堀江 健一(恋愛恐怖症・心の問題カウンセラー)- コラム「呪怨 1 呪われた人が死ぬのは、怨念のせいか?それとも偶然なのか?」 - 専門家プロファイル

堀江 健一
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堀江 健一

ホリエ ケンイチ
( 東京都 / 恋愛恐怖症・心の問題カウンセラー )
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呪怨 1 呪われた人が死ぬのは、怨念のせいか?それとも偶然なのか?

- good

恋愛心理 自己受容 2015-07-29 10:12

呪怨 劇場版1作目

映画
「インターステラー」
を題材に
「共時性(シンクロニシティ)」
と言う現象について、ブログで書いていますが、その番外編です。



「共時性」とは、偶然とは思えない様な、意味ある偶然な出来事が起こることです。

連続して同時に起こった2つの出来ごとには、なんら因果律的(原因があって結果があるようなこと)な繋がりが無いのに、関連性があるようにしか思えないような出来ごとのことです。

心理学者ユング博士が提唱しました。

私も、少し学術本を読みながら、ブログで紹介しているのですが、そんな中、私の生活の中でもまた共時性と思われる出来事が起こります。
何か気晴らしに小説でも読もうと思い、図書館で何の気なしに一冊の本が目に留まり、借りてみました。
小野不由美さんの「残穢(ざんえ)」と言う本でした。

小野さんは「屍鬼」と言う漫画やアニメにもなったホラー小説の原作者です。

「屍鬼」は、とある小都市で起こる怪奇譚で、連続して自宅で変死する人が、加速度的に増えていきます。

謎の伝染病なのか?
単なる偶然なのか?
主人公の一人である医師も、その解明を急ぎます。

そうしているうちに死んだはずの死者たちが、街を徘徊しているのが目撃されるようになります。

ネタを明かすと、最近村に越してきた館の一族が、実は吸血鬼で、
彼らに襲われた人は、衰弱して行き、一旦は死んでしまいますが、
土葬にされた後、よみがえり、
再び村の知人を襲って吸血鬼の仲間を一人ずつ増やしていたのです。


ストーリだけを書いてしまうと単純なようですが、じわじわと村が恐怖に包まれていく過程の人間関係や心理が綿密に描かれており、秀逸な力作だと思います。


そんな事もあり、
「夏近いしなぁ。ちょっと怖い小説でも読んでみるか」
と、内容もまったく知らずに借りたのですが、その内容に「共時性」が絡んで来たので、
私も思わず、その本を借りた事に「偶然ではない、意味ある偶然」を感じてしまったのです。
「残穢(ざんえ)」。
穢(けがれ)が残ると言う意味です。
何の事か、始めはさっぱりわかりませんよね。

主人公は怪奇譚も書く小説家です。
早い話、小野不由美さんご本人をイメージさせます。その小説家の下に、ある日久保さんと言うファンから手紙が届きます。

「私の住んでいるマンションは、フローリングなのですが、なぜか畳の上を何かが、サラッサラッと擦れるような音がします。ある日、ふとその音がする方を見ると、一瞬ですが金襴緞子の帯がスッと動くのが見えてしまいました。怪談と言うほどの出来事ではないのですが、少し怖かったです」というものでした。

そうしたちょっと怖い話が書かれている手紙がファンから、よく届くのだそうですが、ふと、同じ内容の手紙を読んだような記憶がありその手紙を探してみると、久保さんが住んでいるマンションの上の階に住んでいる人からだったことが分かりました。

その手紙の主Aさんに連絡を取ろうとしましたがすでに引越しされてしまった後でした。

久保さんは、近所の方の情報で、自分の前に部屋に住んでいたBさんが、近所の家電量販店に勤めていた事を聞き、お店に訪ねていきますが、すでに亡くなられてしまっていました。
ですが住所だけは聞き、アパートの大家さんを訪ねます。



