対象:人事労務・組織
お世話になっております。今回は人事評価の倫理的な質問をさせていただきます。
さっそくですが、企業が求める人物像に逆行するような思想信条を社員が持っていることが判った場合、それを理由にマイナス評価すべきなのでしょうか?やってはいけないような気がしますが、果たしてそれでよいのかというような事例が報道されました。
先日、長崎市の公立中学校の校長が児童ポルノを収集していたことがわかりました。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100322-OYT1T00626.htm
http://www.j-cast.com/2010/03/23062856.html?p=all
一瞬とんでもないことだとも思いがちですが、そもそも
* 児童ポルノの単純所持は合法です。
* 思想信条の自由は憲法で保障されています。(私人間ではどうか?)
しかしながら中学校の校長がロリコンというのは不都合です。そこでです。思想信条に関わることを理由に人事上の評価などをしてよいのでしょうか?特に業務上ではなく私的な事柄が発端になった場合は?また、特にマイナス評価といったことはできるのでしょうか?もっとも上記の校長は児童ポルノの収集以外に他に悪いことをしていたので、それを理由に処分されるでしょう。
上記の例は(身分を保証されている)公務員なので民間の場合をお尋ねします。企業が求める人物像に逆行するような思想信条を社員が持っていることが判った場合。また、業務上ではなく私的な事柄から判明した場合。更迭など人事上のマイナス評価をしても良いのでしょうか?ただし、その社員は思想信条は別として業務命令に従っているとします。
どうぞ、ご教示お願いいたします。
予断ですが、私はある幹部社員の更迭を性格面を理由に上司に進言したことがあります。進言はしても求めた訳ではありません。上司から相談されました。
Moriya, Tomoさん ( 東京都 / 男性 / 31歳 )
回答:1件
本田 和盛
経営コンサルタント
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思想信条を理由にマイナス評価
凄腕社労士 本田和盛です。
基本的に、思想・信条でマイナス評価をすることは許されないでしょう。
労基法3条でも労働の国籍。信条、社会的身分を理由とした労働条件での差別的取扱を禁止しています。ただこの場合の信条とは宗教や政治的信念であり、ロリコンであるとか列車マニアであるとかの趣味の次元の話ではありません。
では、趣味の次元の問題でマイナス評価されるかというとそうではありません。業務とは関係のないことでマイナス評価することは許されません。内心の自由というものが、憲法においても認められているからです。しかし昇進昇格の場面では、本人の適性というものが評価されるので、あまりに偏った性格傾向の人は昇進昇格からはずされます。これは内心の自由を侵害するものではなく、会社にとって管理職にふさわしくないと判断されたからです。
「企業が求める人物像に逆行するような思想信条」というのが、分かりにくいですが、学校におけるロリコン先生、企業におけるギャンブル大好き社員、環境関連会社のタバコポイ捨て常習者などであれば、昇進昇格においてマイナス評価されることはありえます。企業において、ある程度以上の役職にあるものが、企業イメージに合わない考え方を持つことで業務上支障が起きる場合があるからです。まず、部下のモチベーションは間違いなく下がります。取引先に知られると信用問題になります。企業としてはリスクを最大限避けたいわけです。
会社としては個人の内心の自由は尊重しますし、それで労働条件を下げることはあり得ませんが、昇進・昇格や配置では、「適性」を評価しますので、結果的に出世できなかったり、花形ではない職務に配置されることはあり得ます。
評価・お礼
Moriya, Tomoさん
ご回答ありがとうございます。ご回答ありがとうございます。「適正」とは便利な言葉ですね。人事関連の裁判のニュースを見ると、適正を理由にした人事で争われているようです。次回は適正についての質問をさせていただきます。
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