対象:民事家事・生活トラブル
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勤めていた会社を退職しました。入社時には、給与、休日日数、業務範囲、退職金の有無を記載した処遇内訳書だけを貰いました。勤めていた間は、それに基づき給与も支払われていました。この書面以外には提示されたこともなく、知る限りでは、それ以外の就業規則などは存在してませんでした。
ところが、退職後に処遇内訳書に記載された通りの退職金を支払ってくれるよう申し出たところ、それに記載されている退職金は支払わない。記載されている計算方法も想定だとして支払いません。その後、自宅に就業規則なるものが送られてきました。それには、勤続年数別に退職金を支払うか否かが記載されていて、私は支払いに該当しないことになっています。
しかし、退職まで一度もそのような規則の存在も知らされず、見たことも聞いたこともないものでした。他に退職した従業員もその就業規則について聞いたことも見たこともないと証言しています。
裁判となりますが、このようにあたかも辻褄を合わせるかのように、後から就業規則を作成して勤務していた間から存在していたとしています。
実際、裁判では証人もいますが、後から就業規則を作成してだから支払いませんというような姑息な方法は認められるものなのでしょうか?
こちらは、証人で就業規則を知らない、見たことも、その存在も告げられたこともないとしますが、裁判所側の対応はこれまでの判例からどのようなものでしょうか?
ご教示よろしくお願いします。
補足
2014/03/10 22:42鈴木弁護士様
度重なるご教示、ありがとうございました。大変勉強になりました。もう一度整理して臨みます。私の読解力では、どうよんでも退職金は有で、その支給額の計算もできます。範囲が定まっているのでその範囲内で会社が決めて説明するものだと読めました。
どうもありがとうございました。助かりました。
さんぽさん ( 東京都 / 男性 / 50歳 )
回答:1件
鈴木 祥平
弁護士
39
退職金は労働契約又は退職金規程(就業規則)によって決まる。
さんぽさん初めまして、弁護士の鈴木祥平と申します。処遇内訳書というタイトルの書面が具体的にどのような書面であるのかについては、拝見させて頂かないとわからないところですが、処遇内訳書に「退職金の支払いあり」とだけ記載があり、退職金の具体的な金額あるいは算定式が記載されていない場合には、処遇内訳書が退職金の支払いの根拠にはなりません。
処遇内訳書には、具体的な退職金の金額、あるいは、具体的な金額を算定できる算定式があるのでしょうか。そのような記載があるにもかかわらず、後から就業規則(退職金規程)を後付けで作成した場合には、労働条件の不利益変更になりますので、一定の要件を満たさなければ認められるものではありません。
また、就業規則(退職金規程)に記載されている事項が労働条件となるためには、内容が従業員に周知されている必要があります。これを「周知性」要件といいます。
周知されているといえるためには、「従業員が内容を知ろうとすれば知り得た」ということが必要になってきます。会社側としては、具体的にどのような方法で周知をさせたのかについてきちんと説明する必要が生じてくるでしょう。
いずれにしても、処遇内訳書がどのような書面なのか、そして処遇内訳書にいかなる記載がなされているのかによって、結論が変わってくると思います。
退職金の支払を請求する場合には、退職金請求権を基礎づける根拠がなければなりません。その根拠として、処遇内訳書に具体的な金額あるいは、具体的な金額を算定できるのような算定式が記載されているかが重要です。それがなければ、支払い根拠となるものがないので請求は難しいと考えた方がいいかと思われます(入社当時に具体的な退職金を定めた退職金規程があるというのであれば別ですが、そのような退職金規程はおかれていなかったのではないかと推察されます。)。
評価・お礼
さんぽさん
2014/03/09 18:54鈴木弁護士様
ご回答頂きありがとうございます。
渡された処遇内訳書には、退職金の有無の箇所が有となり、その算定式は支給総額の10-20%となっておりました。その他、処遇内訳書には、給与、休日日数、業務範囲、等々が記載されて押印されたものでした。
当初は、相手方は入社を口頭で認めたのですが、給与等の提示がなかったので、こちらから提示を求めて処遇内訳書を送ってきました。退職まで待遇に関するそれ以外の書面は一切見たことも告知されたこともありませんでした。ですから、給与明細書から計算できる金額の支払い金額を要求しました。
ご指摘頂きました、「周知性」はなかったです。私の場合は、この周知性は存在していないという事を他の元従業員の証言で証明すれば、こちらの主張が認められる可能性が高まると考えてよろしいのでしょうか?
可能であれば、よろしくご教示のお願い致します。
鈴木 祥平
2014/03/10 21:47処遇内訳書に10%から20%という抽象的な記載しかないということであれば、その範囲内で裁量的に決める(場合によっては、退職金規程などで条件を定める)ものであると判断されてしまう可能性が高いです。ですから、就業規則の周知性を争ったとしても、もともとの退職金の支給の根拠がないことになってしまいます。もともと退職金支給の根拠があったにもかかわらず就業規則で条件んが不利益に変わったという場合には、周知性の要件、不利益変更についての合理性の要件を満たさなければならないということになりますが、処遇内訳書に10%から20%という記載しかないのであれば、相手方の「想定」に過ぎないという話が通ってしまう可能性が高いです。
(現在のポイント:-pt)
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