対象:住宅設計・構造
回答:4件
分離発注の問題点
分離発注の目的は安く依頼することにあるのではなく、同じコストならばしっかりした工事をするところを選ぶことが本来の目的です。
また、コストの不明な内容をはっきりさせるという目的もありますので、分離発注すれば安くなるというような短絡的な考えは間違っています。
たとえば住宅を新築する場合、家具工事を腕がいいといわれているA家具屋さんに依頼したいと思います。
通常は発注した建築会社と取引しているB家具店が家具工事を見積をしますが、その場合、その家具工事の見積にはBの経費と建築会社の経費が乗せられての工事費用ということになります。
そこで、家具だけをAに依頼するとした場合、建築工事費から家具工事は除かれて、家具工事の見積はAの経費だけが乗った金額になります。
これだけ見れば分離発注のほうが建築会社の経費が無い分安い思われるでしょうが、Bが建築会社から家具工事の依頼を頻繁に請けている場合、建築会社に有利になるように値引きした金額を出すケースがほとんどです。建築会社の経費が乗ってもAの見積金額との大きな差は生じてきません。
同じ金額なら腕がいいといわれているAが作った家具が立派にできることは考えられますが、Bもなかなかいい工事をするのであれば、あえて分離発注する意味は薄れます。
理由は、分離発注した場合、責任の所在があいまいになります。
将来、なんらかの瑕疵が生じた時、分離発注の場合はその瑕疵にかかわると思われる業者をすべて呼んで責任の所在をはっきりさせないと手直しはできませんが、誰も自分に責任があると言いませんから、水掛け論に終始することは簡単に想像できます。
分離発注の問題点は最終責任をどこがとるのかがはっきりしないということに尽きますので、その場合の解決策を講じておく必要があります。一括発注の場合は、元請けの会社が工事に関する責任を負うことになります。
以上、簡単に書きましたがお分かりいただいたでしょうか。
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分離発注方式の建築について
こんにちは。 サカイデザインネットワークの酒井です。
分離発注で建築工事をローコスト化するには、工事金額の比較や工事を分離することで生じるスケジュール管理、予算管理、資材発注など、分離発注業務を管理する専門家が必要だと思います。
ほんとうに安いのか、粗悪品ではないかなど見極めることができなければ、安いだけで飛びついては重大なリスクが生じてしまうからです。 そのためにも、私は住宅規模の建築の場合、設計事務所がその役割を担うことがベターだと考えています。
私自身、約10年前より設計した住宅の工事を分離発注にて実行するケースが多くなり、現在でもお客様のご希望があれば積極的に分離発注方式の建築を手掛けておりますが、時間と労力はかかりますが、予算内で高品質ローコスト化を実行するには良い方法だと考えております。 そして、実際に高品質な材料を使いながらローコスト化も実現しています。
分離発注のポイントは、資材は保障が効き、メーカーまたは加工所などから直接調達する事。 施工は現場で自ら仕事をする職人さんにダイレクトに依頼する事です。(もちろん設計者とのコミニュケーションがとれている方々のほうがよいと思います)中間マージンや間接的な経費を削減することで大きなコストダウンの可能性がでてきます。
分離発注に関するコラムを書いておりますのでぜひご覧下さい。
参考になれば幸いです。
ローコストを実現する分離発注方式とは#1
ローコストを実現する分離発注方式とは#2
ローコストを実現する分離発注方式とは#3
ローコストを実現する分離発注方式とは#4
回答専門家
- 酒井 正人
- (東京都 / 建築家)
- サカイデザインネットワーク有限会社 取締役社長
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建築工事の分離発注
こんにちは、山下です。
分離発注による注意点について、、、
当社では、分離発注はお断りしています
のちに問題が発生した場合、誰が積を負うか
施工の瑕疵なのか、素材の瑕疵なのか、監理の瑕疵なのか
協議は炎上するでしょうね。そのようにならないよう
ガイドラインを設定すれば良いだけなのですが
なかなか困難だと思います。安いからしょうがない等
回答がきたら協議にもなりませんからね、、、
コスト優先を取るだけではなく現場を円滑に進める為にも
スケジュール監理は忘れずに行いたいところです。
建築コストを落とすには
分離発注以外に手法はあると思います。
簡単なご説明ですが、ご理解いただければ幸いです。
yamayosi | 山下
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敷浪 一哉
建築家
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あえてデメリットだけ書きます
分離発注というのは、単純に工務店の中間経費を削減するため価格的などのメリットがあります。
しかし、ここではあえてデメリットを書きましょう。
分離発注というのは、建主さんご自身が直接専門工事業者(大工や水道屋、電気屋など)に依頼して工事をします。つまり、ご自身が工務店と同じ立場になります。そのため、工務店にかかる費用を浮かすことができるのですが、その分ご自身で責任を負わなければなりません。一番大きいのは「品確法」による瑕疵保証。いわゆる10年保証と呼ばれるものですが、これは施工会社が建主に対して品質の保証をしなければならないのですが、この法律は分離発注の場合は適用されません。ご自身で品質の監理をしなければなりません。しかし、民間で分離発注をサポートする保証制度がありますので、そちらを使われるという方法はあります。
もうひとつは積極的に工事に関与しなければならないということです。
通常工務店が段取りしてくれることをご自身で行わなくてはならない場合があります。
分離発注の場合、現場の監理を設計事務所が行ってくれますが、数十社の専門工事会社との契約や、祭事の段取りや銀行との取引など、通常工務店に依頼するのと比べると、たくさんの時間と手間を割かなければなりません。つまり、工務店の手間を自分で行い、その分の費用を浮かすという考えでいるほうが賢明です。
分離発注の場合、設計事務所が関与してくれる内容はさまざまです。また、通常の設計費以外に分離発注での現場管理分の費用もかかりますのでご注意ください。
(現在のポイント:-pt)
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