対象:ペットの医療・健康
アドバイスをお願いします。
8月25日にマルチーズ花子8歳(女の子)の赤紫斑点を発見して入退院し6日間治療をするも31日に血小板減少症で他界した。他の獣医師にも診ていただいていたら助かったのではないだろうかと考え気持ちが晴れない。
<病気発見から他界までの経過>
1)26日入院と血液検査−−−
●血液検査結果:WBC117、赤血球数498(異常)、HGB12.8、HCT36.6、MCV73.5、MCH25.7、MCHC35.0、血小板数0.0(異常)
●血液科学検査結果:TP5.1、Alb2.7、GOT53、GPT49、ALP273、T−Bill0.4、T−Cho133、Glu105、BUN22.5、Cre0.5、Na142、K3.6、CL106、Ca10.5、CPK185、LDH88
Ca10.5、CPK185、LDH88
2)27日花子入院治療内容−−−
静脈注射(ステロイド)、静脈点滴、X線検査(胸部・腹部)、超音波断層検査(肝臓・脾臓)した。眼のうっ血と肺に白い影(うっ血?)が診える。28日18時退院。
3)28〜29日自宅−−−
○プレドニンをビタワンに混ぜて与えた。
○牛乳を少し飲ませた。○高いところに跳びあがれない。辛そう。○30日午前4時ごろ何処か痛いのか大声2回だす。血尿少し。
4)30日入院輸血し一時回復、31日他界
<専門獣医師の方にお尋ねします>==
●この病気は治り難い病気ですか?
●レントゲン、エコー、血液検査の他に原因究明の手段はありませんか、この治療方法は妥当ですか、他によい方法はないですか?
●飲み薬プレドニン5mgはこの病気によく効くのですか、他によい薬はないですか?
●29日与えた牛乳は良くなかったのか?
●31日火葬、焼けた背骨が濃い鼠色。これは脊髄に異常があったのでしょうか?
和楽心癒さん ( 神奈川県 / 男性 / 65歳 )
回答:2件
突発性血小板減少性紫斑病
私は血液学の専門医ではないのですが・・・。
日本ではマルチーズが多いですが、アメリカではプードルに多いそうです。アメリカではマルチーズよりプードルのほうが飼育頭数が多いからだそうです。
この病気は治り難い病気ですか?
当院でも過去にマルチーズが2匹、レトリーバーが1匹、治療に反応してくれずに死亡しました。治癒したワンちゃんもいますが、あまりに血小板が少ない場合、輸血をしても、腸や膀胱、歯茎から出血して、あれよあれよという間に亡くなる場合もあります。
レントゲン、エコー、血液検査の他に原因究明の手段はありませんか、この治療方法は妥当ですか、他によい方法はないですか?
クームステストと言うのがありますが、診断としては、腎、肝、心、リンパ球など主要臓器に頭に異常が認められず、血小板だけが極端に低下して、皮下や目に紫斑がいる疾患は突発性血小板減少性紫斑病と言えます。先生が実施された検査は、基本的な進め方だと思います。
飲み薬プレドニン5mgはこの病気によく効くのですか、他によい薬はないですか?
ステロイド療法が第一選択です。その投与量は体重あたり2mg以上が基本です。パルス療法という場合は、体重あたり10mg以上を静脈注射することもあります。ステロイド療法のほかに、ビンクリスチンの投与、脾臓摘出手術(人ではよく行われるようです)がありますが、異論もあって、現在ステロイド療法ほど実際的ではありません。最近ヒト・ガンマグロブリンの投与が効果的であるという報告がありますが、とても高価なので、やはり第一選択はステロイド療法です。
補足
29日与えた牛乳は良くなかったのか?
影響はほとんどないと思います。
31日火葬、焼けた背骨が濃い鼠色。これは脊髄に異常があったのでしょうか?
時折、火葬の際に、骨に付いたいろんな色素や、また骨の崩れ具合などを見て、火葬場の方が病気に関してコメントされることがありますが、これらは全く根拠のないものです。火葬したときの温度などで様々な色が付いてしまうようです。
もし今回のケースが当院の患者さんであった場合、最初の血小板数の値から、まず飼い主さんには『亡くなる可能性の高い危険なケースだと言えます。出来る限りのことは致します。』と申しあげたと思います。血小板ゼロは、それほど厳しい状況であったということを、ご理解いただきたいと思います。
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RE:血小板
血小板減少症の原因としては血小板産生の低下あるいは血小板の破壊・隔離・消費の亢進があり、今回のように血小板数0.0/μlを示すのであれば自己免疫性血小板減少症(IMT)が疑われます。IMTは免疫機能が異常に働いてしまい自分で自分の血小板を破壊してしまう病態で、治療の目的としては破壊を抑制(免疫抑制)して血小板が増加するのを待ちます。IMTの治療の第一選択薬としては効果の発現が早いコルチコステロイド(商品名プレドニンなど)を使用します。臨床症状、他の検査で異常が見つかったものに対して点滴、輸血など支持療法を行います。血小板は骨髄にある巨核球から産生されますが、この巨核球が成熟するまでに数日を要するので薬が効果を示してもすぐに血小板が増えるのではなく、数日かかります。そのため第一選択薬の効果をみるには2〜3日必要です。血小板数が増加しない(プレドニンへの反応が悪い)と判断が着いた時点で次の免疫抑制剤の併用あるいは切り替えを検討します。血小板減少の原因を調べるには血液検査、骨髄検査を行いますが骨髄検査には全身麻酔が必要で、ある程度麻酔に耐えられることが前提になります。今回のように治療を急いで開始しなければならない時には鑑別診断を後にすることもあります。体が異物と認識しうるもの(薬、食物、毒物など)は免疫が異常に働いてしまう引き金になることが知られていて、このような自己免疫性疾患の時には極力薬物投与は控えます。
今回の件について、治療などに疑問が残るようであればもう一度かかりつけの動物病院で説明を受けられることをお勧めします。ご愛犬のご冥福を心よりお祈りいたします。
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