対象:住宅設計・構造
現在、新築マンションの購入を考えております。そして1つ非常に気に入ったマンションを見つけたのですが、そのマンションの耐震について疑問があり、購入の有無を悩んでおります。
耐震等級が1〜3段階あるということをネットで調べて知っておりました。そのマンションのパンフレットには耐震については一切ふれておらず、販売員の方に伺ったところ、このマンションの耐震性は1だという事でした。
ただし、耐震等級の申請をしていないため、パンフレットなどには 耐震等級1 と表記できないという事のようです。その販売員の方も施工主と販売会社が違うため、わからないとの事でした。耐震偽造のニュースであれだけ大騒ぎされた後にできた物件にも関わらず、なぜ申請しなかったのか、非常に疑問です。正直、素人なので、耐震等級の申請があるかないかも不明ですが。。。
一度、アドバイスをお願いいたします。
あかごさん ( 愛知県 / 女性 / 34歳 )
回答:2件
耐震等級
アネシスプランニングの寺岡と申します。宜しくお願いします。
ご質問の件ですが、耐震等級は「住宅の品種確保の促進等に関する法律」の中の住宅性能表示制度に基づく表示項目の1つで、この制度を利用するには費用もかかり、利用するかしないかは業者若しくは住宅取得者の任意になります。
通常、マンションの場合には業者(売主)の任意となります。
この制度は10分野34事項についての性能の表示基準を設定し、客観的にその性能を評価できる第三者機関が設置されています。
これらを基に設計段階及び施工・完成段階での検査を行い、その段階での性能評価書を交付してもらうことになります。
ただ、この評価もその時点での評価ですので、数十年後もその性能を保証するものではありません。
この制度を利用した住宅には、火災保険の割引やローンの金利優遇を受けることができます。
これには、それぞれの保険会社や金融機関などに確認してみて下さい。
この制度を利用したマンションは最近増えてきていますので、できればそうした物件を検討されることをお勧めします。
以上、ご参考になれば幸いです。
詳しい説明が必要でしたら、お気軽にお問い合わせ下さい。
宜しくお願い致します。
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回答専門家
- 寺岡 孝
- (東京都 / お金と住まいの専門家)
- アネシスプランニング株式会社 代表取締役
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野平 史彦
建築家
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耐震等級について
耐震等級とは、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」で定めた、「住宅性能表示制度」の中で規定されたメニューで、
耐震等級1:建築基準法と同レベルの強度
耐震等級2:建築基準法の1.25倍の強度
耐震等級3:建築基準法の1.5倍の強度
とされていますが、この等級がそのまま性能を保証するものではありません。
また、耐震等級1は、上記の通り建築基準法で定められた構造の最低基準をクリアしている、ということができますが、住宅性能表示の申請をしなければ「等級1」という言い方はできません。しかし、等級2〜3を取る積もりでなければ耐震性をアピールすることにはなりませんから、わざわざ等級1をとるために申請をする業者はいないでしょう。
耐震偽装事件の所為で、今はマンションの構造強度に対して不安を抱いている人が多く、多くのマンション業者が構造の安全性をアピールして販売に躍起になっている中にあって、そうした今最も重要なはずのポイントに無頓着な業者がいるというのも、確かに不思議な気がしますが、では、基準法で定められた構造の最低基準をクリアしている「耐震等級1」程度のマンションでは、その安全性に問題があるのか、と言えば、決してそうとは言えません。
基準法における構造の最低基準とは、次の様な考え方に基づいています。
○ 数十年に一度程度発生する恐れがある中地震に対して建物の骨格となる柱や梁が一カ所も崩れないこと。そして、
○ 震度6クラスの大地震に対しては部分的には壊れても建物全体が倒壊しないこと。
即ち、中地震に対しては財産としての建物を守り、大地震に対しては財産は守れなくとも最低限、人命を守る、という考え方です。
(追記します)
補足
地域の防災拠点となるような建物は、耐震等級3に匹敵する性能を求められますが、マンション等の様な民間の住居系建物は、コストを抑えるために基準強度ぎりぎりに抑えられているのが設計の常道であるとも言えます。
あなたがご覧になったマンションが、耐震に対してアピールポイントが何も無いというのは、購入者にとっての不安材料となるのかもしれませんが、私達は常に「コスト」と「安全性」を天秤に掛けながら生活しているとも言えますから、より安全性を望むなら、その分のコストを負担しなければならないのです。その線引きはあなた自身がしなければなりません。
ご参考まで、
(現在のポイント:-pt)
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