対象:人事労務・組織
私は、パッケージ開発、ソリューション提案を主とするシステム会社の人事をしています。部門には技術者の常駐派遣をやっている部もあります。
この度、裁量労働の技術者を36協定の対象者に変更して、残業代も支払い、定時勤務を始める話が進んでいます。
しかし、いきなりの定時勤務では無理があるのと、営業や事務と同じ時間管理は難しいので、フレックスタイム導入を検討することになりました。
フレックスタイム制は、私自身も疑問を持つ制度ですが、色々問題が指摘されています。
導入にあたっての注意する点、いい導入パターンがあれば教えてください。
石田さん ( 東京都 / 男性 / 37歳 )
回答:1件
過渡的措置を制度とすることに若干の心配あり
私も以前システム会社におりましたので、経験の範囲でお答えさせて頂きます。
フレックスタイム制を行った経験では、結局はコアタイム開始時刻に出社してくる社員が大半になるだけで、すべての予定が遅い時間にシフトしていくことになり、その分遅くまで作業し、深夜割増も増え、顧客からの連絡等にも、午前中はほぼ対応できないような事になり、全く効率的とは言えない状況でした。運用上の手続きも決めていましたが、無駄な管理として形骸化し、定着しませんでした。
ただ、採用活動時に「柔軟な働き方ができる」とアピールしていたり、制度を廃止すると不利益変更などの問題もあり、結局会社が合併することになって、労働条件を全面的に見直す際に廃止した経緯があります。
フレックスタイム制そのものの注意点として
○運用や手続きで管理する事は労力もかかって難しいので、制度上での縛り(要はコアタイム時間帯等)をかける方が良い。
ということです。
今回ご質問のケースでは、裁量労働制の方を定時勤務とする移行措置として考えられているようですが、裁量労働を時間に縛りの無いフルフレックス制と考えれば、徐々にコアタイムを拡大しながら定時勤務に移行する考え方だと思いますので、妥当ではあると思います。
ただ気になるのは、裁量労働制から定時勤務に移行する事は、労働実態が裁量労働制にそぐわなくなったためだと正当な理由が言えますが、一度フレックスタイム制を制度として入れてしまうと、労働条件の不利益変更などの問題から、廃止することが難しくなる可能性があるということです。今の段階で一気に定時勤務に移行してしまった方が、問題を抱える危険性は少ないと思います。制度として入れるより、運用上の移行措置などの扱いで対処した方が良いのではないかと思います。
更に詳しくという事ならば、経験の範囲でお話できる事はあると思いますので、お問合せ頂ければと思います。
補足
すでにご存知かもしれませんが、フレックスタイム制を採用するにあたっては、就業規則とともに、対象者の範囲、清算期間、コアタイムの有無やその時間帯などの一定事項を定めた労使協定が必要になります。行政官庁への届出は必要ありませんが、制度の導入手続きとしては確認しておいてください。
回答専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
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