そこでアパートの大家さんに聞いたのは、

Bさんが首を吊って自殺してしまったこと、

なにやら子供のことで、すごく神経質になっていたらしいこと、

そのアパートの周辺には子供など住んでおらず、大家さんも不審に思っていたこと、

床下で人の気配がすることも気にしていたこと

Bさんの前の住人には、アパートでそのような怪談めいたことはなかったことなどです。




畳のすれる音、縊死(首吊り自殺)、そして子供。
それらになにか関係性があるのか?情報収集は続きます。



宅配便業者を通じて、Aさんの所在がわかり、話を聞くと、

やはり畳の擦れる音に悩まされたこと、

久保さんが住んでいる隣にある6件の分譲住宅地が集まった区画にも、「分譲であるにも関わらず、すぐに売りに出されたりする人がいつかない家が2件ほどある事実がわかります。


さらにその部屋を売って引っ越していった行った人に話を聞くと、

夜中に目を覚ますと和服の中年女性が首を吊って天井からぶら下がっている幽霊を見たということでした。
これで、畳の擦れる音が、長い帯であり、その帯で首を吊って自殺した女性が、関連しているのではないかと推理ができます。


そして、さらに昭和の時代、久保さんのマンションと、住宅地が建つ前は、何件かの住宅があり、
ある一軒では家一杯にゴミを溜めて住んでいた住人が孤独死していたこと、

ある一軒では、息子さんが突然失踪して、行方不明になってしまった家があること、

またある一軒では、娘さんが嫁を嫁に出したその日に、お母さんが披露宴の着物を着たまま、帯で首を吊って自殺してしまったこと
などがわかります。


さらに、お母さんが自殺した家の知人の話を聞いてみると、

どうやら実家を出て、都会で暮らしていた娘さんが、どこかの男性の子供を身ごもってしまい、
それを無理やり堕胎させて、
素性のしっかりした嫁ぎ先を決めて嫁がせてしまったのではないかと思われること、

そう推理するのは、娘さんが実家に帰ってきてから、そのお母さんが、人には見えないのに
「赤ちゃんが壁から沸いてくる」
と言う幻覚を見るようになって、神経が衰弱して行ったからと言うものでした。



これで、話がつながった。と久保さんも小説家も思いました。



赤ちゃんを無理におろさせたお母さんが、罪悪感からか、赤ちゃんの幻覚を見るようになり、
娘の嫁入りの当日に縊死し、そのお母さんが自縛霊にでもなってしまったのだろうと。





ところが、お話はそれだけでは終わりません。



さらにお寺の住職さんなど、昔の事を知る人に話を聞いていくと、
その住宅街の前には、大きな工場と、その工場で働く人たちの住む長屋があり、工場が火事で焼けてしまう事件があり、死亡者などいなかったにも関わらず、出火後、何人分もの薄気味の悪い黒い影のような姿が目撃されたと言う話しがあったこと

その長屋に住む夫婦者の住人の家や軒下から、奥さんが出産した後に、育てられずに殺されて埋められたと思われる、少なくとも10人もの赤ちゃんの骨が発見されると言う事件があったことなどが判明していきます。






つまり、過去をさかのぼって追跡していくにつれ、今に至るまでに、
どんどんおぞましい事件が積み重なるように起き、
怪談話も累積しているのではないか?
との仮説に至ります。


もともとの原因になった最初の事件は、一体なんなのか?


この小説は、主人公達自身が恐ろしい目に会うのではなく、
淡々と過去に起こった事件を辿って取材をしていくという「フェイク・ルポルタージュ」スタイルのストーリーです。

あくまでジャーナリストかのように、客観的に物事を捉え、冷静に分析しながら取材(聞き取り)を行っていきます。
作者の小野不由美さんは、インタービューで
「実話とフィクションの間くらいの話です」
と答えられているようです。
実際の事件や、実在する人物も作中には登場して来ます。






ここで言いたいのは、この話が事実かフィクションか?

幽霊や自縛霊の存在は本当にあるのかどうか?

