対象:住宅設計・構造
回答:7件
改定建築基準法
今回の基準法の改定による影響が消費者へ影響のある範囲で書かせていただきます。
1.確認通知が出るまで、以前は7日〜10日程度の期間でしたが、現在は1ヶ月くらいかかるようになりました。3ヶ月経っても通知されないという話も聞いています。
2.異常としか思えないような図面表示の影響による作図時間の増加と提出する書類関係をそろえるための時間が平均すると以前の1.5倍以上の時間がかかるようになったうえに、その図面の審査のための期間も延長されています。
3.確認申請後の軽微な修正は、以前は図面の差し替えや訂正印などで処理できましたが、それが改定後は確認の出し直しになります。
したがって建築確認申請をするのは変更が一切生じないような段階、つまり図面が全て終わり工事金額が確定した段階でしか提出できないということになります。
工事金額が確定するのは、一度の見積で済めば一番理想的ですが、そのケースはまれで、通常は見積もり金額を下げるために図面の変更を行い再見積もりをすることの繰り返しを行います。
そういう経過を経ての後、金額が確定し、そこでやっと建築確認申請ができるという段階になるわけです。
少し考えただけでも大変時間がかかることが分かりますね。
また、着工後の変更が生じた場合も最初からの確認の取り直しをしなければいけなくなりました。
建築というものは、法規上の影響の無い範囲で現場でもっといい方向にどんどん変えて行きながらいいものに仕上げていくというのが望ましい建築の作り方といった姿であったわけですが、確認を取った以上は一切の変更は認めないという法律になっています。
従来の建築基準法による確認でもしっかりした設計・監理・施工が行われれば問題のある建築は建っていなかったはずなのですが、何ゆえに住宅にまでこのような過酷と思えるような法律にしてしまったのかはなはだ理解に苦しむところです。
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ゆとりのあるスケジュールが必要です
こんにちは。 サカイデザインネットワークの酒井です。
改正建築基準法の状況や影響については前述されている建築家の方々が丁寧に説明されているためここでは省略させていただきますが、これから住まいづくりを計画される方へ私からお伝えしたいことは、昨年の法改正前の住まいづくりにかかる時間より、建物の規模にもよりますが、1ヶ月〜3ヶ月程度のゆとりあるスケジュールを考えないと、実現しない状況になっているということと、住まいづくりを進めるなかで多かれ少なかれ設計変更が生じることはあたりまえのことなのですが、その設計変更をすることで一から申請をやり直さなければならない可能性が高くなっているため、設計変更が非常にやりにくくなっていることです。 変更のたびに申請料がかかるなど、結果として住まいづくりを計画する施主への時間と費用の負担が増えてしまい、いったい誰のための?法改正なのか理解に苦しむばかりです。
法改正の影響は現場では問題点が多々あるのが現状ですが、私達は改正建築基準法に従い計画を進めなければ建築できないのも事実です。 今のところ住まいづくりの計画にはゆとりあるスケジュールをもってご計画されることをお勧め致します。
回答専門家
- 酒井 正人
- (東京都 / 建築家)
- サカイデザインネットワーク有限会社 取締役社長
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設計手法・デザインの発想は「内側から外側へ」・・・建物という器だけをつくるのではなく、私達が暮らす場である生活空間の細部から生活環境全体のデザインを追求し「心地よさ」をご提案しています。
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改正建築基準法について
建築基準法の最初には、次のようにあります。
「この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定め、
国民の生命、健康、及び財産の保護を図り、もって公共の福祉の増進に資する
ことを目的とする。」
そもそも、この法律の趣旨はこの文面にあると思います。
建築に携わるすべての人々の志が、この趣旨を忘れずに自身の仕事を行うこと
ではないかと感じます。
今回の基準法の改正について、消費者側から見れば偽装等を監視する意味でメリットがあります。
しかしながら、法律施行後の実務上に問題があり各方面に影響を与えています。
こうした状況下で、消費者はどのような影響を受けるのでしょうか?
まず、工事中はもちろん、確認許可後の変更ができにくいことでしょう。
今までは、軽微な変更として訂正や一部図面の差し替えで対応していたケースが、
殆どすべて最初からやり直しということになります。
つまり、「変更はできない」と思った方がいいということです。
しかしながら、お客様は図面だけではわからないこともあり、また何度も住宅を建てた
経験が少ないために、変更はどうしてもつきものです。
これには、どう対応すべきかも考えさせられます。
これからは、消費者にこの法律の内容をきちんと認知してもらい、時間をかけた住宅計画を
立ててもらうことが重要ではないでしょうか。
業者やハウスメーカーの都合で急がされること無く、一年以上じっくり時間をかけて納得の
いく住まいを建てて頂きたいと思います。
回答専門家
- 寺岡 孝
- (東京都 / お金と住まいの専門家)
- アネシスプランニング株式会社 代表取締役
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design studio bAOBabの鈴木と申します。
昨年、改正された建築基準法によってどういう影響があるかというと設計行為がより専門的な領域になり、消費者が設計を依頼する際、よりコストと時間がかかることを認識する必要が出てきたということです。また専門家は当然ですが、こういう情報化社会にあっては自己防衛を踏まえて情報収集をおこたらないことが大切かもしれません。今後は設計料も意匠設計料、構造設計料、設備設計料といった設計料の形が一般化するかもしれませんので実質的にはコストアップとなるでしょう。
確認申請の話しになりますが、今でも木造2階建程度の4号特例の住宅であれば改正前に比べても確認申請の書類作成等、多少時間は要するものの大きくは変わっていません。
ただし来年(本当は今年だったのですが)のいつか分かりませんが、この4号特例も廃止され、構造計算書及び構造図の添付が確認申請時に必要になってきますので、木造の住宅を建てる場合はこちらの方が影響あるのではないでしょうか。当然、構造設計にコストはかかります。従って今回の改正以上に今後の動向次第でさらに影響が出てくると思います。
また新築以上に増改築(特にRC造)は今の法律下では難しくなっています。中古市場の拡充を狙っている国策とは相反するのですが、おそらくまだ矛盾点等、運用上改善すべく点が多く出てきている状況なので落ち着くまでは少し時間を要すると思います。
加え原油高、環境問題などの社会問題からの影響を建築業界は受けやすいのでそれぞれの観点からコストアップが考えられます。一方税金の優遇措置等も色々変わります。従って住まいを建てるタイミングはご自分のライフステージに合わせてしっかり判断する必要があると思います。
回答専門家
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消費者の選択の自由が大幅に奪われる施策
改正建築基準法は、場当たり的な改正を繰り返しつぎはぎだらけの状態に陥っている建築基準法そのものにはほとんど手をつけず、運用だけを杓子定規に強化したため、至る所でひずみを生んでしまいました。物事には軽重のバランスというものがあります。重大なことから厳密にしていくべきであり、そのバランスが失なわれればめちゃくちゃなことになってしまうのです。
例えば、決算や確定申告でちょっとでも数字が違っていた、あるいは領収書の添付がないからといって全て1から出し直しというような施策を行ったとしたら果たして社会は機能するでしょうか?
