対象:ペットの医療・健康
フレンチブルドッグ(オス・6歳)を飼っています。常に息がしずらく、特に暑い日などは苦しそうです。夜、寝ているときには無呼吸状態になったりもします。軟口蓋過長症の手術をうけさせようか考えているのですが、快く引き受けてくれる獣医さんが見つからず、また家族も不安であるために、ずるずると今日まできてしまいました。この手術の成功率や、なにか気をつけるべき点など教えていただければと思います。
おさんぽさん ( 栃木県 / 女性 / 29歳 )
回答:2件
軟口蓋過長症の手術効果
軟口蓋過長症の手術の是非についてですが、なかなか難しい問題です。
軟口蓋過長症の手術自体に関しては、この手術になれた先生なら、手術によって大きなトラブルが起きるということは基本的にはあまりなく、この手術だけの成功率で言うとそんなに失敗することはないと思います。
ただ、手術をして呼吸が改善するか、というとあまり変わらないことも多いです。
それはそのフレンチブルドッグの子が、はたして軟口蓋過長症のせいだけで呼吸困難が起きているかどうか、にかかわっています。
当院に通っているフレンチブルドッグの患者さんたちもやはり呼吸のトラブルは多く(これはパグやペキニーズなどの短頭種全般に、ですが)、この場合一つの原因だけで呼吸困難が起きていることはまれで、軟口蓋過長症だけでなく、鼻孔狭窄(鼻の穴が縦穴のように狭い形になっている)、気管虚脱(喉から肺までの空気の通り道が扁平化している)など複数の問題が併発している子が多いです。
そうすると軟口蓋過長症の手術をしても、ほかの呼吸器のトラブルのせいで改善がないケースも珍しくありません。
ですので手術をするかどうかを考えるときに、軟口蓋過長症以外の呼吸器の問題を他に持ってないかを十分調べておく必要があると思います。
また、短頭種は全身麻酔に対する危険性も他の犬種よりは高いと考えるべきですので、軟口蓋過長症の手術の危険性がどうというより、麻酔手術自身の危険性は考慮すべきです。
フレンチブルドッグの呼吸困難に関しては、ダイエットだけでかなり改善するケースも多いですし、もし手術をするにしてもベスト体重で臨むのが一番安全性が高くなります。
以前同じ問題で困っていた6歳のパグさんで、ダイエットだけで「いつもなら春あたりから口を開いて呼吸をしていたのが、今年は夏でも鼻で呼吸できてます」ととても喜んでらっしゃった患者さんがいます。
飼い主さん的にはベスト体重と思っても、実はぽっちゃりさんで、ということもよくありますので、それも含めて主治医の先生とよく話し合われてはいかがでしょう。
評価・お礼
おさんぽさん
ありがとうございました。軟口蓋の問題だけではない可能性がたかいということが、はじめてわかりました。家族と相談して、犬の年齢をふくめてどのような処置をとっていくのがいいのか、かんがえていきたいとおもいます。
回答専門家
- 沖田 将人
- (富山県 / 獣医)
- アレス動物医療センター センター長
地域に密着したワンランク上のホームドクターを
アレス(Alles)とはドイツ語で「あらゆること」を意味します。インフォームドコンセントの充実、年中無休、CTスキャナ導入など動物たちの幸せにつながることなら、飼い主様のあらゆる要望にお応えしたい。そんな願いを込めて診療に取り組んでいます。
Re:軟口蓋過長症について
質問の内容から短頭種症候群による、呼吸困難および睡眠時無呼吸症候群の状態であると考えられます。短頭種症候群の患者は4歳を超えると喉頭虚脱を起こし、ひどくなると咽頭虚脱も起こしていることがあります。虚脱とは内腔がへこんでしまい重度に狭くなること。この場合、軟口蓋切除だけでは改善が見られない場合が多く、永久気管瘻設置術(頚部腹側の皮膚に穴を開けて頚部気管をつなぎそこから一生呼吸をする)が適応となります。適応の判断と術後管理には気管支鏡と豊富な知識・技術が必要になりますので、大学や一次診療施設で呼吸器科のあるところを受診してください。短頭種症候群は時間がたてばたつほど悪化し、突然死のリスクや麻酔の危険性も増加しますので早めの受診をお勧めします。気を付けることと言えば、体重管理と、涼しい環境で興奮しないようにすることです。
評価・お礼
おさんぽさん
ありがとうございます。「永久気管瘻設置術」という方法があるのですね。
自宅は栃木県の宇都宮市で、受診のために都会にまででていくとしても、そのあいだの移動時間にたえられるかどうかも不安だったのです。
おしえていただいたことをふまえて今後どうしていくのがよいか、家族とはなしあいます。
(現在のポイント:24pt)
このQ&Aに類似したQ&A
表示中のコンテンツに関連する専門家サービスランキング