堀江 健一
ホリエ ケンイチグループ
LABYRINTH OF UNDERCOVER 1 クリエイティブな子供の感受性
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UNDERCOVERは、デザイナーの高橋盾(じゅん)さんが学生時代に立ち上げ、1994年秋冬シーズンに東京コレクションデビュー、2003年春夏以降はパリコレクションでファッションショウを発表しているファッションブランドです。
創立25周年の今年、新宿のオペラシティアートギャラリーにて2015年10月10日から12月23日(水)まで、「LABYRINTH OF UNDERCOVER」と題する展覧会が開かれます。
複雑に絡み合うUNDERCOVERの多面的なクリエイションを紹介するものです。
25年間のファッションショウの映像や、ショウで披露された洋服の展示、絵画、創作メモなどで構成されています。
つまり、洋服、靴、帽子、バックなどのファッションを、アートとして展示する展覧会なのです。
毎年発表されるファッションには、それぞれ一貫したテーマがあり、そのイメージに即した世界観で、洋服が作られていきます。
ちなみに2015年の秋冬では「Evil clown」(悪のピエロ)と言うテーマで、ピエロを題材に華やかなショウが行われたようです。
創作メモを見てみると、口の中をモチーフにデザイン画が描かれていたりします。
「ここが歯」「歯茎のところはピンク」「素材はなになに」とか。
たまにまるで落書きのように戦隊物のヒーローや怪人のような絵も描かれていたりします。
それを観て思ったのですが、この高橋さんと言う方は、良い意味でまるで「小学生くらいの子供」の感性を今でも持ち続けておられる方なのだろうなぁと言う事です。実際落書きされたヒーローの姿を基に、そのままの等身大のオブジェなども作ってしまわれ、会場に展示してありました。
ご本人のコメントにも言いも悪いもわからず、ただ浮かび上がってきたものを頼りに創作してきた。私の創作するものはすべて歪んでいる。と言うようなことが書かれていました。
誰の心の中にも、多かれ少なかれ、子供の部分が生き続けていると思っていますが、やはりアーティストとして成功している方は、ここまでそうしたチャイルドのセンスがそのまま残っていると言うのは驚愕します。
また、その発想をクオリティの高い作品として具現化するというのも並大抵な才能ではないのでしょう。
小さい頃、ウルトラマンやツチノコ、こっくりさんなど熱狂的に夢中になったものです。
勝手に想像した「怪人」や「宇宙人」の絵も、アイデアが尽きることなく、いくらでも時間を忘れて描いたりしていました。
しかし、30歳になる頃には、「なんで子供の頃は、あんなにこっくりさんとか夢中になれていたんだろう。今は夢中になれるものなんてないよなぁ」と、寂しい気持ちがしていました。
大人になると酒を飲む事くらいしか楽しみが無かったりすると、ほんと悲しくなりますよね。
日々生きることで、目の前のことしか考えられなくなって来るのかと思います。頭が合理的になって来るとも言えるでしょう。
「昨日は魚を食べたから、今日は肉にしよう。野菜も不足している。だからメニューは何にしたら健康的だろうか?
牛肉は高いから、豚肉か?
いや鶏肉が割引されているから、鶏肉を使った料理にしよう。
胸肉ともも肉、どっちにしようかな?
胸肉の方が安いけど、脂分が少なくてパサパサした感じであんまり好きじゃないんだよね。
でも健康のためには胸肉にしておいた方がいいかなぁ?和風?
洋風?
中華風?
最近は和風が続いたから、たまには中華にしようかしら?
でも中華は油を沢山使うから、ダイエットには良くないよね。
やっぱり鍋かな?
でも鍋となると色々食材が必要になるから、お金がかかるかな?
あ~段々迷ってきた。一体何が食べたいんだろう私は?」
合理的に考えて「正しい正解」を出そうとすればするほど、比較検討する項目が増えて、一つ一つ決断していかなければならないため、余計答えがわからなくなってしまったり、決めるのに時間がかかってしまったり、検討しすぎで頭も疲れ果てます。
そう言う意味では、子供の頃は「今日は何が食べたい?」なんて聞かれたら大抵カレーかハンバーグか焼きそばとか、好きなものがシンプルに思い浮かんだように思います。
ある意味、毎日ハンバーグでも言いと思えるくらい選択肢がシンプルだったのでしょうね。
無邪気にシンプルに感情で思考できるのは子供の特権と言えるのではないでしょうか?
デザイナーの高橋さんはブランドの代表として、経営的なお金のことなど考えたりするのでしょうか?
素材にはシルクを使いたいけど、シルクを使ったら原価が高くなるから、販売した時にあまり売れないんじゃないだろうか?
シーズンの初めなら高くても買ってくれるお客さんがいるかもしれないけど、今の時期は中途半端だし、ボーナス時期でもないし・・・。
ヘタすると、セール時期まで売れ残ってしまうかもしれない。
じゃぁ合成繊維で価格を抑えておこうか?
なんて。
おそらく考えないんじゃないかなぁ。きっと。
でもそうした戦略的な事も考えてくれる人がいないと経営は成り立たないような気もします。
子供の無邪気な発想と、大人の合理的な計算は同時にはなかなか成り立たないものかと思いますから、高橋さんにはきっと優秀な大人のパートナーが付いてくれているのかも知れません。
続く
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