大園 エリカ(クラシックバレエ教師・振付家)- コラム「今までに無い、ちょっと不思議で怪奇的な匂いのする「くるみ割り人形」でした ①」 - 専門家プロファイル

大園 エリカ
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大園 エリカ

オオソノ エリカ
( 東京都 / クラシックバレエ教師・振付家 )
舞踊家(クラシックバレエ) 元プロバレリーナ
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今までに無い、ちょっと不思議で怪奇的な匂いのする「くるみ割り人形」でした ①

- good

2016-09-05 06:00

先日のコラム「彼らの情熱的なライブは、何故か私にフラメンコを連想させる!(日本人には珍しいスケール感!~☆彡)」の中で、余談としてお話ししていた様に、私は先月31日に世界的指揮者の西本智実さんが芸術監督・演出・指揮される「くるみ割り人形」の舞台を友人と観に行って参りました。

☆_(_☆_)_☆

 

今回の演出は、これまで定番の「子供の為のファンタジーバレエ」として演出されたものとは違い、今までには無かったホフマンの原作に忠実な、ちょっと幻想的な新演出のバレエ「くるみ割り人形」という事で話題を呼んでおりましたので、とても興味深く拝見させて頂きました。

(^^✿

 

 (※参考までに、そのコラムで私が今回の「くるみ割り人形」の紹介をしていた部分デス♫)

 

     ↓    ↓    ↓

 

…あ、そう言えば、最近興味が無くなりトンとご無沙汰の(私の本業の?笑)バレエの舞台なのですが、今月最後の日に(今の私には珍しく!? 笑)バレエの公演を友人と観に行きます。

 

演目は、普段だったら絶対自分からは好んで観に行かないであろう"お子様向けファンタジー・バレエ「くるみ割り人形」"なのですが、(しかも今は、とっても季節外れな演目ですし~)

 

今回の「くるみ割り人形」の舞台は、普段上演されるお決まりの古典のものとは趣向がかなり変わっていて、歴史の中で、どうも政治的な思惑等からカットされてしまったという箇所にスポットを当て、ホフマンの原作に忠実に描かれるとの事で、「お、これは大人向けのくるみ割り人形かな?」とちょっと興味を持ったのですね。

 

ホフマンの原作を読むと、古典バレエに多い「甘い夢の世界のファンタジー」とは全然違う、とてもミステリアスで奇怪なストーリーであり、

 

そして私には(これは通常の古典のバージョンでも有名な演出にもなっているのですが)、不思議でちょっと怪しいキャラクターであるドロッセルマイヤーおじさんが「片目」である事(これ、知っている人にはピン!と来るはず!笑)や、

 

又「歴史の中で、演出上政治的に削られた部分」という所は何なのか?というのが、今回非常に私の興味がソソられる部分なのでありますね~。(笑)

 

そして今回の舞台の芸術監督・演出・指揮が、ホワイトハウスやヴァチカンでもオーケストラの指揮をされた経験を持つという、世界的指揮者の西本智実さんが担当されておられるというのも大きな話題になっています。

 

ちなみに彼女は、ホワイトハウスやヴァチカンでオーケストラの指揮をされた時の印象として「全くの別世界を感じた」という事をインタビューで語られてもおりますし、それも"知っている者"には非常に興味が湧いて参りますよね~。(笑)

\(◎o◎)/~✿

 

参考までに、今回の「くるみ割り人形」制作に当たって、彼女が語られている部分を、彼女のブログからご紹介させて頂きます♫

 

 ↓    ↓    ↓

「西本智実さんのブログ」より

今回、私の演出は

★ホフマン原作の “くるみ割り人形とネズミの王様”
★デュマ作の  “ハシバミ割り人形”

から、欠落したエピソードを再び盛り込み、又それらが生まれた時代背景から創造した演出をしています。

これまで制作しましたバレエ“ロメオとジュリエッタ”や“白鳥の湖”同様に、音楽とバレエが有機的に結び付ける舞台を創りたいと思っています。

 

2幕は、日本では“お菓子の国”とだけ表記される事がほとんどですが、

デュマ氏の“コンフィチュランブール 魔法の宮殿”という表記を復活させます。 

 

“くるみ割り人形”はとても奥深い作品。

単なる“クリスマスイヴに少女が見た夢の話”では到底片付けられない と、長年の想いもありました。

具体的に演出の構想を始めたのは、 約10年前にアメリカのホワイトハウスに招かれた時の経験からです。 

 

 “ドラジェ”役は日本では“金平糖の精”と訳されていますが、(原作では)ドラジェと金平糖は違いますよね。
( ̄ロ ̄;)
 

