藤森 哲也(不動産コンサルタント)- Q&A回答「買取業者の選定について」 - 専門家プロファイル

藤森 哲也
将来必要なお金を把握せずに、家を買うのって怖くないですか?

藤森 哲也

フジモリ テツヤ
( 不動産コンサルタント )
株式会社アドキャスト 代表取締役
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空き家の買取について

住宅・不動産 不動産売買 2017/04/11 08:59

こんにちは。
N.Eです。

実家が空き家になっていて、処分しようか考えています。

築40年経過しており、外壁も塗装する必要性がでてきたので、建物を維持するのがきつくなってきました。

実家は山形にあり結構な田舎です。

はじめ不動産会社に仲介で依頼しようとしたら、田舎のせいかその場所だと1年以上かかるかもと言われ、
そんなに待つこともできないので買取をお願いすることに決めました。

そこでネット上にある一括見積もりを利用して数社から連絡がありました。

築40年以上たっているし現状のまま売ることを考えていたので、ある程度金額が安くなるのは覚悟していましたが、数社とも査定金額にばらつきがあり何を基準に選んだら良いのかさっぱりわかりません。

査定金額がたかいところもあれば、低いところもありました。


・買取業者を選ぶには、何を基準に選べば良いのか詳しく教えてほしいです。

・買取価格になぜばらつきがあるか理由が知りたいです。

・買取価格をあげることは可能なのでしょうか?(上げる方法があって、できる範囲であれば実践したいと思います。)

この3点をできるだけ詳しく教えてほしいです。

専門家の皆様のアドバイスがあると大変嬉しいです。

お忙しい中、大変お手数お掛けしますがどうぞ宜しくお願いいたします。

N.Eさん ( 東京都 / 女性 / 36歳 )

藤森 哲也 専門家

藤森 哲也
不動産コンサルタント

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買取業者の選定について

2017/04/15 17:32
( 5 .0)

不動産コンサルティング会社、アドキャストの藤森と申します。

ご質問いただきました件ですが、N.E様のおっしゃる通り、

買取業者の査定では、同じ物件の査定であるにも関わらず、

その金額にはバラつきがでます。


理由としては様々で、各社の査定基準によることや、その担当者や

業者が販売を得意としているエリア、物件の種類(マンションや戸建てなど)、

また、単に相場観がない為、慎重さゆえ低く査定しすぎてしまったり、

逆に、差益がでないのは?と思うほど高く買い取ってしまう業者もいます。



売却の販売活動を依頼する業者でしたら、媒介をもらう目的で、

売れるであろう価格を高めに話し、売却依頼を促してくることも

多々ありますが、今回は買取ってくれる金額が明確な買取査定ですので、

同じ契約条件下でしたら、一番高い値段で買い取ってくれる業者を

選ぶことが自然かと思います。



尚、他の方の回答にもご座いましたが、売却する際の契約条件は

非常に重要となります。

瑕疵担保責任は、宅建業者は一定期間(引渡しから2年など)の間に、

問題が発覚すれば売主に補修義務が生じたり、契約が解除されること

もあります。

品確法などが施行されてからは、十中八九、建築時に地盤改良をするように

なりましたが、この金額が思ったより高いと瑕疵担保責任として数百万、

数千万の地盤改良費を瑕疵担保責任として売主負担となる判例もございます。



この瑕疵担保責任は売主が個人であれば免責する特約も有効となります。
※宅建業者の売主は免責とする特約を付けても無効となります。


買取業者は、再販時にそのような瑕疵や費用負担を負わないよう、

N.E様との契約に瑕疵担保責任を2~3ヶ月程度設定し、その期間内に

地盤調査や土壌調査、接道状況、地中埋設物などを調査を行うことが

考えられます。

問題発覚や、撤去解消しなければならないものが発見されれば、

N.E様に瑕疵の責任(費用負担など)を請求してくるようになります。

N.E様の利益を第一に考えれば、この責任を免責にする契約条件は

必須かと思います。



また、これら費用負担の注意点として、瑕疵担保責任は免責としていても、

売主(N.E様)負担で地盤調査を行い、改良の必要があれば売主(N.E様)負担で

改良工事を完了させ引渡すなど、履行すべき事項やその費用負担を、予め契約内で

義務付けられている場合です。

こういった事項は他かにも色々なのものがあり、、また、分かりづらい言い回しでの

説明となっていることも多いです。




一番高い査定額で売却しても、その中から費用負担が発生すれば、

実際に売れた金額は手元に残った残金ということになります。

それが他の査定額より低い金額になるようであれば、単に査定額だけでなく、

そのような状況を生むリスクや、責任を回避できる条件で契約をできるのかも

業者選びの要因の一つかと思います。





尚、N.E様に関しては万一紛争が生じた際の、管轄裁判所も契約条件上では重要です。

不動産取引にかかわる訴訟の場合、多くは「物件所在地を管轄する裁判所」を

売主、買主合意の裁判所としています。

つまり、トラブルが生じ裁判をする場合、東京から山形まで出廷することになり、

万一、裁判となったときに交通費だけでも大変な出費や手間となりますし、

そのことが紛争相手の強みにもなってしまうリスクがあります。


訴訟を提起する場合の管轄裁判所は、お互いの合意がないときは、原則として

被告の住所地を管轄する裁判所となりますが、「売主(N.E様)の所在地を管轄する

裁判所」という取決めに設定することも可能です。


現況のまま買取り、瑕疵担保責任のような請求をする気が然程ない業者でしたら、

瑕疵担保免責、売主所在地の裁判所あたりは応じてくれるのではないでしょうか。




こういった、契約条件の中でN.E様の負担となる費用はどの程度あるのか、

買取価格からそれらを負担した場合の手残りは幾らなのかといった試算、

将来的な費用負担・時間的な拘束のリスクはどの程度回避されているか、

それらが生じた場合に対応できる内容・状況なのか、トータルでの選定が

大切です。


契約する際の内容が、N.E様にどの程度不利な設定となっているかについては、

有料になりますが当社の契約書チェックをご利用いただけると、リスクを

回避する契約条件の提案などができるかと思います。

http://www.ad-cast.co.jp/purchase/contract-check/





最後に、値段をあげるには地道に交渉することや、大手だけでなく、

地元の不動産会社などにも査定をお願いしてみることです。

地元の不動産会社ですと、その地域で探している顧客を多く抱えている

可能性が高く、販売力や相場観がある業者ほど、値段交渉の余地が大きいと

考えられます。

また、大手不動産会社がわるいという訳ではなく、大手から地元業者に買取って

もらう場合も多いので、直接N.E様から買い取るときには発生しない費用が、

地元業者に発生したり、大手側は地元業者の買取価格より当然安価での買取に

なるといった事情が生じる可能性もあるからです。

流通の状況は一概に判断できませんから、大手や都内の業者だけでなく、

地元の業者も数社あたることをお勧めします。



N.E様の安心・安全な不動産売却に役立つアドバイスとなれば幸いです。



以上、ご参考になりましたでしょうか。

アドキャスト:http://ad-cast.co.jp/  藤森哲也

評価・お礼

N.E さん

2017/04/18 14:16

藤森様

こんにちは、N,Eです。

質問に回答くださってありがとうございました。
また、ご連絡が遅くなりましてすみません。

かなり詳しく内容を教えてくださりとても感謝しています。

たくさん情報をいただけて利用して良かったです。
本当に助かりました。

瑕疵保険についてもよく理解できましたので、是非参考にさせていただきます。

買取業者の選び方から、値段の上げ方についても参考になりました。

実家の売却活動に生かしていきたいと思います。

ありがとうございました。

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