対象:住宅設計・構造
回答:6件
誰から報酬を貰うかが違います
大阪で設計事務所をしています。
建築士の立場の違いは、誰から給料を貰っているかと云う事で決まりす。
建築主から直接仕事を頂ければ、裁判の時依頼する弁護士の様な立場ですから、建築主が知り得ない建築知識を駆使して建築主の代わりに現場の監理に当たります。
工務店の社員である建築士や、工務店から仕事を貰っている建築士は、直接的には建築主から給料を貰っていません。建築士に限らず誰でもそうだと思いますが、人はお金をくれる人の云う事を聞きます。法の許す限り会社の利益を守ろうとするでしょう。
建築士は国家資格ですので、姉歯事件の当事者の様に法を犯してまで会社の云う事を聞く人間は滅多にいませんがあくまでも建築主の利益を守るのではありません。会社の利益を守るのです。それが間接的に建築主の利益と共通点が多いから問題が表面化せずにいるのです。
法的には満足しているが、建築主の事を思えばこうした方が良いと判っていても、それが会社の不利益になるのであれば、「問題ない」と判断するか「オプションになります」とか「追加費用を頂きます」と云う展開になるでしょう。
建築主が間接的にではあるにせよ、建築士の給料も払っていながら(見積もり項目にあるないに関わらず、建築士には設計料が払われている)建築主の立場に立ってくれない建築士のあり方って矛盾を感じませんか?
これは「設計」と「施工」を同一の会社が行う「設計施工」が法的に認められている事から発生する問題です。大げさな言い方をすれば、法整備が整っていない為の矛盾です。
姉歯事件の根本原因は建築士の能力不足や審査の甘さにあるのではありません。住まう人の立場に立たなくても、審査が通ってしまう現行制度に問題があるのです。
回答専門家
- 福味 健治
- (大阪府 / 建築家)
- 岡田一級建築士事務所
木造住宅が得意な建築家。
建築基準法だけでは、家の健全性は担保されません。木造住宅は伝統的に勘や経験で建てらていますが、昨今の地震被害は構造計算を無視している事が大きく影響しています。弊社は木造住宅も構造計算を行って設計しています。免震住宅も手掛けています。
福味 健治が提供する商品・サービス
住宅性能表示制度や長期優良住宅やエコポイントにも対応する、環境とお財布に優しい住まいの提案
ざっくりとですが
工務店に直接設計を依頼する場合は、設計費と確認申請代(手数料別途)で80万円ぐらいを計上しているところが多いようです。地域差もありますので一概に言えませんが、サービスという表記があったとしても、実際にはそれくらいの費用はかかっているでしょう。設計事務所の場合は、8%〜15%の設計料設定のところが多いです。2500万円の家だと、200万円〜375万円ぐらいです。15%ぐらいというのは、経費のかかる東京都心でかなり有名な大御所建築家の方で、一般の設計事務所の場合は、10%の250万円くらいが多いと思われます。工務店との差額が100数十万円というものが高いと思うかどうかは人によって違うでしょう。
それと設計事務所の建築士に依頼するメリットについてですが、メリットとデメリットの両方をお話しした方がフラットだと思いますのでお話ししますね。
メリット
・家を考える専門家、敷地の条件や要望の中から最適な間取りや空間、デザインを
造り上げてくれる
・建て主の代理人として工務店と話し合ってくれる
・数社の工務店に見積もり依頼を出すことで、適正価格で能力のある工務店を
見つけ出すことができる
・コストコントロールを責任もってしてくれる
・造りやすさではなく、住みやすさを主体に考えたり、その視点で現場でも
工務店と話をしてくれる
デメリット
・メリットにある能力をしっかりと発揮してくれる設計士に出会えない場合がある
・建て主の要望を聞かずに、自分の造りたい形に固執する場合がある
(建て主がその建築家のデザインに惚れている場合は別でしょう)
・家の予算が全く合わない設計をしてしまうことがある
など。どういった人に出会うかで大きく変わってくるのは確かです。このプロファイルなどを活用してしっくりくる人を探されるのも1つでしょう。
八納啓造 拝
回答専門家
- 八納 啓造
- (建築家)
- 株式会社G proportion アーキテクツ 代表取締役
世界で一つ「あなただけの幸せな住まい」を共に造りませんか?
私たちの考える家作りの大きな目的は「家族の絆や幸せが育まれること」。そこでこれまで家作りに成功した人たちの「家作りの知恵」をベースに家族が共通の思いを持ち、向き合える住まいをご提案。家族の思いをカタチにします。
八納 啓造が提供する商品・サービス
家づくり全般で分からないことがありましたらいつでもご相談ください
野平 史彦
建築家
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設計事務所の意味とは?
