対象:経営コンサルティング
設立4年目のベンチャー企業を経営しておりますが、このところ株主より社外取締役を置くよう要望がありました。ベンチャーに社外取締役を置くメリット、またはデメリットはあるのでしょうか。
※この質問は、ユーザーの方から事前にいただいたものを、専門家プロファイル が編集して掲載しています。
All About ProFileさん
回答:4件
社外取締役のメリットとデメリット〔ベンチャー企業〕
社外取締役というのは、通常、取締役会の監督機能強化を目的として選任されるものです。
企業の業務執行と一線を画して、直接の利害関係のない人物が第三者的な冷静な視点で企業の動きをみる役割があるのです。
株主から社外取締役を置くように要望があったということですから、ベンチャー企業がともすると陥りがちな一方向からの視点に業務執行が偏っている危険を感じられているのかもしれませんね。
また、株式公開を目指している企業であれば、新たな一歩を踏み出すためのきっかけが必要な時がきているのかもしれません。
このように社外取締役を置くメリットとして、
(1)第一義的な目的である取締役会の監督機能を強化できるほかに、
(2)戦略・戦術がある方向に偏り過ぎるのを防いだり、
(3)異なる視点から、新たな一歩を踏み出すきっかけを得ることができる
ということがあげられるでしょう。
一方、デメリットについてですが、
社外取締役といえど、意思決定機関である取締役会の構成員の一員。
目的意識や帰属意識の薄い人物が社外取締役に選任されてしまうと、せっかくのベンチャー企業の勢いに向かい風が吹いてしまうこともあり得ます。
社外取締役の選任には、慎重な判断が必要といえます。
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藤島 淑子
経営コンサルタント
-
「期待役割設定」と「人選」次第だと思います
一般に社外取締役を置く意味というのは、
「外の目=客観的な目での経営への参画やアドバイスを期待する」
ということだと思います。
そのことが、自分の会社にとってどのような意味を持つか、という
観点で考えてみてはいかがでしょうか。
たとえば、ベンチャー企業というのは、社員全員が同じ思いを強く
持ち、日夜仕事に没頭する状態が続くことがよくあります。
それはそれで良いことだと思いますが、どうしても血が濃くなり
すぎるというか、「自分たちのやり方」「自分たちの世界」が
固まりすぎる危険性もあると思います。
それに、まだ規模が小さいうちは、なかなか新しい情報や考え方が
組織内に入って来にくいので、効率的に成長する機会を逃して
しまうことも考えられます。
そんなとき、社内に少し新しい血を流してみると、新たな発見や
気づきにつながり、成長が加速するかもしれません。
そのような役割を、社外取締役に期待することもできるのでは
ないでしょうか。
また、近い将来IPOを目指している場合には、どうしても全員が
目先のIPOという“イベント”に囚われがちです。
でも、IPOを考えている会社にとって大切なのは、IPOをゴールと
するのではなく、それを境に、更に成長を加速していくことです。
だから、そのための基盤や体制、体力を早いうちから整えておく
ことが非常に重要になってくると思います。
そう考えたとき、中長期的な視点、客観的な視点を持って、
近視眼的になりがちな組織(特に経営陣)の目線を引き上げる
ような刺激を与えてくれる人がいれば、とてもありがたい存在に
なると思います。
さらに、外部の目、一般株主の目から見ても問題のない社内体制
(ガバナンス)やビジネスモデルになっているかを検証するという
意味でも、リトマス紙の役割を果たしてくれるのではないかと思い
ます。
補足
一方デメリットについてですが、ベンチャー企業にとって一番重要
なのは、「起業の原点である想いやビジョン」と「スピード感」
だと思います。
少人数で、チームワークとスピード重視で運営している会社が多い
でしょうから、組織に一人でも会社の想いやスピード感に異を
唱える人がいると、致命傷にもなりかねません。
そう考えると、社外取締役が創業の想いや会社のスピード感を
十分理解していない場合には、成長を鈍化させてしまうことが懸念
されます。
なかなか自分たちの思う会社に近づくことができず、随分窮屈な
経営になってしまう危険性があることは、念頭においておく必要が
あると思います。
ということで、ベンチャー企業にとって、社外取締役を置くことで
期待できるメリットもあれば、一方で注意しなければならない点も
あると思います。
以上のことを踏まえ、社外取締役を置くことになった場合には、
次のような点に気をつけることが大切ではないかと思います。
1)社外取締役をおくということが、自分たちの会社にとって
どのような意味があるのか、をしっかり考え、期待役割を
明確にすること
2)上記のようなリスクを想定し、会社の想いやスピード感を
ちゃんと理解してくれる人を選ぶこと
3)社外取締役に期待したい役割と、自分たちの会社の想いや
会社として大切にしたいことについて、社外取締役本人と
しっかり共有しておくこと
以上、長くなりましたが、何か少しでも参考にしていただけると
幸いです。
澤田 勉
保険アドバイザー
-
社外取締役をベンチャー企業に置く意味
私の実体験でお答えさせていただきますね。
弊社もベンチャーと言えると考えていますが、
社外取締役を複数名置いています。
会社の中にない経験やノウハウ・人脈のある方に
補完していただいている、というのが実態です。
私はベンチャー企業とは、山登りのパーティだと考えています。
登る山(目標)を決め、一緒に参加する仲間を集め、
道具を準備し未開の森林に挑んでいく・・・。
その我々をヘリコプターから見て注意喚起してくれるのが
弊社にとっての社外取締役です。
ベンチャーは「夢と情熱と勢い」で「経験と資金の不足」を補っています。
精度を上げるためには社外取締役はひとつの方法化と考えます。
田邉 康雄
経営コンサルタント
-
会社信用力向上の手段と考えています。
私も「ベンチャー会社」有限会社田辺コンサルタント・グループを経営しており、「''社外取締役''をベンチャーにおく意味は?」という御質問には無関心ではいられません。今は''社外取締役''の選任はその必要性がないと判断していますが、今回の御質問を契機として勉強しました。
―― 会社法で「委員会設置会社」という会社が規定されているそうです。「指名委員会」「監査委員会」「報酬委員会」が会社の運営を監視している会社のことだそうです。
―― 委員の数は3名以上でその過半数は''社外取締役''となっているそうです。この委員会設置会社については、「新・会社法Q&A」に記載されています。私もこれを読んで従来の知識を再確認しました。
―― 私もコンサルタントですが、本件は分野が異なります。分野の異なる件については、自分ひとりで考えることを避けて常に他のコンサルタントに相談することにしています。「餅は餅屋」なのです。
―― 本件のような内容に関して具体的な解答が必要な場合は、私田辺コンサルタントは有限会社''田辺コンサルタント''・グループの経理を担当している藤間事務所トウマ公認会計士税理士事務所に聞くことにしています。
創業以来百二十年にもなる、信用ある''公認会計士税理士事務所''です。この事務所に経理を見てもらっているという事実が、当社の信用力を向上させていると考えています。いわば「''社外取締役''」を選任していると同じような効果があります。
―― この効果(信用力向上)の説明によって「''社外取締役''をベンチャーにおく意味は?」の回答とさせていただけますか?
(現在のポイント:-pt)
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