おしっこ

当院で昨年あったケースです。子宮蓄膿のヨークシャテリアの避妊手術をしましたが、術後1週目くらいから、たびたびではありましたが、ぼたぼた尿が漏れるようになりました。興奮したときもそうですが、おトイレの近くに行ってそわそわしているうちに ぼたぼたと漏れてしまったりしたこともありました。飼い主の方は漏れる尿の多さに戸惑って、困っていらしゃいました。恐らく子宮摘出時に縛った縫合糸が、膀胱頚部を刺激しているのでしょう、8週で縫合糸が融解吸収されますので、自然に治まるでしょうと申し上げましたら、8週目で尿漏れは完全になくなってしまいました。こういうケースもありますので、避妊手術を受けた病院とご相談されるのもいいでしょう。また非常にまれなケースですが、膀胱の出口の括約筋が緩んでしまうという病気があります。これは膀胱鏡で確認できます。治療は膀胱鏡下で膀胱頚部の粘膜下にコラーゲンを注射して膀胱の出口を狭くする方法です。コラーゲンは高価な薬剤ですが(美容外科用です)、一度注射をすると約3年弱持ちます。この疾患の場合こういう方法でしか対処できず、放置すると会陰部がただれて皮膚が脱落することもあります。二つのケースはむしろ少ないケースです。今一度、尿検査、膀胱超音波検査、血液検査をお受けになられることをお勧めいたします。

尿失禁の原因には、
?神経学的なもの(椎間板ヘルニア・腫瘍・外傷などによる脳脊髄神経障害)
?機械的あるいは機能的な尿路閉塞が持続したことによるもの
?避妊手術後などに起こる性ホルモンの失調によるもの
?炎症によるもの(膀胱炎など)
?ストレスによるもの
?先天的異常によるもの
などがあげられます。治療を行うことで改善も期待できますので、早いうちに一度動物病院で
診察を受けることをお勧めいたします。