Xoxoxox様
まず、何故、設計事務所が存在するのか? ということを考えて見ましょう。
設計事務所の仕事とは、まず、次の様な事です。
1) 建築主の依頼に応じて、その敷地条件、要求条件、予算等を吟味し、設計提案を行ない、設計図書を作成する。
2) 工務店を選定し、見積書の内容を査定する。
3) 現場において間違った工事が行なわれていないか工事監理を行なう。
1) が最も主たる仕事ですが、2)、3)の業務には大きな意味があります。
と言うのは、工務店の建築士(あるいは、工務店が頼んだ設計事務所)では、そこから給料(仕事)を貰っている以上、2)、3)の業務を客観的に行なう事ができません。
即ち、設計事務所というのは、建築主から直接以来を受けて仕事をすることに意味があるのです。それは、設計事務所というのは「建て主の代理人」であり、「建て主の利益を守るために存在する」ものだからです。
設計という仕事は、物理的に物を作っている仕事ではないので、「設計料」という報酬を隠す術を持っていません。
人は誰しも「家」というモノにはお金を出しますが、「設計」という見えないモノにはお金を出したくないものです。それを分かっている工務店は、見えないモノはサービスと言って、ハナから客を欺いている訳です。
「建て主の利益を守る」設計事務所がそんなことをする訳にはいきませんよね?
勿論、もっともっと設計事務所に頼む事のメリットを力説したいところですが、それは、また他の方が書いてくれるだろうと思いますので、ここでは最低限、設計事務所というのは「建て主の利益を守る」ための報酬として「設計料」を頂いているのだ、ということだけお応えしておく事にしたいと思います。
志田 茂
建築家
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施主ブログ
志田茂建築設計事務所 志田です。
設計事務所とは・・・という事については、前のお二方のお話のとおりです。
追加的な事を書かせていただくとすると、、
住宅の場合特に・・設計事務所というのは、施主に対してのカウンセラー的な部分があります。
施主の疑問、難問、不安、希望、欲望・・・それらのひとつひとつを、解決し、取り除く という作業を、設計という行為の中で、しているのです。
金額の事や、建物の性能や、業者の事などなど、施主にとっては未知の事ばかりです。
私達は、設計料をいただき、建物を形にするだけでなく、施主の方とともにひとつひとつの問題をクリアーにしながら、一歩一歩、いっしょに進んでいきます。
しかし、それには、多大な時間も必要となります。設計から完成まで、1年はかかります。
それを、会社のように 利益率 という考えで判断すると、とてもじゃないけれど、同じ判断をできるようなものではありません。
沢山の時間を使っていちいち確認したり話をしていくのは メンドクサイ!うっとおしい!さっさと家を建てて住めればいい!という考えもあるでしょう。それも一つの道だと思います。・・・もちろん、そうお考えの人は、「設計事務所に」なんていう選択は、最初からないとは思いますが。。
++++
と、私達が、「設計事務所とは」を語るより、実際 設計事務所といっしょに家づくりをしている人の「施主ブログ」を読んでいただいたほうが、的をえているかもしれません。
補足
検索すれば、施主ブログ はたくさん出てくる事でしょう。
私の施主のブログをご紹介します。ご参考まで。
・ http://bike-garage.blogspot.com/
・ http://houseforone.seesaa.net/
田中 光一
工務店
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多少ご質問の趣旨とは異なりますが
建築(ここでは住宅と限定しますが)は夢を現実のものにすることのひとつです。
あなたの生き方に合った、心地よい空間の創造でなければなりません。
そのためには、あなたの思いをくみ取り、理解して、あなたのためのカタチを創れる専門家に出会うことです。
くみ取るというのは、あなたの思いを聞き取るだけでなく、専門家としてあなたの中に潜む思いをも引き出すことができるという意味で使っています。
建築士事務所であれ、工務店に勤める建築士であれ、工務店のオヤジでもいいのです。
もしも意気投合できるオヤジに出会い、そこに思いを図面にできる設計士がいて、思いをカタチにできる大工がいれば、それはあなたがラッキーでその面の費用は確かに節約できるでしょう。それだけのことです。
施主+建築士vs工務店はやめましょう。施主を含め、設計士、工務店、そしてそれぞれの専門職みんながあなたの夢実現のためのプロジェクトチームとして、同じ方向を向いて力を尽くすのです。
企業とはいえ、ヒトの夢実現のものづくりをする我々が、利益の大小や出処を基準に仕事をするような夢のない発想はしたくありません。そういうところもあり得るので注意は必要でしょうが。
また設計料を見積計上されていないのは(すればいいと思いますが)、サービスなのではなく、社内で処理できるために経費に含まれていると考えるべきでしょう。
ちなみに私は、見積明細は支払い予定額をそのまま上げ、こちらの経費は経費として項目をあげて計上するようにしています。施主の目の前で価格交渉もできますし、追加変更の差額提示もクリアになりいいと思っています、が未だ試行錯誤中です。
横山 彰人
建築家
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建築家の仕事
様々な違いはすでに専門家の方がお答えしていますので触れませんが、大きな違いは設計の提案力の違いでしょう。
あなたがあなたの家族だけの暮らしにあった家をじっくり作りたいと思っているなら、設計事務所に頼むべきでしょう。
工務店の設計では一般的にしっかり時間を掛けて、設計をやる体制ではありません。
どうしても工務店は営業や工事の現場サイドが強く、新しい発想や工夫そしてお客様側に立った提案は出てきません。 常に自分の工務店の側に立った発想をしてしまいます。
よくご検討のうえ決めてください。 分からないところがあればご連絡下さい。
横山彰人
(現在のポイント:-pt)
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