よりも増えることになります。また、FC 店舗の収益性に関係なく売上高のみがロイヤリティの基準になるため、本部側はFC 店舗の利益よりも売上げ重視の戦略を取ることもあります。そのため、ご自身できちんと経営判断することが大切になります。

また、将来 FC から脱退し、独立する際に問題になりやすいのが、FC 契約に含まれる「競業避止義務(競業禁止)条項」です。これは、FC 脱退後に同じ地域で同種の営業を
行ってはならないという条項です。細かい条件は FC ごとに異なるので、承諾できる内容か契約前に確認するようにして下さい。もし契約に違反すると、営業差止め請求や損害賠償請求を受ける場合もありますので、ご注意下さい。

■ 5. まとめ
FC に加盟することのメリット・デメリット、注意点などを説明させて頂きました。
FC に加盟するかしないかに関わらず独立する場合には、少なからずご家族の協力も必要になってきます。そのため、ご家族の方とも十分に相談した上で、織箪さんの夢が実現できる方法を選んで下さい。

織箪さんの成功を祈念しております。

以上です。

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