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飲食店舗の権利購入と従業員の引継ぎ問題

法人・ビジネス 独立開業 2007/12/13 01:51

今ある飲食店6店舗を運営する会社で店長として勤務していますが、オーナーからお店の売却・購入の打診を受けており個人的には前向きに権利購入に向け検討しているところです。
購入が内定すれば私はいったん会社を退職し、店舗運営の受け皿となる会社を立上げ独立の予定です。
問題はオーナーから条件としてお店といっしょに従業員(すべて正社員)もすべて引継ぐよう求められていることです。
私としては、今回の権利購入によりお店の経営立て直しを考えていて、人件費も抑えるため人も少し入れ替え、給料の体系も変え人事の刷新を考えています。
このようなお店の権利の売買について、お店の設備など以外の既存の従業員の引継ぎも買い手である私がすべて負担しなければならないものなのでしょうか?
虫のいい話かもしれませんが、できれば私としては、必要な人間だけ受入れ、残りは自分の裁量で新規に採用したいと考えています。
このような考え方が法的に問題ないのであれば、従業員については一部引継ぎ一部は引継がないというふうにオーナーと交渉しようと思っています。
この考え方で法的に問題はないでしょうか?
後から裁判など問題を残し独立するのは嫌なので、きっちり法的にも対応したかたちで今回の売却の話に応じたいと思います。
どうぞアドバイスのほどよろしくお願いします。

ましこさん ( 埼玉県 / 男性 / 35歳 )

回答:1件

後藤 義弘

後藤 義弘
社会保険労務士

- good

ご質問ありがとうございます

2007/12/13 14:25 詳細リンク

*■ 回答のポイント
''事業譲渡の場合、譲り受け側に従業員の引継ぎが当然に強制されるわけではなく、あくまで当事者間の合意如何で移籍が決まります。 よってご質問のように新たな雇用条件に応じる従業員だけを新会社へ受け入れることも可能ですが、事後の紛争回避のためにも、雇用に関し当事者3者がお互いの権利関係を正しく認識したうえでの充分な協議が欠かせないものと思われます。''
**''★ 解説''
店舗の譲渡に伴い、譲り受ける側が法的に従業員すべての雇用を引継ぐ必要があるか … ? というご質問です。

お話のような事業譲渡の場合、あくまで当事者2者 ((理論上は3者間の意思確認が必要ということになりますが、本来従業員側には ''退職の自由'' と ''職業選択の自由'' が保証されていることから、実質譲り渡し側の会社の意思は問題にはならず、当事者2者の意思確認と表現しています。)) (ましこさんの会社と従業員) の意思が合致 (''両者ともYES'' ) しなければ移籍は成立しません。 事業譲渡は、組織が有機的に完全に合体してしまう ''合併'' と違って、部分的に合意のある部分についてのみ権利義務関係が移転する法律構成をとります。

例えば譲り受ける店舗が独立したひとつの会社であり、ましこさんの会社がそのすべてを引継ぐような場合、合併ということになり、従業員の雇用を含め譲り受ける会社の権利義務すべてを当然に引継ぐことになります。

また合併とは異なりますが、 ''会社分割'' (グループ会社化) というスキームを使った場合、少なくともそのお店でお仕事をされていた従業員の方はすべてましこさんの会社に自動的に移籍する、つまりましこさん側から見ると、合併と同じく一定の従業員の雇用を引き継ぐ法的義務があるということになります。

''【参考コラム】'' ''中小零細企業×M&A 【21】''

補足

ご質問からは会社の一部の事業 (店舗) を譲受けるように伺えるため、合併でも会社分割でもなく、事業譲渡に基く契約関係を前提にお話を進めています。

では従業員の移籍に関し、それぞれの意思が合致しない場合 (''両者ともNO'') その従業員の地位はどうなるかです。

この場合、従業員はそのまま現在籍の会社に残留することになりますが、もはやお店はましこさんの会社のものとなり雇用の受け皿がなくなるわけですから、従業員は行き場を失い、配置転換 (他店舗への異動) などの問題が生じてきます。 しかしこれはあくまで事業を譲渡す会社側の人事上の問題です。

また、お話のようにましこさんが個別に新たな雇用条件を提示したものの折合わない場合 (''ましこさんの会社YES/従業員NO'') はどうかですが、この場合もやはり当事者の意思が合致せず移籍は実現しません。 つまり、この場合は逆にましこさんが欲しい人材の移籍を強制することはできないということになります。

従業員の雇用を排除する意図をもった不当な事業再編((これが訴訟となった場合、商法上、民法上の判例法理等により排除された従業員の雇用に責任を持たせる判断が下される事例が散見されます。))ではなく、今回のましこさんのケースにような正当なM&Aスキーム (商取引) にのっとり行われる事業譲渡の場合、ましこさんの会社側に ''採用の自由'' が強力に保証されることからも、従業員の雇用を法的に引継ぐ義務はないことになります。

しかし昨今、事業譲渡など会社の組織変動に伴う従業員の移籍や解雇をめぐる紛争が増えています。

当事者間の合意がある場合を除き、ましこさん側に雇用を引継ぐ法的義務はありませんが、このように事業の再編過程で従業員の雇用が不安定になる事情を考慮し、譲渡契約の段階で、上のような法律関係を当事者が適切に認識し合い、紛争・訴訟等事後のトラブル防止を図る配慮・措置が必要と思われます。

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