藤森 哲也
フジモリ テツヤグループ
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不動産売買 トラブル相談例⑦【住環境の注意点:用途編③】
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周辺の用途地域を確認し、本地だけでなく周辺も含めた環境が望むものであるか、
十分に注意して確認しても、予想外の環境変化が起きる場合もあります。
それは、不動産などと用途地図を広げて一緒に確認し、プロからのアドバイスも
もらいながら検討しても見落とす注意点があります。
例えば、近くに大きな道路があり、道路から30mまでが商業系の地域、
本地は大きな道路から50mくらい離れており、大きな道路から50mも入ると、
幹線道路からの音もほとんど気にならないし、対面側も低層住居専用地域
という場合などです。
道路から30mまでが商業系用途地域、そこから50m離れている本地は、
対面側20m付近まで低層住居専用地域内なので、対面側に大きな工場などは
営業できないはずです。
但し、対面側は低層住居専用地域であっても、工場などを建てようとする敷地内が、
商業系地域と低層住居専用地域をまたいでいる場合があります。
用途境というものです。
用途境の場合、過半の用途を適用することになるので、例えば工場の土地が1000㎡あって、
その内600㎡が商業地域、400㎡が低層住居専用地域の場合、商業地域として
営業可能な、大きな工場などが建つ可能性は十分にあるということです。
商業地域という用途地域では、工場だけでなくカラオケ・パチンコ店・キャバレー
マージャン店なども営業でき、また、用途地域の中で唯一、個室付浴場といった
風俗店も営業できてしまうエリアなので、住宅地といった環境とは違ってきます。
また、数十メートル単位の範囲でなくても、注意しなくてはいけないエリアがあります。
例えば、「市街地再開発事業」や「特定街区」などと言われるエリアです。
これらのイメージは、周辺の住宅地に関係なく、大きな商業施設などが複合した
高層ビルがそびえ立っているようなイメージです。
特定街区内の建築物では建築基準法の規定にある容積率、建ぺい率、敷地面積の最低限度、
日影規制、道路斜線制限、隣地斜線制限、北側斜線制限等が適用除外となります。
結構離れた場所からでも、日陰がかかる可能性がでてきます。
このような地域地区の意味合いや周辺への影響は、ほとんどの業者や営業マンでも
理解していなかったり、意識できていないことが多いと思います。
近隣の建築計画概要書や、役所・都庁や県庁にある中高層建築物の標識設置届などで、
どういった建物を建築予定なのか確認できる場合もあります。
他にも、最新の住宅地図にある大きな白抜き部分から、大きな建物が建築される可能性を
予見できることもあると思いますが、若干、難しい取得資料・確認判断事項なので、
そういった突っ込んだ注意点をふまえた調査を、担当する不動産業者に要求して
みるのも、環境にこだわる方の良い買い方の一つかと思います。