それに、ドラジェの背景としてヨーロッパの結婚式などで配られるお菓子でもあり、豊穣も意味します。

今回は原作に忠実に“ドラジェ”としてのキャラクターです。
(^ー゜)ノ




 

以上、転載文でした♫

☆_(_☆_)_☆

 

これを読むと、何だか「陰謀説」を突き詰めた所には必ず付いて回る「〇〇崇拝」の匂いがプ~ンと漂っては来ませんか~?(笑)

ちなみに私が勝手に赤字にした部分でピーンと来られた方は、かなりの通の方達であるとお見受け致します!(笑)

(^^ゞ

反対に「一体何のこっちゃ???」とチンプンカンプンな方は、この世の真の成り立ち「教科書では決して教わらない人類の歴史」とか、そこから発生している陰の支配者達のパワーの源と言われる、古代からの宗教や神道などに纏わる儀式などに繋がって来る「悪魔崇拝」の事を勉強したり、

 

又は「らっきーデタラメ放送局」を観たりして、楽しくこの世の隠された真実を勉強されると良いでしょう♫(笑)

✿_(_✿_)_✿

 

 ↓   ↓   ↓

 

「らっきーデタラメ放送局」
 https://www.youtube.com/user/reginaxrico

 

私自身も、まだまだ知らない事がこの世にはいっぱい!デス。

きっと私達の想像以上にブッ飛んでる(下品で失礼♫)真実の未知の世界は、私達の気付かない所で密か~に長~~~い時間をかけて、そこかしこに広がっているのでア~ル♫

\(◎o◎)/~☆彡

 

そして私が思うに、これ等を理解するのに不可欠になるのが「目に見えないものを感じられる」という、"右脳でものを視る = アーティスティカルな㋱"という感性の眼なのだと思います♫

( ・・) ~ ☆彡☆彡☆彡

 

とにかく、この新演出の「くるみ割り人形」を観てみないと何とも言えませんが、この舞台の演出をされる西本智実さんが、果たしてどこまでこの世の成り立ちの真相を理解しているかで、今回の改訂作品の深みが違って来る様な気が私はしています。

( ・・)~☆彡 or ★彡 ???

 

 (※転載ここまで)

 

 

さて、ではここからは、実際に生の舞台を拝見させて頂いた感想を述べさせて頂きましょう♫

(*^^*) ~ ✿

 

まず、今回の「くるみ割り人形」は、通常のファンタジーバレエの様に「何の予備知識が無くても楽しめる」というものとは違い、ホフマン&デュマの元々の原作と共に、今回演出をされた西本智実さんの意図するものが解説されたプログラムの内容を予め知っていなければ、「一体何を表現しているのだろう?」という部分がかなり多く、人によってはかなり分かりづらい演出であるという事です。

 

私は拝見する前から「今回のプログラムから予備知識を事前に読んで頭に入れていた方が、より楽しめる」と感じていたので、かなり余裕を持って友人と少し早めに劇場に入り、プログラムを読もうと思っていましたが、久しぶりに会ったバレエ学校時代の友人とランチでお喋りに花が咲きまくり(笑)、それでも一応余裕を持って客席には着いたものの、お互いプログラムの全てを読む事ができないまま幕が上がってしまいました。あは♫

(^^;

 

でもこれは「何も先入観を持たずに、まず観てみる♫」という事に繋がるという流れでしたので、逆に「自分試しの謎解き」の様な感覚で観る事ができ、これも又非常に楽しい有意義な鑑賞の時間になりました♫

(^^♫

 

実際拝見して私が感じた事ですが、この舞台は「解説を読んでいても、良く分からない」という方も、実際は結構多かったのではないか?という事です。

 

つまり、この舞台を深く理解するには「2元性」に対する理解は勿論、東洋の知恵である「陰陽」や「神道」の理念や哲学を知っていなければ、深い理解には繋がらないだろうなぁ!という事を、実際観てみて私は感じたのでした。

(※参考コラムこの世は二元的思考がお好き !?)