ということではありません。



それは置いておいても、ある土地で、ある事件が起きて、それに関連があるように感じられてしまうような新たな事件が連鎖するように起きるという事実はあるのかも知れません。

残念ながら自分で調べたわけではないのですが。

そうした現象も、共時性と言えるものではないかと思ったわけです。

本文の中でも、小説家である主人公自ら、「こうした現象に意味を見出すために、ユングは共時性という理論まで考え出さなければならなかったのだ」と述べています。




さて、この「残穢」のストーリーを読んで、ホラー映画がお好きな人は、
清水崇監督・脚本による「呪怨」を思い浮かべられた方も多いかと思います。

作中でも、呪怨との関連性について述べられています。

呪怨の簡単なストーリーを言いますと、劇場版の第一作目では、

主人公である介護ヘルパーの女性(演・奥名恵さん)が、利用者である老婆と、息子夫婦が住むとある家に介護をしに来ます。

そこで、不気味な全身白塗りの奇妙な子供を見かけます。

そんな事件を皮切りに、若夫婦とその老婆、若夫婦の夫の妹、その家に訪ねてきた同僚の介護士などが、どんどん変死する事件が起きて生きます。

奥名さんは、警察から、以前、その家に住んでいた家族の夫が無理心中を図り、妻をカッターナイフで殺害し、まだ幼い息子がいまだに行方不明であることを知らせれ、
自分が見かけた奇妙な子供が、その行方不明の子供であることがわかります。

そしてそれ以後も、過去の心中事件を起こした家族に関係ある人物や、その人物の家族達が、まるで伝染病が感染でもするように、次々と謎の変
を遂げていき、
最期は、主人公までも不幸な最期を遂げると言う話です。





一言で要約すれば、強い恨みを抱いて死んだモノの呪い。
それは、死んだモノが生前に接していた場所に蓄積され、「業」となる。
その呪いに触れたモノは命を失い、新たな呪いが生まれる

というテーマのホラー作品です。



これまで、ビデオ版2作と劇場版が2作あり、それらはつながっており、
ビデオ作品では、なぜおぞましい心中事件が起きたのかなどが描かれているようです。

そしてこの夏「呪怨ーザ・ファイナルー」が公開されます。監督は従来の清水監督ではない様ですが、感染する「呪い」「祟り」は防ぐことが出来るのでしょうか?

実は、私はとても怖がりで、あまりホラー映画を見ることがありません。ですので、この呪怨シリーズもあるのは知っていましたが、知っているのは例の「ブリーフを履いた白塗りの子供」のヴィジュアルくらいで、ストーリーも何も知りませんでした。
もちろん2015年の夏に、新作映画が公開される事も知りませんでした。

ところが、この「残穢」を読み始める直前に、たまたまテレビの番組表を見ていたら、「呪怨ー劇場版ー(2003年公開)」が衛星放送で放映されるようだったので、深く考えずに、ちょっと観てみようかと録画予約してあったのです。

本当にたまたま。
普段は観ないようなホラー映画なのに。


「共時性」について考えていたら、次々と偶然とは思えないつながりのある事象が起こったとしか言いようがありません。
「単なる偶然とは思えないような、意味ある偶然」である共時性の働きを感じます。

そこにどんな意味があるのか?

今の私にはまだわかりませんが、こうした「祟り」というような現象も、共時性の一環として語れる事も出来るのではないか?と言う示唆をもらったようには思います。


そしてそんな意味ある偶然を司っているのは、
一般的には「神」と呼ばれる存在がまず頭に浮かびます。

「呪怨」の世界では、
「人の抱く怨念である。人はそれを呪いと呼ぶ」
という解釈ができるのかも知れません。


「インターステラー」の世界では、
「時間をさかのぼることができるトンネル」を作り上げた、遠い未来の人類である」
と言う解釈であるように思えます。


「残穢」世界では、
「それが何かは結局わからないが、確かに意味ある偶然が起こる現象が観測されている」
ということが描かれているように思います。



共時性を語る上で、怪談話を持ち出しては、余計に非科学な印象を与えてしまう事に成りかねませんが、
「祟り」「呪い」という現象も、科学的に考えて見ると、何か見えていなかった解釈が出来る可能性もあるかもと思い、紹介してみました。
暑い夏ですし・・・



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