病気で

当院で起こったケースについてお話します。スタッフの女性が飼っていた13歳のメス猫(私が下北沢で拾ってきた、とても御陽気な猫でした)が2日間、食餌を全く食べない、時折咳をするという主訴で連れてこられました。体格もふっくらし、血球検査、血液検査でも異常がなかったので、X線検査をしましたところ、左の肺に直径1cm近くの腫瘍が一つ見つかりました。以後、顔つきも良く、とても元気で走り回っているのにも関わらず、これまで喜んで食べていたものでさえ、一切の食餌に無関心になってしまいました。そこでヒルズ社のa/d缶を使って強制給餌をしましたが、拒否去れましたので、以前喜んで食べていた缶詰やお刺身などをフードプロセッサーでどろどろにして試みましたが、これもことごとく拒否されました。水は少しは飲んでいたようです。それから2ヵ月半、亡くなる日まで、その女性が皮下輸液を毎日2回していました。亡くなる少し前まで、がりがりになりながらも時折走っていました。結局、このネコちゃんは、初診で連れてこられる2日前から、亡くなる日まで、一度も食餌をしませんでした。私達はこのネコちゃんがなぜ食べることを一切止めてしまったかが、未だに判りません。でも癌の場合、こういうことが起こるのだという勉強をさせてもらいました。
今後のケアの御参考になればと思います。

薬の影響による一時的な食欲低下でしょうか。治療前から食欲が落ちていたのでしょうか。どちらにしても、食事量が不十分であれば、点滴などの処置を受けることをお勧めします。ガンだけでなく、体調が不安定なときは食べ物の好みが変化しやすいと思います。どのようなものを食べたらよいかは病状にもよると思いますので、かかりつけの先生と相談しながら食べられるものを少しづつすすめてあげてください。