堀江 健一(恋愛恐怖症・心の問題カウンセラー)- コラム「舞台パタリロ1 漫画の実写化の難しさ」 - 専門家プロファイル

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舞台パタリロ1 漫画の実写化の難しさ

- good

恋愛心理 不安 2017-01-05 11:10

舞台パタリロ 2016年紀伊国屋ホール


魔夜峰央先生が原作の傑作少女コミックギャグマンガがついに舞台化されました。


私が高校生の頃連載が始まり、アニメ化もされ、「だ~れが殺した、クックロービン~!」と言う決まりのギャグで「クックロビン音頭」まで作られ、一世を風靡したのですから、ざっと37年位前の漫画です。

しかもまだ連載が続いているようで、もう少しでコミックが100巻と言うのですから驚異的な長寿漫画でもあります。


この昭和の、懐かしいと言ってもいい様なパタリロが今、舞台化されたのには、大きく二つの理由があるようです。
①1983年から3回に渡って「花とゆめ」に掲載された、魔夜峰央先生の短編漫画「翔んで埼玉」と言う埼玉と埼玉県人を徹底的にネタにしたギャグ漫画が、2016年になってネットなどで話題になり、魔夜先生が再ブレークしたこと。


②パタリロのキャラクターにぴったりな加藤諒君という逸材が、テレビのバラエティなどでブレークし、話題にもなったこと。


この加藤諒君の発掘(?)により、はじめてパタリロの舞台化が現実のものになったのだそうです。


舞台化されるに当たり、主人公のパタリロを初め、いかに原作の登場人物達のキャラをビジュアル的に重視したかがわかります。


ほとんど原作のイメージ通りといって良いでしょう。




さて原作をご存じない方のために、ざっと人物紹介を書いて見ます。


パタリロ 

マリネラ国のわずか10歳の王様 天才科学者で発明家。金にがめつくい守銭奴で小銭が大好き!多重人格者でもある。
タイムワープが出来る異能力者でもあります。もうなんでもあり。


バンコラン 

華麗なるイギリスMI-6の男性諜報部員。美少年キラーの異名を持つ美少年好きのプレイボーイ。クール(冗談など言わない)で現実主義(オカルトなど信じない)の射撃の名手。


マライヒ 

マリネラ国から産出されるダイヤモンドの販売ルートを乗っ取ろうとする悪の結社・国際ダイヤモンド輸出機構の美少年暗殺者。

パタリロの命を狙うが、後に改心し、と言うかバンコランに惚れてしまい、彼の恋人となる。が、いつもバンコランに浮気され、焼きもちを焼く羽目になる。


タマネギ軍団 

20代から30代で構成される国王付きの武官チーム。

マリネラではエリートとされているが、薄給の上に何かにつけパタリロのおもちゃとして弄ばれ、酷い目に会うこととなる。

何百人といるようだが、舞台上では4人登場。



これだけでも、楽しそうなドタバタコメディの雰囲気は伝わるものではないでしょうか?


今で言うボーイズラブの元祖。いまだにファンの方も多いようです。


ストーリーも色んなパターンがあって、スパイものあり、SFネタあり、ホラーあり本格推理ものあり、なぜか作者の趣味で江戸時代の時代物あり、妖怪ものありと非常にバラエティにとんでおります。


今回の舞台では、パタリロがまだ王位に着く前に、ある秘密の目的がありイギリスにやって来て、バンコランと出会い、警護をされ、国際ダイヤモンド輸出機構のワナにはまり、危機を脱するアクション的な展開。


ついで、マリネラで王様が崩御され、パタリロが戴冠式を行うイベントに、マライヒが報道陣を装って暗殺しようと会場に爆弾しかけ、バンコランに阻まれるも恋仲になるラブコメ展開の2本立てです。



さて演者のクオリティはすごいのですが、原作では炸裂する肝心のギャグが、舞台ではあまり炸裂しません。


なぜでしょうか?


考えてみれば当たり前です。


ギャグと言っても、漫画的表現だからこそ面白いタイプのギャグが多いのです。


例えば、前のコマまでは普通の会話をしていたパタリロが、次のコマで突っ込む時に、急に
服装がやくざ風の腹巻に、サングラスを掛けて角刈りになって「なんやと~!?」とすごんだり


背景が海になって大波が荒れ狂ったり、


突然身体より大きい小槌を出してタマネギを叩いたり、刀を出して切りつけたり、


現実の舞台でそれを表現しようと思ったら、かなり大掛かりなイリュージョンでも駆使しない限り、無理なギャグなのですね。


では何のために舞台にまでして、ウリを何にするのでしょう?


