対象:住宅設計・構造
はじめまして。
大阪府内の準防火地域にて建築予定の者です。
木造住宅3階建ての非常用開口部と斜線制限と格子について質問させてください。
西側幅員4mの道路に面しており、両隣りは住宅、裏は3階建ての集合住宅のある土地を契約致しました。
2階3階の跳ね出しバルコニーの外装部分に周囲からの目隠しと、意匠的に横ルーバーや横格子を設置したいと考えておりました。
しかし現在担当してくださっている設計士の先生によると、斜線制限に関しては開放性の高い物であれば格子をつけることは可能との回答でしたが、非常用開口部を設けなければならないので格子でバルコニーを塞ぐことは不可能という回答をいただきました。
素人ながらこの条件で設置可能な格子やルーバーを調べておりましたら、【非常用侵入口の設置緩和における開口部の構造】というところに、格子(破壊の用意な木製のものは可)という文言をみつけました。
そこでお知恵を拝借させてください。
斜線制限もクリアできる開放性の高いもので、尚且つ非常用侵入口としても認められる破壊の用意な格子はどのような商品なのでしょうか?
ご回答よろしくお願い致します。
museenetさん ( 大阪府 / 女性 / 28歳 )
回答:3件
橋本 健
建築家
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非常用進入口と目隠し格子
museenetさん、こんにちは。
建築物の3階以上には、道路に面して非常用進入口または代替進入口を設けることになっています。
幅75cm以上高さ1.20m以上の大きさで、火事の際、消防隊員が当該部分を壊して中に入り、消火活動をする。という目的で設けられたものです。ご質問の内容からすると、目隠し用にと横ルーバーをサッシの外側に設けたいとのことですね。
大阪市建築基準法取扱要領>によりますと、「非常用の進入口に代わる開口部の構造は次表のとおりとする。ただし、広告塔・看板・日除け・雨除け・ネオン管灯・固定した格子・シャッター及びシャッター雨戸等は進入の障害となるため、これらを用いる場合は、非常用の進入口に代わる開口部とみなされない。」とあります。従って固定した格子は認められない。ということです。
ではどうすれば良いか。これは担当設計士の方から当該行政庁に確認していただく必要がありますが、これまでの経験でお話させていただきます。
まず所定の大きさの窓をカバーする格子をひとまとめにし、両側の格子から独立させ、非常時には外から開けられるようにする方法。もうひとつは格子の一本一本を簡易固定とし、持ち上げるなどして外せるようにしておく方法。ドライバーなど器具を使用しなと外せないものは認められません。消防隊員がルーバーに触れた時点で、「あぁこうすれば外せるんだな」と瞬時に判断できるものである必要があります。
私共では添付写真のように、木製ルーバーをひとまとめにし(この場合は内から外の避難用)蝶番にて開閉ができるようになっています。この外から開けるタイプを大工さんにつくっていただいてはいかがでしょう?既製品ではなく、他のルーバーとのデザインも揃えられますし、さほど高額なものではありません。
認めるか、認めないかは厳密に言うと、それぞれの自治体で微妙に異なります。
設計士さんを信頼して、交渉してみて下さいね。
中山 秀樹
建築家
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既製品のラインナップでは無いと思います。
こんにちは。
ご相談内容を拝見いたしました。
設計士以上に建主の方が頑張っておられるようですね。
カッコいいご自宅ができると良いですね。
さて、主題に戻りますが私も過去に同じ設計をした経験がございます。
そのときも木製ルーバーを設置しました。そのときの非常用進入口(木造住宅の場合は代替進入口といいますが)も木製で丁番を付けて開きドアのように制作しました。意図としては「破壊の容易な~」という解釈が曖昧だからです。私が容易と考えても有事の際に消防隊が破壊できなければそれは容易とは言えません。そのような重要な判断を一分一秒を争う有事に行うものではないと考えたからです。よってそこが開きドアであることを瞬時に判断できる形態であり、容易に開閉できる構造であれば問題無いと判断しました。それでも、安全性の二段構えで扉は華奢に作り蹴飛ばせば破壊できる構造にしました。
ここで言えるのは破壊できる構造か?、容易に開閉できる構造か?は独自で判断しないでください。この法律は建築基準法なので、窓口は所管行政庁になりますが、実際の救助活動は消防署なので管轄の消防署の担当部署へ必ず相談してください。
その時は「どういった構造が良いですか?」という相談ではなく建主と建築士の解釈で妥当と思える案を持っていかなければならないこともお忘れなく。
というわけで、このように曖昧な条文に対するものなので、既製品は存在しないと思います。
(探してもいないのであったらゴメンナサイ)
シンプルな構造なので、制作費用はさほど掛からないと思いますし、大工さんでもできる内容です。
ただ、安全性については慎重に検討してください。有事でなくても普段使いで危険性があっては言語道断ですし、日常のメンテナンスにも気を使わなければなりません。
安全で間違いのない回答を建築士の方と見つけられると良いですね。
ご希望の回答で無かったかもしれませんが、家づくり頑張ってください。
上村 美智夫
建築家
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非常用進入口・代替進入口とバルコニーの目隠し用の格子について
はじめまして、PAO建築設計の上村です。
お尋ねのケースは道路に面する3階部分の外壁に非常用進入口(代替進入口)を設ける必要があり、その前面に跳ね出しバルコニーが取り付いているということだと思います。そして、そのバルコニーの手摺部分を目隠しの目的も兼ねて、横格子(横ルーバー)の視線を遮るある程度背の高いものにしたい。なおかつ、その横格子は道路斜線が緩和される、開放性の高いものであること。
そこで、文面にある【非常用進入口の設置緩和における開口部の構造】に出てくる格子、手摺とは、非常用進入口(代替進入口)に取り付いている格子、手摺を指しているのであり、今回お尋ねのバルコニーに取り付ける目隠し目的の横格子の事ではないと思われます。
この目隠し目的の横格子がない状態が、非常用進入口(代替進入口)としての本来の姿です。従って後は交渉術のような話になりますが、行政の消防担当者に、この横格子があっても、消防活動の妨げになるような事はないと認めてもらう必要が出てくるでしょう。
代替進入口の大きさは、幅≧75cm、高さ≧1.2m又は、直径1m以上の円が内接できるもの。格子や網入りガラスのはめころし戸など進入を妨げないことと決められています。したがって目隠し目的のこの横格子がこの基準以上の性能があり、容易に消防隊員が代替進入口まで辿りつける事を分かってもう必要があるでしょう。
また道路斜線等の緩和規定にも抵触しないことも建築基準法関係の担当者に確認しておく必要が出てくるでしょう。
既製品としての商品は、現在のところ見付かってはいませんが、無い場合は制作することになります。
画像検索などでは、それらしきものもあるようですので、全く可能性が無いわけでもないようです。
強い思いで粘り強く交渉にあったてみては如何でしょうか。
解決策とは程遠くなってしましました。
少しでも参考になれば幸いです
PAO建築設計
http://www2.gol.com/users/paoarchi/ E-mail paoarchi@gol.com
(現在のポイント:-pt)
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