対象:独立開業
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後藤 義弘
社会保険労務士
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「現金」の流れを意識しましょう
金融機関の審査上の着眼点はただひとつ ''ちゃんと返済できるか'' です。 そういう意味でご質問の業績予想(損益計算書)はその判断材料として重要な役割を果たすデータであり、事業計画との整合性と計算書そのものの妥当性・合理性が求められます。
融資を受けようとする金融機関にもよりますが、国民金融公庫などの公的金融機関であれば借入申込書も事業計画書も非常にシンプルな作りで、融資申込みにあたりそれほど高度・綿密な損益計画は要求されることはありません。 しかし、事業計画の重要な要素である業績予想は何も金融機関への融資対策だけが目的ではなく、ご自身の事業のビジョンを明確にし運営上も実効性のあるものにしなければなりません。 対金融機関・事業運営上とも業績予想に際し少なくとも融資審査上返済財源として評価される血液部分 ''キャッシュ'' の流れについてはこの作業で主体的に把握しておく必要があります。
一般的な作成方法や考え方、注意点については新規開業者目線で解説されている下記国民金融公庫のページ上のQ&Aが参考になると思います。
http://www.kokukin.go.jp/sinkikaigyou/qa/index.html
私の方からはやや個別的にはなりますが、下の通りご相談を受けたケースで損益計算書の作成上よくある不備とその対応についていくつかあげてみました。 併せて参考にしていただければと思います。
**● 売上の増加に対して経費の動きが合理的に連動していない
「経費」は主に売上の増減に対応し変動する「変動費」(仕入等)と、期間中売上の変動に影響なく固定的に発生する「固定費」(人件費・賃借料等)とに分かれます。 融資の申込みの際に提出する損益計算書にはこうした経費区分が必ずしも要求されるわけではありませんが、実際の事業運営上経営者としてマクロ的な計数管理を行う上で基本となる必要な考え方です。 事業計画作成段階で慣れておきましょう。
補足
この区分により売上の増加に伴う「人」「設備」等の動きを意識しながら発生する経費を予想していきます。 あと費用の項目は比較的金額的も大きいもの・損益的に影響の大きいものを本表に記載し、数字も小さく細かいものは列挙せず「その他経費」に集約して添付資料や備考欄等を活用し補足すればよいでしょう。
**● 重要な経費の費目に漏れがある
(1) 労働・社会保険料
(2) 減価償却費
このあたりの経費算入漏れがよく見受けられます。
(1)は雇う ''従業員の給与の額'' に連動し、(2)は ''設備投資の額'' により決まります。 人を雇用し、ある程度の設備投資を予定している場合、これらの費用が損益やキャッシュフロー(現金)に与える影響は小さくなく、場合によっては損益がプラスマイナス逆転することもあり得、融資判断もさることながら事業計画そのものの根底が変わってしまうこともあるので注意が必要です。 その際、その算出根拠となる
(1) 人員計画
(2) 設備投資計画
を明細として添付し計算との整合性を確保するようにしましょう。
**● 数字や設定が細かすぎる
よく毎月ごとの計画を作成されている方がいらっしゃいますが、月次レベルでの計画は必要ありません。 立上げ直後の直近、向こう1年程度の短期の計画については四半期あるいは半期ごと、先の計画については年度ベースといった集約するといったアバウトさがむしろ自然でしょう。
あと、計算書に記載する金額を1円単位まで計算し記載している計画書をよく見受けますが、毎月の帳簿や決算とは違ってあくまで予想(計画)なので、見易さという機能性も考慮しゼロを落とす工夫をしましょう。 例えば、事業の規模・額に応じ「千円」単位や「百万円」単位とするとすっきりし体裁も整います。
(現在のポイント:-pt)
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