池見 浩(消費生活アドバイザー)- コラム「退去時の費用で損しない!賃貸住宅の住まい方と知識2」 - 専門家プロファイル

池見 浩
消費生活の専門家が消費者教育・啓発や消費者志向経営をサポート

池見 浩

イケミ ヒロシ
( 東京都 / 消費生活アドバイザー )
消費者考動研究所 代表
Q&A回答への評価:
4.4/10件
サービス:0件
Q&A:31件
コラム:65件
写真:0件
お気軽にお問い合わせください
※ご質問・相談はもちろん、見積もりや具体的な仕事依頼まで、お気軽にお問い合わせください。
印刷画面へ
専門家への個別相談、仕事の依頼、見積の請求などは、こちらからお気軽にお問い合わせください。
問い合わせ
専門家への取材依頼、執筆や講演の依頼などは、こちらからお問い合わせください。
取材の依頼

退去時の費用で損しない!賃貸住宅の住まい方と知識2

- good

消費者力をUPする!暮らしのお役立ちワンポイント 住まいのお役立ち情報 2018-03-20 21:17

(その1の続き)

借りて住む人の重要キーワード その2 善管注意義務(ぜんかんちゅういぎむ)を果たす

賃貸住宅を借りて住む人には、入居してから退去するまでの間、法律上、その住宅を綺麗な状態に保ち、注意深く使用・管理する義務=善管注意義務があります。これを怠った場合、怠った部分については退去時に原状回復費用を負担しなければなりません。


3.きちんと掃除し、メンテナンスを行うどこまで掃除すればいいの?

一般的には、常識的に通常の掃除している状態までと言われています。でもわかりにくいですね。。。
具体的には、次のようなことが挙げられます。

日々の片づけ、掃除機掛けや壁・床・天井の拭き掃除キッチン・洗面・浴室の掃除やカビ防止対策玄関やベランダ・バルコニーの掃除、窓や網戸の拭き掃除、その他エアコンなど元々備え付けられている物を綺麗な状態に保つことが大切です。


借りている人が行わなければいけないメンテナンスって?

元々備え付けられている設備を良い情態に保つために必要な、点検や整備です。
具体的には、次のような内容です。

・室内に湿気がこもらないように、時折窓を開けて換気する
・電気・ガス・水道などの業者さんが行う定期点検を必ず受ける
・水回りの配水管にごみや油、食べ物を流さない。時々、配水管洗浄剤を使って目詰まりを防ぐ
・備え付けのエアコンがある場合は、フィルターを定期的に掃除する

掃除もメンテナンスも、賃貸・持ち家に関係なく、誰もが気持ち良く生活するために通常行っている内容ばかり。まして賃貸住宅は、大家さんの大事な資産。自分の持ち家以上に気を配りましょう。


4.問題・不具合が発生したら、貸主側にすぐ連絡・相談する

賃貸住宅で修繕が必要になった場合の費用負担について、国土交通省「賃貸住宅の原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では次のような考え方が示されています。

・借主の過失・故意によって生じた場合…借主負担
・経年劣化や、借主の過失・故意以外の原因によるもの…貸主負担
・電球の交換や障子の貼り替えなど、日常生活で簡単に行われているような、原状回復に影響の無い軽微なもの…借主負担

例えば、「子どもが落書きした壁の汚れ」や「フィルターの掃除をサボっていて壊れたエアコンの修理」などは借りている人の負担です。逆に、「長年使ってきた網戸が自然に壊れた」「給湯設備のお湯が出ない」など、借主が善管注意義務を尽くしても発生した修理費用は貸主負担になります。

ところで、自分が傷つけた時や雨漏りなど修繕が必要な場合、借りている人はどうすればいいのでしょうか。答えは、原因はどうであれ、「わかった時点ですぐ貸主側に連絡・相談する」です。(③の軽微なものに該当する場合は不要です)
貸主側の人は、実際に住んでいる借主から連絡が無ければ、問題の発生や不具合を知ることも修繕することもできません。

借りている人の中には、「どうせ退去する時にクリーニングやリフォームするから、その時に言えば一緒でしょ?!」と考えている方がいらっしゃいます。でもそれは大間違い!! 時間が経つと、同じ材料や部品が手配できなかったり、修理する度合いがひどくなったりして、高額な修繕費が必要になります。

「トラブルを知りながら連絡しなかった」となると、借主の善管注意義務違反となり、その修繕費用は報告しなかった借主負担になります。十分注意してください。

なお、「不具合を連絡したけれど直してくれない」「連絡していたのに、貸主側は聞いていないと言って費用を請求してきた」のようなトラブルの相談も時々あります。こうしたトラブルを防ぐには、電話だけでなく手紙やメールなど形が残る伝達方法も使って連絡し、やり取りした内容の記録を残しましょう。

借主から報告・連絡を受けて、実際に直すかどうかは大家さんの判断次第です。しかし貸主には、借主が安全に暮らせる環境を提供する義務があります。日常生活に困る不具合が発生して依頼しても、貸主側が対応しない場合は、借主の費用立替払いで修理し、後日大家さんに請求することが可能です。

但し、自分で修理業者を依頼する時は、必ず数社から相見積もりを取りましょう。
発注したい業者の候補が決まったら、発注する前に業者の見積書を貸主側に送り、「この内容で代金を立て替えて修理します。修理終了後請求書を送りますので、〇月〇日までにお支払いください」と事前通知するとトラブル回避に役立ちます。更に、修繕箇所のビフォー・アフターの状態を必ず日付入りで撮影し、証拠として保存しましょう。

(その3に続く)


プロフィール評価・口コミ対応業務経歴・実績連絡先・アクセスQ&Aコラム