少し、心配しました。


何となく「吉本新喜劇」みたいになるのかなとか。
出演者個人の持ちネタを披露しつつ全体のストーリーが進むような形式です。
吉本新喜劇も好きなので、それはそれで良いのですが。


そうしたら、なんとミュージカル仕立てになっているではありませんか!


脚本は、ドラマ「トリック」や「サラリーマン・ネオ」で役者として本人も出演している「イケテツ」の愛称がある池田鉄洋さんです。


池田さんもきっと原作を読み込んで苦労されたことでしょう。

特にギャグをどう入れて笑わせるか。


ミュージカルにしたのは成功だったように思います。


個人的には、パタリロよりも、タマネギ達4人が、自己紹介しつつ観客と絡む、半ばアドリブのようなシーンがとても笑えました。

舞台の楽しみは、やはりアドリブですね。


そして何より出演している俳優人が、加藤さん以外(失礼!)全員美しい青年なのも舞台としては楽しいですね。


原作の中にもマリネラ中の美少年を集めて構成される「ツタカズラ歌劇団」と言う、あの劇団のパロディの話が出てくるのですが、大変華やかな感じがします。


特にマライヒ役の佐奈宏紀さんがとても可愛らしい!
マライヒは可愛らしいキャラではあるのですが、顔はやや釣り目で、きつい印象のあるキャラなのですが、佐奈さんはどちらかと言うとタレ目で、やさしそうで可愛らしい。


そんな少し原作とは違うマライヒの魅力が楽しめたら良いなと思ったり致します。


チケットも全部売り切れ、追加公演までされたようですし、早くも第2弾が2018年の春に決定し、DVDの発売もされるそうです。


エンディングではキャストが促したので、観客全員がスタンディングオベーションで拍手しました。


観劇したのは中日くらいでしたが加藤さんは少し、不安感じている様子でした。


何しろブレークしてまだ間もないことで、主役をこなした経験も少ないので無理もないことでしょう。
また、原作のファンが舞台にも来てくれる事は予想が付きますが、それは原作のファンであって、必ずしも自分のファンとは限りません。
きっとパタリロのファンの方を、パタリロを自分が演じることで、がっかりさせたくないとの思いもあったのでしょう。
アンコールの時に、「(バンコラン役の)青木玄徳さんのファンの方、手を上げてみてくださ~い」
「佐奈宏紀さんのファンの方、手を上げてみてくださ~い」
と手を上げさせ、次に自分のファンの方がどれほどいてくれるのか聞こうと思ったのでしょう。


が、青木さんに「墓穴掘るから止めときな」と笑いを取りつつ止められていました。

きっと聞いていたとしても、観客全員が手を上げたことでしょうけれど。


最後のアンコールでは観客から「パパンがパン」と掛け声がかかり、みんなでクックロビンをやって終わりました。




小説のドラマ化、映画化はよくあるものです。


最近は日本でもハリウッドでも漫画が原作の実写化がとても多く作られていますね。
そして話題にもなります。
すでに漫画の時点で一定数のファンがいるのですから、制作側としてはそれをドラマ化、映画化、実写化すればある程度の興行収入が見込めるので、経済的な意味で設けが出るからお金を投資しやすいと言う事もあるのでしょう。


しかし実際作品化されたものには常に「原作と比べられる」と言う宿命が待っています。
そして実際大抵は酷評されたり、批判されてしまう意見が多くでるものです。


監督を初めとするスタッフやキャストの皆さんは、どうしてもすでにいるファンの目を気にして作る事にはなるでしょう。


ファンの期待が重くのしかかっても無理はありません。


原作のファンにも喜んで観てもらえるものを作りたい。
続編を作るにしても(映画や漫画の実写化とかに限らず)、一作目より二作目はより良いものを作りたい。


そうしたプレッシャーを抱えながら人の期待に応えるのは、誰にとっても喜びでもあるでしょうが、辛いことでもあるでしょう。


エンターテインメントや芸術、スポーツに関わる様な人でなくても、普通の私たちでも
親からの期待
学校の先生や、部活のコーチ、職場の上司の期待
恋人からの期待
などなど。

次回はそうした人の期待に応えるプレッシャーの事など書いてみたいと思います。
 





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