山本 雅暁(経営コンサルタント)- コラム「日経記事;『EV化で進む車のデジタル開発、助っ人は新興企業』に関する考察」 - 専門家プロファイル

山本 雅暁
起業・企業存続の為の経営戦略立案・実行と、ビジネススキル向上

山本 雅暁

ヤマモト マサアキ
( 神奈川県 / 経営コンサルタント )
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
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日経記事;『EV化で進む車のデジタル開発、助っ人は新興企業』に関する考察

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経営コンサルタントの活動 アライアンス(連携・提携)支援 2018-09-23 11:45

皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

9月23日付の日経新聞(電子版)に、『EV化で進む車のデジタル開発、助っ人は新興企業』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の一部抜粋(冒頭部分)は、以下の通りです。

『自動車開発の世界で、スタートアップ企業が存在感を増している。きっかけは電動化や自動運転に対応した効率的な開発・設計手法「モデルベース開発」(MBD)の広がりだ。業界で不足するデジタル技術のノウハウをスタートアップが補い、大企業との連携も広がる。「ケイレツ」があり新規参入が難しいとされた業界の姿は過去のものになりつつある。。。』

私がこの記事に関心をもったのは、今までの自動車業界の仕事のやり方に大きな影響を与える動きについて書いていることです。

私は、大手AVメーカーに勤務していたときに、新規事業立上のため、多くのITベンチャーやITベンダーとの協業・連携(アライアンス)を行っていました。

ほとんどのITベンチャーやITベンダーは、アメリカのシリコンバレーやサンフランシスコに拠点をもっていました。

我々は、当時これらのITベンチャーと、イコールパートナーシップで新技術・新商品の開発・実用化を行っていました。

まだ、オープンイノベーションという言葉が、一般的に使われていない時期から、実質的な協業・連携(アライアンス)をイコールパートナーシップで実行していました。

イコールパートナーシップで実行することは、事業規模や設立時期などに関係なく、完全な水平分業方式で新規事業立上を行うやり方になります。

協業・連携(アライアンス)を有効に行うために、ITベンチャーに出資したり、場合によっては、当該ベンチャーをM&Aで買収したりしました。

しかし、ほとんどの場合、新規事業立上に関するプロジェクトごとのイコールパートナーシップで実行する連携・協業(アライアンス)でした。

これは、当時、私が勤務していた会社は、主要事業基盤がアナログ技術からデジタル技術への大きな変革時期にあり、既存事業基盤が急速に破壊・再構築されつつある状況下にありました。

当時、私の勤務していた会社を含めて、多くの国内AVメーカーは、デジタル技術のノウハウ蓄積がなく、プログラマーなどのIT技術者もいませんでした。

必然的に、我々は、アメリカのITベンチャーやITベンダーと、連携・協業(アライアンス)して、急激な事業環境変化状況下で、新規事業立上を行う必要に迫られていました。

当時の経営陣の中には、この急激な事業環境変化を理解しない、あるいは理解できないで、アナログ技術を中心とした既存事業基盤を強化して対抗するやり方を主張していた人もおり、たびたび足を引っ張られた記憶があります。

一方で、インターネット・ITが行っていた既存事業基盤の破壊・再構築の速度が速く、既存事業基盤に軸を置いた経営のリスクも明確化されていきました。

その結果、我々は、上記連携・協業(アライアンス)を思い切って行うことができるようになりました。

自動車産業は、自動運転機能付EVの開発・実用化という、今までの経験やノウハウ蓄積が、ほとんど役に立たない事業環境変化に直面しています。

この事業環境変化は、かって国内のAVメーカーが直面したものと同じです。

もし既存の自動車メーカーが、今までのやり方に固執して、自動車の開発・実用化を行えば、必ず失敗します。

トヨタ、ホンダ、日産などの国内自動車メーカーは、この事業環境変化に対応しないと、廃業に追い込まれるリスクを明確に認識していると考えています。

日経の上記記事にありますホンダグループのケーヒンが、ITベンチャーである設計受託のプログレス・テクノロジーズと連携・協業(アライアンス)して、自動車技術の共同開発を行っている事例が紹介されています。

これは、今後の自動運転機能付EVの開発・実用化は、デジタル技術が無いと実現できないことであり、多くの自動車関連メーカーには、そのようなデジタル技術をもっていないことを示しています。

トヨタは、2~3年前にアメリカのシリコンバレーに巨額投資して、大型のデジタル技術の開発拠点を作りました。

また、トヨタは、積極的に投資して、ITや人工知能(AI)・IOT技術を取り入れています。

しかし、トヨタがどんなに巨額投資して、ITや人工知能(AI)・IOT技術を取り入れても、1社単独で競争力のある自動運転機能付EVの開発・実用化を行うことは、不可能です。

それは、米国の大手ITベンダーであるグーグル、アップル、アマゾンなどが、積極的なM&Aや他企業との協業・連携(アライアンス)を行って、EVの開発・実用化を行っていることにあります。

これらのIT企業ベンダーは、決してトヨタのような自動車メーカーになる積りはありません。

彼らは、自動運転機能付EVを、動くインターネット・IT端末機器としてとらえています。

つまり、自動運転機能付EVが広がれば、インターネット・IT端末機器が増えて、より一層自社の事業基盤が拡大・強化されると考えているのです。

しかも、今後、自動車は所有から共有に変化する予測も出されています。

このような急激な事業環境変化の下で、トヨタなどの国内自動車メーカーが世界市場で戦っていくためには、自前のノウハウややり方に固執せず、柔軟に他企業と連携・協業(アライアンス)を組んで、相手がベンチャーであろうとも、「Win/Win」の関係を築くやり方で行うことが、ベストのやり方になります。

私は、自分の支援先企業の協業・連携(アライアンス)活動を積極的にサポートしています。

相手企業には、中堅・大手企業が入ってくることがあります。イコールパートナーシップで実行する協業・連携(アライアンス)を行えない、中堅・大手企業とはチームを組みません。

「Win/Win」の関係が構築できない、相手先との協業・連携(アライアンス)は、期待した成果がでないことによります。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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