対象:事業再生と承継・M&A
合同会社から株式会社への変更を考えています。
変更に登記が必要であると聞いていますが、この手続きは会社の所在地の変更などと同じように、会社の名称の変更というかたちで手続きをすればよい、ということでしょうか。
あと、費用はどれくらい見ていればよいでしょうか。
よろしくお願いします。
baboさん ( 東京都 / 男性 / 38歳 )
回答:1件
後藤 義弘
社会保険労務士
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ご質問ありがとうございます
*''▼ 回答''
''「組織変更」は、会社の所在地変更のような単なる変更手続きだけでは済まされず、「合併」などと同じく組織再編行為として位置付けられ、会社法の規定に沿った所定の手続きを踏まなければなりません。''
''【解説】''
会社法は、おそらく (例えば、ご質問のように「合同会社」から「株式会社」への) 組織変更のプロセスを
(1) 株式会社の新設
(2) 既存の合同会社の権利・義務のすべてを (1) に移転
(3) 既存の合同会社を解散
というふうに、あたかも新設型の「合併」のような行為と構成しているものと思われます。
「会社」 を 「家」に置き換えて考えてみましょう。
組織変更は、名前が変わって 『表札を変える』 という単純なものではなく、『今住んでいる家を取り壊し、新しく建てた家に家族ごと引っ越す』 という大掛かりな作業、とお考えいただければイメージしやすいのではないかと思います。
しかし上 (2) のプロセスにおいては、資本金の額も変更はなく、資産・負債もすべて 「簿価」 で引き継ぐ((会社計算規則56・57条))など、外形上は呼称が 「合同会社」 が 「株式会社」 に変わった (先ほどの「家」の例で行くと「表札」が変わった) だけに見えます。
ご存知のとおり、「合同会社」 は、会社の重要事項を出資額にかかわらず社員 「全員の合意」 で決めることができますが、株式会社になると、株式制度の原則より、持株数に応じた議決権に従い 「多数決」 で決める、つまり意思決定が 「ヨコ」 型から「タテ」型へと変わります。
補足
このようにガバナンスの形態が決定的に変わることで、債権者の債権回収可能性に影響が出ると考えられることから、「組織変更」 も 「合併」 などと同じように債権者に配慮した所定の手続きが求められています。((もちろん合同会社の所有者兼経営者である 「社員」 も、その属性が 「株主」 へと変わることから、同時に 「社員」 の意思も尊重され、組織変更の実行にあたっては 「社員」 全員の 「同意」 が必要とされていることにも注意が必要です。))
具体的には、''債権者保護手続き'' があげられます。
1ヵ月以上の期間を置き官報等に「公告」し、さらに一定の債権者宛て個別に「催告」をし異議を述べる機会を与えなければなりません。
そして、これらの手続きと書類が整わなければ登記が受理されず、組織変更が実現しません。((さらに、登記は受理されたものの (可能性は低いかもしれませんが) 手続きに不備等があった場合、社員や債権者から組織変更の無効訴訟 [会社法828条] が起きてくることもあり得る話です。))
あと、ご質問の組織変更に要する費用についてですが、株式会社の新設がからむため、その登録免許税にさきほどの債権者保護手続き (公告・催告・通知)、その他諸々の法務コストが加わり、やはり少なくとも数十万円は必要になってきます。
なお、紙幅の関係上、組織変更の手続きの詳細につきましては省略させていただきますが、別途再質問もしくはお問い合わせいただければあらためて回答させていただきますのでご利用ください。
ご質問ありがとうございます。
今後ともAll About ProFileをよろしくお願いします。
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