犬のおへそに水ぶくれ

幼犬のうちは、皮膚に色々な変化が起こることがよくあります。気にしなくてもよいものも沢山ありますが、皮膚の膨れやしこりは、残念ながら電話や文章では分からないことがほとんどですので、診察を受けていただいた方がよいと思います。安心の為にも診察をお勧めします。

動物の皮膚病には泣かされます。特に買って来てまだ間がない仔犬の皮膚病を早く診断してほしいと言われたとき、寄生虫や、真菌など典型的な症状を示している場合は解り易いのですが、それ以外は参ってしまいます。藤井先生の御回答に全く賛成です。診察をお受けになるほうがよいと思います。

実際に診察していないため、確実ではありませんが、ご質問の内容からは臍ヘルニアが疑われます。いわゆる「でべそ」のことで、医学用語では「臍（さい）ヘルニア」と呼ばれます。臍ヘルニアは臍の穴の開口している部分から、内臓器官の一部が突き出て、移動することです。
小さなヘルニアでは、ほとんどの場合は健康に影響しませんが、大きなヘルニアでは重大な問題をきたし、生命にも関わることがあります。とくに、大きなヘルニアでは、腹腔から皮膚の下へ腸が大量に入り込み、元に戻らなくなることがあります。ときには膀胱、子宮が入り込むこともあります。さらに、これらの器官への血液の供給が閉ざされると、結果として組織が死んだりして、感染や腹膜炎を起こし、致命的な病気になることがあります。これらのヘルニアはほとんどが先天的なものです。ヘルニアは、犬が成長していく過程で閉鎖することはほとんどありません。妊娠し、子宮が膨れると、腹腔内からヘルニアの穴を通じて器官が突出しやすくなることはあります。また、妊娠でなくとも腹腔内の他の器官が腫れたりすると同じようなことが起きる可能性もあります。
稀に、ヘルニアの穴が小さい場合でも、内部の器官が突出し、戻らなくなると血行を阻害され、痛みを伴うようになります。

●治療
臍ヘルニアがあり、体に他の大きな異常がなければ、通常は外科手術を行います。方法は、突出した器官を元の位置に戻し、開口してる穴を糸で縫合し、閉じます。もしすでに突出した器官が壊死しているような場合は、その器官を摘出するなどの大がかりな手術になるでしょう。いずれにせよ、あなたの犬が臍ヘルニアであるかどうか、あるいは手術が必要かどうか、動物病院で相談してみると良いでしょう。