対象:企業法務
取引先から提出される見積書を元に注文書を発行していますが、見積書に有効期限を記載されない取引先があります。
有効期限を設定すると取引先はその期間は提示した金額で売ると宣言したことになるのであえて記載しないのかも知れませんが、注文側からすれば有効期限が記載されていなくても特に問題が無いと理解していました。
ところが、ここにきて遵法面から「有効期限が無い見積書を元に下請取引先に発注した場合は買い叩き(=過去の価格を強制した)とみなされる可能性が排除出来ない。」という理由で、全ての見積書に有効期限を記載させる様にとの方針が出て来ました。
とはいっても有効期限を記載されない取引先、有効期限を記載する欄さえ無い見積書様式の取引先もありますので、現在は「発行日が3ヶ月以内の見積書は有効」という判断基準を独自に制定して発注業務を行っています。
本件に関して下記質問させて下さい。
Q1)下請取引先に見積書の有効期限を記載する様に依頼・強制することは問題ないでしょうか?(あえて記載していない様なケースなどはないでしょうか?)
Q2)有効期限が無い見積書を元に下請取引先に発注する行為は監査等で問題有と指摘される可能性があるものでしょうか?
Q3)有効期限を記載してもらえない下請取引先の見積書はどの程度の期間であれば発注に適用しても良いものでしょうか?
以上、よろしくお願いいたします。
コンプラインスさん ( 大阪府 / 男性 / 55歳 )
回答:1件
中井 岳郎
法務コンサルタント
4
取引先からもらう見積書の有効期限記載要否の件
端的に申し上げます。
見積書は、「申し込みの誘因」という法律行為ですが、申込みとは注文をさしますから、
意味からすれば、注文を促すための道具にすぎません。
とはいえ、たとえば、「A」という商品がB社に100個在庫している前提において、X社は「A」を60個ほしいので、B社に見積もり依頼をします。
定価は1個100円ですが、60個まとまっているので、B社は1個あたり25円値引きして見積もりました。在庫の100個は残り20個になった仕入れますが、それまでは補充しませんが、毎月コンスタントに80個は売れているとします。そうすると、平均的に週20個は売れている計算になるので、60個が確保されているのは最大で2週間までなので、B社は見積もり有効期限を10日と設定しました。
同じ状況で、見積もり有効期限を設けなかった場合でも、上記のような流通商品の場合は、常識的範囲において、2週間程度が一般的です。
さて、以下、ご質問にお答えします。
Q1について:見積もりの対象が商品の場合は、要請してください。
・・・強制は基本できません。
Q2について:基本的に問題ありません。
Q3について:常識の範囲で、商品なら10日から1か月程度、サービスの場合、年度の切り替え時期に変更されるでしょうから、時期によっても違いますが、1~3か月程度が最大だと思います。
ご質問の文中に買いたたき云々の記載がありますが、法律上、契約行為は、
1申込みの誘因=見積もり
2申込み=注文
3請書=承諾
というステップを踏む際、見積もりに対して、優越的地位を利用して、極端な値引きを要求したり見積もり金額でも数量を変更するなど、強制力が伴った場合を指します。
なお、流通品の場合も、急激な為替変動や災害の発生などによる価格変動など不可抗力的な環境の変更がありますから、3か月を基準とするのは、安定した環境である場合と割り切るべきかと存じます。いずれにして、業界の不文律などがありますので、より具体的な内容の方が適格性は増します。
ご質問ありがとうございました。
評価・お礼
コンプラインスさん
2014/06/16 07:58ご回答ありがとうございます。
一番懸念しておりますQ2のご回答が「基本的に問題ありません」ということで、方向性が見えて参りました。
当社が一番気にしているのは下請取引先への遵法ですので、「見積有効期限はお互いのために出来るだけ記入してくださいね。」といったニュアンスで申し入れてみたいと思います。
お忙しい中、適切なアドバイスを頂きありがとうございました。
(現在のポイント:-pt)
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