対象:住宅設計・構造
再来年の春に住宅を建てる予定で、最近住宅建築の勉強をし始めた者ですが、
基礎で『布基礎』と『ベタ基礎』のそれぞれの違いについて教えて下さい。
また、床面積40坪の二階建て住居を建てる場合、『鉄筋のかぶり厚さ』はどれ位がベストなのですか?
何分初心者につき、質問に失礼があってもご勘弁下さい。
補足
2008/12/26 13:01野平先生ありがとうございます。
補足ですが・・・・
地盤は切土のみなので、おそらく強度は高いと思います。
建設地は東北地方ですが、冬季は積雪や凍結が頻繁という訳ではないので、それほど“寒冷地”というレベルではないです。
田舎侍さん ( 宮城県 / 男性 / 36歳 )
回答:3件
野平 史彦
建築家
-
「布基礎」と「べた基礎」
田舎侍様
「布基礎」と「べた基礎」の違いについては、絵を描いて説明させて頂いた方が分かり易いのですが、ちょっと言葉で失礼します。
「布基礎」というのは、木造住宅で最も一般的に用いられているコンクリート基礎形式で、その断面がTの字を逆さにした形をしたものです。建物の外周と内部の間仕切りの位置に合わせて設けられます。
それに対して、「べた基礎」というのは、建物のシルエット全体がコンクリートの土間で覆われているもので、その上に外周、間仕切りに合わせて立ち上がりのコンクリートが立ち、土台を受けるものです(立ち上がりを設けない場合もあります)。
「布基礎」と「べた基礎」の使い分けについては、様々な要素を加味して決定されるものですが、地盤に問題が無ければ、安価な「布基礎」で構いませんし、地盤が多少弱く「布基礎」では心もとない時には、コンクリートの盤全体で受ける「べた基礎」が有効となります。
但し、寒冷地においては、凍結深度が深ければ、基礎もそれ以上の深さに設けなければなりませんから、底盤を広くしてでも「布基礎」にする方がトータル的に有効な場合もあります。
「鉄筋のかぶり厚さ」は、コンクリートの中性化の進行に伴う鉄筋の錆びの問題ですから、あぶり厚さが大きいにこしたことはありません。構造の基準としては土に接する部分で5〜6cm、その他の部位で3cmくらいではなかったかと思います。
この辺の話しは、パルティータの森岡さんがご専門なので、後でお答え頂けるのではないかと思いますので、参考にして下さい。森岡さん、宜しくお願い致します。
評価・お礼
田舎侍さん
野平先生ありがとうございました。
分かり易い説明で、しかも森岡先生へのご紹介もして頂き、本当にありがとうございます。
日が経つに連れ質問が多くなると思いますが、また疑問に思うことがあれば質問させて頂きますので、目に留まりましたら宜しくお願い致します。
森岡 篤
建築家
-
一長一短あり
田舎侍さんこんにちは
パルティータ建築工房の森岡です。
布基礎とベタ基礎の基本は、野平さんのおっしゃるとおりです。
一般的な評価としては、ベタ基礎は布基礎より優れているとされています。
**根入れ深さ
布基礎が30cm程度に対し、ベタ基礎の根入れは15cm位しかありません。
15cmというのは、ほとんど地表に浮いている状態で、地層は表土です。
既存の基礎を解体する場合は、既存が布基礎の場合、地盤を荒らし、表層は盛土状態のフワフワになってしまいます。
**基礎の剛性
剛性とは、不同沈下を起こした場合に抵抗する基礎の硬さのことです。
詳細は省きますが、基礎高さの小さいベタ基礎より、布基礎の方が剛性が高いと考えられます。
**どちらが安全か
上記からすると、剛性の小さなベタ基礎より、剛性の高い基礎を深く入れる布基礎が良いことになります。
先日、住宅を多く手がける工務店の幹部と、基礎について話をしましたが、沈下によるクレームは、ベタ基礎より布基礎の方がかなり多いそうです。
この理由は、人通口にあります。
床下は、点検のためもぐれるようにしますが、基礎で区切られた各スパンに行けるように、基礎梁に人が通れる開口を作る、これが人通口です。
布基礎では人通口によって剛性が激減してしまうのに対し、ベタ基礎の床が最低限の剛性を確保しているのです。
ベタ基礎では、土工事で、慎重に基礎下の地盤を作る必要があり、
布基礎では、人通口で剛性が落ちない工夫が必要です。
**コスト
ベタ基礎より布基礎が安いはずなのですが、ベタ基礎を標準工法として、布基礎を高く見積もる工務店が少なくありません。
布基礎では、基礎だけでは間は土なので、湿気防止のコンクリートも必要です。
以上、長短ありますが、総合的には、ベタ基礎が扱いやすいでしょう。
**鉄筋の被り
土に接する部分の被りは、60mmが原則です。
参考にしていただけたら幸です
評価・お礼
田舎侍さん
森岡先生、部門別にして頂き、更に大変詳しい説明ありがとうございました。
これを参考にもっともっと勉強したいと思います。
本田 明
工務店
-
強度以外の観点から
木造住宅のべた基礎メリットは、建物下の地盤からのシロアリの食害をほぼ抑えることが出来るというメリットがあります。
私は、傾斜地などの特殊な事情がある場合以外は、ほとんどべた基礎で建てています。
◎MYブログ04/11/25先日、シロアリに関する講習会を受けました
補足
薬剤散布などの土壌処理をしなくても、シロアリの害にかかる危険が格段に少ないということです。
ただ、建設地は宮城県なのでその事に重きを置く必要があるかは、現地の事情を良く知りませんのでわかりません。
評価・お礼
田舎侍さん
シロアリに関する情報ありがとうございました。
また疑問が生じたら質問させて頂きます。
田舎侍さん
再質問です
2008/12/28 11:49田舎侍です。
詳しい御回答ありがとうございます。
?森岡先生への再質問
回答をリピートした形の質問で失礼かと思いますが、
各特性においてのベタ基礎と布基礎の比較ですが・・・
『根入れ深さ』は、布基礎30cm:ベタ基礎15cm で、布基礎がベター
『剛性』は、布基礎の方が剛性高
『沈下によるクレーム』は、ベタ基礎が人通口の理由により、クレームが少なくベター
『コスト』は、布基礎は湿気防止コンクリートを必要とするので、ベタ基礎が割安
『総合的』には、ベタ基礎がベター
ということで、よろしいのですか?
?本田先生への質問
シロアリ対策としては、布基礎では力不足ということで考えてよろしいですか?
御回答宜しくお願い致します。
田舎侍さん (宮城県/36歳/男性)
(現在のポイント:1pt)
このQ&Aに類似したQ&A