対象:企業法務
グループ会社と共同で出願し、特許を取得しました。発明者は自社のAと、自社に出向していたグループ社員のB(現在は、出向なし)、それからグループ会社のCです。現在、自社で製品を販売しているため、発明者への実施の報奨金が発生すると思っています。自社による実施ですが、グループ会社との共有特許ということもあり、社員Bと社員Cにも支払いたいと思いますが、自社から他社社員への支払いは可能でしょうか?また、もし社員Bと社員Cが報奨金の額に不満を言ってきた時には、自社とグループ会社のどちらで対応すれば良いでしょうか?宜しくお願い致します。
sato_satoさん ( 神奈川県 / 女性 / 29歳 )
回答:2件
出向者への発明報奨金の支払
1.特許を受ける権利は、発明者が原始取得し、会社が出願する場合、発明者から予め特許を受ける権利の譲渡を受けていなければなりません。
2.この様に考えると、特許が共有であり、発明者がそれぞれの特許権者の社員である場合、報奨金=対価は、特許権者である各企業がそれぞれの従業員に対して個別に負担するべきものと考えられます。
3.一方、A氏、B氏、C氏のうち、例えばA氏、B氏の所属する企業が共有特許権者で、C氏の所属する企業が特許権者ではない場合、A氏、B氏の所属する共有特許権者(共同出願人)が共同してC氏から特許を受ける権利を譲渡されていた必要がありますので、共有特許権者(共同出願人)が共同してC氏に対する報奨金を支払うべきものと考えます。
4.このため、特許権が共有に係るものである限り、「自社」単独で報奨金を負担するという必然性は無いように思います。
5.ただし、共有特許権者間の話し合いで、「自社」が全額負担すると合意した場合には、「自社」の報奨金規定に従って支払うことで、A氏との関係においても問題は生じないのではないか、と思います。
以上、簡単ですがご参考下さい。
評価・お礼
sato_satoさん
早速ご回答頂き、有難うございました。
回答専門家
- 間山 進也
- (弁理士)
- 特許業務法人エム・アイ・ピー 代表弁理士
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河野 英仁
弁理士
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出向と職務発明について
ご質問に対し以下のとおりご回答申し上げます。
2010年2月3日
河野特許事務所
弁理士 河野英仁
ご質問に対しご回答申し上げます。
原則として貴社とグループ会社間との間の取り決めに従います。取り決めがない場合、以下のように考えます。
(1)社員C
貴社から社員Cへの支払いは不要と考えます。社員Cはグループ会社の社員ですので、グループ会社の職務発明となり、グループ会社が、グループ会社内の職務発明規定に従い社員Cに報酬を支払うからです。
(2)社員B
出向の場合、社員Bの発明が貴社に属するか、グループ会社に属するかにより取り扱いが異なります。前者の場合、貴社がBに報酬を支払う必要がありますが、後者の場合Cと同じく、報酬の支払いは不要と考えます。
出向の場合、一般的に、給与の支払先が、出向元か、出向先かによって定めるべきと解されています。出向先の社員となって出向先から給料を受け取っている場合は、出向先の従業員と判断されます。この場合、出向先の職務発明となり、職務発明が出向先に属し、出向先である貴社がBに報酬を支払う必要があります。反対の場合は、出向元の職務発明となりますので、グループ会社の職務発明となりCと同様の取り扱いとなります。
ただし、研究開発の主体が給与支払い側に無いような特殊事情下におきましては、研究開発の主体側の職務発明になると解されています。
以上
評価・お礼
sato_satoさん
分かり易くご説明頂き、有難うございました。
(現在のポイント:-pt)
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