 

個人的に、私はこういう深みを感じさせてくれる趣向のものは大好き♡ですから、この舞台はかなり頭を使いましたが、或る意味めっちゃ楽めました♫

( ・・) ~ ☆彡

 

まず、一番最初のキーワードは、原作では「クリスマス・イブ」としてしか想定されていない所を、西本さんは「1804年のクリスマス・イブ」という設定にしている所です。そしてそのヒントが「1789年に起きたフランス革命」にあるとしています。

 

ログラムを拝見すると、彼女はその頃の不安定な時代と、現在のこの世界に共通するものに「混沌とした空気感」というものがあると捉えていらっしゃる事からの様です。

 

そして奇怪で摩訶不思議な設定として、「招かれた客人たち」が、時空を超えた色々な時代の、色々な国の貴族達として集うという事(その中には、原作者であるホフマンとデュマの夫人達も招かれているとの事)や、「ドッペルゲンガー」という、自分とそっくりの分身、或いは同じ人物が同時に別の場所に姿を現すという、やはりこちらも時空を超えて現れる不思議現象を物語の一つの軸にしている所が、実に独特な演出です。

 

そして又キーワードとして、モーツァルトの歌劇「魔笛」に登場する「理性・叡智・自然」という3つの門からヒントを得たという、主人公マリー(クララ)の3つの試練としての

 

★火の試練 (誠実)

★水の試練 (忍耐)

★沈黙の試練 (沈黙)

 

という、彼女独特の構想も実に意味深ですし、

 

又、冬でも枯れる事のない"もみの木"には「多産豊穣」の願いが込められており、そこに「あらゆる命はやがて尽きるとも、その代わりに新しい命が生まれて来るもの」という死生観を感じる事から、「クリスマスツリーの中に入って行く」という演出に拘ったそうです。(※原作は「洋服箪笥にかけてあった父親のオーバーの袖を通って行く」とされています)

 

そしてクリスマスパーティーの場面で感じられたのは、片目のドロッセルマイヤーが、通常の演出では登場しないドロッセルマイヤーの甥と共に(※これは、若かりし頃のドロッセルマイヤー自身とも捉えられるというのも時空を超えた発想です)、皆からは気付かれていないけれど、その場を魔術で支配しているのは彼であるという演出です。(← 私の解釈)

 

途中、唐突で奇怪な場面の一つとして印象深かったのは、貴族の男性の一人がドロッセルマイヤーの甥に何故か「尻尾」を付けられて、突然人が変わりヒステリックに豹変するという場面。

 

私はここの場面は、神道の「憑依現象 (代表的なものに"狐憑き"がありますね~。その他は狸とか蛇や天狗など)」をダブらせて観ておりました。(※ここでは人間の持つ二面性や、何者かに自分の肉体を乗っ取られ、支配コントロールされている自分に気付けていない人間というものが演出されていると私は思いました)

(^^;

 

そして通常では、一幕で「七つの頭を持ったネズミの王様」が率いるネズミ達と、「くるみ割り人形」率いるおもちゃの兵隊達の有名な戦いのシーンがあるのですが、

 

今回はそれが「招かれた客人の大人達と子供達の戦い」になっている所に、私はいつの時代にも「大人と子供」或いは「親子」としての普遍的な問題や確執、或いは人間の持つ「優しさと厳しさ」「温かさと冷淡さ」という様な二面性(二元的)を、ここでも感じ取る事ができました。

 

ちなみに、この場面が「大人と子供の戦い」になっている事に気付けなかった観客の方もいらしたのではないかと私は思います。(私の友人がそうでした!この「くるみ…」の舞台は、注意深く観ていないと見逃してしまう場面が沢山ある舞台だと思います)

(^^;

 

又、一幕のクライマックスの最後の有名な「雪」のシーンでは、雪の女王がマリーに「水の試練を与える」とあり、そこには「人間界と自然」「現実と幻想」「生と死の狭間」といった"二面性"や"二元性"というものが表現されています。(※今回の演出では西本さんは「雪の女王」に"母性"というイメージを与えて演出された様です。母性の中の優しさと厳しさという二面性を、この場面で表しておられるのでしょう)

 

何故、雪の女王が「水の試練」なのか?というのも(これは私の解釈ですが)、「雪」というのは「水」にもなり、「水」は「雪」にもなるという事からではないかと思います。(雪は、暖かい家がある場合はロマンティックに感じたりしますが、厳しい自然界では、時に"死に至る"という厳しい面も持ちます)

 

これは形は違えど「元は同じもの」であるという事でもあり、又「タオイズム」で語られる"水"というものへの変幻自在な存在という、深い解釈にも通ずるものを私は個人的に感じます。

 

 

 

…と、ここまで一幕の解説と感想を述べて参りましたが、

今回の「くるみ…」は、やはり内容が物凄~~~く濃厚なので、二幕の解説と感想は次回のコラムで改めて…という事に致します。(内容が深いと、結構書くのがヘビ~でもあります!? 笑)

(◎_◎;)

 

(次回へ続く♫)

 

 

 

 

 

今回の「くるみ割り人形」のプログラム~♫デス!

(^^♫

 

 

 

 

 

 

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