価値観が多様化している現代社会にあって、必要な性能を杓子定規な規定で一律に管理しようとすることにそもそも無理があるのですが、今回の改正によって、とんでもなくレベルの低い悪徳業者は排除されるかもしれませんが、その代償として消費者の選択の自由も大幅に奪う結果となってしまいました。まさにミソもクソも一緒という感じです。
各地域で育まれてきた伝統工法は、杓子定規な建築基準法の規定から見れば「異端」扱いなので、壁を少なくして設計しようとすれば、限界耐力計算などの特殊な計算手法を用い、適合性判定機関という新設された機関に持ち込んで大幅に費用と時間をかけなくてはならないように改善?されました。
混構造なんて現代の技術をもってすればちっとも特殊なものではないのに、一般の役所や確認申請期間ではその程度のことですら手に負えないため、ちょっとでも特殊だと判断されるとすぐに適合性判定機関送りということにこれも改善?されました。
そもそも、建築士に対する指導を強化していながら、法律そのものの内容や指導する側の役所や確認申請機関のレベルアップが改正の要件に含まれていないことがとてもおかしいのです。
消費者保護という名目で実はお役所お得意の責任回避の施策ではないかと勘ぐりたくもなりますね。
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中村 雅子
建築家
-
改正基準法は建主の為にならない
今回の法改正はガイドラインの
議論が煮詰まる前の施行となったので
様々なところで ヒズミを生じていると思います。
''JSCA(日本建築構造技術者協会)''は
要望書を国交省に提出し、
''或るジャーナル''は
改正建築基準法はいりません
というシンポジウムを開催。
姉歯事件の暗部を国会で明らかにした
馬渕議員もパネリストとして参加されるようです。
建主にとってはわかりずらい内容かも知れませんが、
例えていえば、意匠のデザインも回答が
様々あって当然なのと同じように
''構造の回答も様々だということです''
それを1担当者の見解で原則論の是正を強いられたり、
単に、混構造(RC+木構造やRC+S)というだけで
適判にまわり余計な出費と期間(2〜4ヶ月?)を
強いらることになります。
それを回避するには ''無難な建物の設計''
をやるしかないのです。
空間的な軽さ,スパンのデザインなどの表現方法,
基礎に負担をかけない=経済設計などの判断で
RCの屋根に代わり、木造や鉄骨を選ぶ=混構造では
ハイリスク・ローリターンが伴う。
ということです。
デザインにもエンジニアとしても優秀な構造設計者は
いなくなります。
森岡 篤
建築家
-
変更できない
以前の確認申請での構造計算は、大臣認定プログラムを使用すれば、入力データと計算結果のみの審査で、''計算過程は審査しなくて良いしくみ''でした。
姉歯は、この審査されない計算過程を、文書偽造、改ざんしました。
だから、イーホームズだけでなく、数多くの検査機関が見抜けなかったのは、当然なのです、''審査しないしくみ''だったのだから。
計算過程をチェックするしくみを作れば、偽造は防げるにもかかわらず、このしくみを作らず、「厳格化」と称して、関係のない手続きを大幅に変えてしまいました。
肝心の偽装は防げるのかというと、多分無理でしょう。
頭数が増えても、膨大な計算機出力を完全に追うことは不可能ですし、そういう目でチェックしてはいないと思います。
確認申請が厳格化して、もし偽造が見抜けない場合、責任を取るのでしょうか、いいえ、取りません。
元々、責任を取らない審査は意味がありません。
確認申請による法律での審査は、最低限にすべきであって、それ以上については、消費者が選択でき、責任の取れる保険制度によるべきなのです。
基準法施行による建築界への影響は、計り知れないものがあります。
住宅の建主にとっても、さまざまな影響があります。
これは他の先生方のおっしゃるとおりなのですが、その中で私が特に問題視しているのは、''変更がやりにくくなった''ことです。
建築は、個々に設計するので、設計中は、建主はもちろん、設計者も完成した建物を体験することができません。
模型、パースさまざま検討しますが、どんなにスタディしても、建物実物ができあがるプロセスで、より良いものを追求すれば、設計内容を調整、変更する場面が必ず出ます。
建主もできあがり始めてイメージがつかめるので、変更があり得るのは当然のことです。
変更が大きく制限され、変更すると確認出し直しを恐れ、モチベーションが削がれてしまいました。
(現在のポイント:-pt)
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