対象:住宅設計・構造
【背景】
新しく分譲された土地を購入し、スウェーデン式サウンディング試験により、7mほどの鋼管杭が39本の地盤改良工事が必要となりました。
いざ、地盤改良工事がはじまると、深さ60cmのところで、ヨウ壁の一部が、土地の底面に底皿として折入っていることがわかり、端っこの一列の5本の鋼管杭をあきらめ、表層改良工法となりました。
【質問】
他34本は鋼管杭にて対応、一列5本のみ表層工法で、さらに軟弱地盤と聞いています。
将来、この表層工法部分だけが地盤沈下するのではないかと心配しています。
(その場合、家に亀裂が入るなど)
この方法は適切なのでしょうか?
今回、建築にあたり財団法人の瑕疵担保保証には加入済みです。
よろしくお願いします。
SPRING-AUTUMNさん ( 神奈川県 / 女性 / 27歳 )
回答:4件
異種基礎となります。
はじめまして、浜田と申します。
この場合、異種基礎となり、不同沈下が起こる可能性が有ります。
一般に、杭基礎と表層改良(浅層混合処理工法)とでは、
支持地盤が違いますので、地震時や圧密時にはその挙動も変わってきます。
このようなケースは造成地では多々有りますので、
杭基礎を偏芯させた上で、基礎の補強をするか、
擁壁のベースに穴をあけて杭を貫通させる等の措置が
必要になります。
敷地調査をした際に、擁壁の底盤の大きさをある程度
予測しておく事が重要ではありますが・・・
住宅保証機構では、地盤保証は、住宅性能保証とは別となりますので、ご確認が必要です。
尚、現行の品格法、来年10月施行の住宅瑕疵担保履行法では地盤は保証外となりますので、
上記のように別となっている場合がほとんどです。
工務店さん、メーカーさん、設計士さんにご確認頂いた方が良いかと思います。
御参考になれば幸いです。
回答専門家
- 浜田 肇一
- (福井県 / 工務店)
- 濱田建設株式会社 代表取締役専務
パッシブZEHで、エコで長期に快適に暮らせる住まいを
福井県・滋賀県近郊で、パッシブデザインのZEH住宅を手がける設計工務店です。時を経てライフスタイルが変化しても、各空間の用途を自在に変えられるのが大きな強み。自然エネルギーも最大限に活用し、低コストでエコな暮らしをサポートします。
専門家でも見解が分かれるでしょうね。
計画中の建物は木造なのでしょうか?それとも他の構造ですか?
建物が地盤に掛ける負荷によっても結果が異なります。
また、今回の様に地中障害や、一部切り土・一部盛土の可能性のある土地はもう少し
お金を掛けて調査される事をお勧めします。
異なる方法で建物を支持する事は、地震時に均一に揺れてくれない可能性を残します。
ご懸念されている通り、基礎が割れてしまう可能性があります。
私なら、杭の端の一列を当てにせず、基礎の補強を考えます。
充分に調査されての結論が、今回の様な処置でしたら、それに従うしかないでしょうが
文面からは、杭が打てないので安易に表層改良にしたという、印象を強く受けました。
加入されている保証機構の見解はどの様なものなのでしょう?
回答専門家
- 福味 健治
- (大阪府 / 建築家)
- 岡田一級建築士事務所
木造住宅が得意な建築家。
建築基準法だけでは、家の健全性は担保されません。木造住宅は伝統的に勘や経験で建てらていますが、昨今の地震被害は構造計算を無視している事が大きく影響しています。弊社は木造住宅も構造計算を行って設計しています。免震住宅も手掛けています。
福味 健治が提供する商品・サービス
住宅性能表示制度や長期優良住宅やエコポイントにも対応する、環境とお財布に優しい住まいの提案
森岡 篤
建築家
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解決案は複数
SPRING-AUTUMNさんこんにちは
パルティータ建築工房の森岡です。
瑕疵担保保証に加入済みというお話ですが、保証の中に地盤保証を含んでいるか確認下さい。
例えば(財)住宅保証機構の場合、住宅性能保証制度と地盤保証制度は別です。
ということは、住宅性能保証だけの場合、地盤保証は含まれないということです。
地盤保証に入っていたとすると、今回の柱状地盤改良の杭が地中障害のため計画できないことを保証機関に報告する義務があり、解決方法も承認を得る必要があるはずです。
この場合、地盤保証機関に判断してもらうのも一つの方法です。彼らも支払いリスクがあるので、厳しく判断しますので。
工事開始してから地中障害が出ること自体は起こりうることですが、今回のケースでは、まず、当たった擁壁の状況をまず詳しく調査することが必要です。
深さだけでなく、正確な平面的範囲、厚さ(擁壁基礎でしょうか)等
その上で、複数の解決案が出るはずです。
例えば、
・擁壁基礎にコア抜き(孔を開ける)し、鋼管杭を接地。必要に応じ擁壁補強
・擁壁基礎ぎりぎりに鋼管杭を打ち(つまり杭レイアウト変更)、基礎の変更で対応
等。
各案を、安全性、確認申請上の問題、保険への影響、費用、工期等を総合的に判断します。
軟弱地盤の敷地で、ほとんどを鋼管の柱状地盤改良、一部表層改良工法(混合処理)にしようとする今回の案は、文面の内容では、私も適切とは思いません。
「この方法しかない」とするならば、慎重な調査の元で判断する必要があるでしょう。
難しい状況でご心配と思いますが、がんばって下さい。
野平 史彦
建築家
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ちょっと話しを整理してみましょう!
パルティータの森岡さんは、Allaboutの中でも最も構造に強いメンバーのひとりで、いつも見識のある的確な回答を寄せて頂いています。新しく入られた浜田さんも構造系の専門家として心強い存在です。福味さんも含め、今回のお三方の回答はいずれも貴重なご意見で、ぜひ参考にして頂きたいと思いますが、その他、おしえてgoo(おしえて!HOME'Sくん、BIGLOBEなんでも相談室、at home web、AOLのQ&A広場など同じ)などにも専門家の回答が寄せられていますので、ちょっと話しを整理してみたいと思います。
1) 異種基礎は基準法でも原則、禁止されており、不同沈下の原因となるので、部分的に表層改良とするのはやめましょう。総て鋼管杭で考えましょう。
2) 擁壁の底盤に当たる部分をコア抜きにして鋼管杭を所定の位置に、というご意見もありますが、擁壁は土圧や建物荷重を計算して設計されているはずですので、底盤を避けた位置で鋼管杭を打ち、その部分は、それほど跳ね出しになることはなさそうですので、片持ちの基礎として計算し、基礎補強しましょう。
3) 瑕疵担保保証に地盤保証は含まれていないと思いますが(要確認)、上記の様に鋼管杭で統一されれば、地盤保証を受けるに問題は無く、保証機関に登録している業者であれば地盤保証を付けてもらうことができる筈です。(上記の方法で行なえば、地盤保証の必要もないと思われますが、、)
私見も交えましたが、皆さんのご意見を整理すると、以上の様になると思いますので、参考にして頂ければと思います。
(現在のポイント:-pt)
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