対象:住宅検査・測量
接道義務について
サラサチエ さま
はじめまして、不動産コンサルティング会社、アドキャストの藤森と申します。
ご質問いただきました件ですが、
建築不可となるかどうかについて、もう少し確認や調査が必要と思われます。
サラサチエさんのご実家は4棟現場のひとつとのことですが、通常は分譲する際、未接道となる区割りは当然行いません。
ご指摘の通り、ある日から法改正に伴い既存不適格となる物件もございますが、2mの接道義務は建築基準法が施行された昭和25年当時からのものなので、それ以前に分筆・分譲・建築されたものでなければ、この「建築基準法に2m以上の接道義務」は意識して企画されているはずです。
但し、昔は現在のようなメートル法や平米表示でなく、尺貫法や坪表示が使われていた時期があり、分筆する際に、曲尺(かねじゃく)を使い「1間あれば大丈夫」といった感じで区割されていた時期もあると聞きます。
(古い時期に間口2メートル未満で分筆登記された物件は、「間口が約1.8m」というものが多いです。)
サラサチエさんのご実家は1.9mで登記は2.0mとのことですので、本当に間口が1.9mで分筆された敷地なのかどうか、質問にある情報だけでは判断し兼ねます。
もし、現地の利用状況が1.9mというだけで、地積測量図にある4区画の合計間口と、現地の4区画の合計間口は同じ長さ。
現地には各区画の間口ごとに、境界ポイントによってハッキリとした区割りがあるわけではなく、境界立会いや境界確認書等への署名捺印などを行った経緯もなし。
ということであれば、本来は2.0mある間口が、長い年月の間に利用状況が変わってしまい、現況で1.9mしかないように見えているだけということも多くあります。
その場合、隣地所有者と地積測量図などの根拠に基づいて本来(間口2.0m)の境界立会確認を行ったり、隣地から越境されている物があれば、解消(建物などは建替時等)する覚書を取得するなど、売却を機に土地家屋調査士や測量士にそれらを依頼することも最近では良く見かけます。
尚、長い年月(10年もしくは20年)の間、その状態にあると、隣地が時効取得を主張できることもあるので、土地家屋調査士や測量士にその旨を話して、登記簿(地積測量図?)通りに間口2.0mとして、他の区画所有者と境界確認し合える可能性はあるのかどうか、相談してみる価値は十分あると思われます。
補足
■補足
境界には「私法上」か「公法上」かによって、認識している境界が登記されている境界と違っていることがあります。
私法上とは、
「所有権界」「占有界」「利用界」とも呼ばれており、隣接地の所有者と、使い勝手が良いように合意して利用している境界です。
これは所有者同士の合意等によって変わったりします。
公法上とは、
「真の境界」「筆界」とも呼ばれており、登記されている土地の境界です。
これは登記申請によって変更・設定することができ、所有者同士の合意等によって変更することはできません。
私法上の境界(以下「境界」という)と、公法上の境界(以下「筆界」という)が合致していれば何ら問題はありません。
ほとんどの場合、筆界は所有権の範囲と一致することが多いのですが、年月の経過や利用状況・所有者が変わったりすると、現況のどこが登記された筆界なのか分からなくなり、現在利用している土地や自分の(隣地所有者含む)認識している境界が、筆界と一致しないこともあります。
境界と筆界が一致していない可能性については、しっかりとした調査が必要ですので、質問の内容のみでは判断できませんが、登記簿(地積測量図?)2.0m、実測(現況?)1.9mは、これに該当しているでは?と印象を受けます。
また、本文であげた時効取得のように、登記していなくても所有権(私法上)としての範囲が広がっていたりします。
時効の援用で権利の得喪が生じただけでは第三者に対抗できない為、その部分を分筆し所有権移転登記するよう請求されることがあり、この範囲を登記すると筆界(公法上)の範囲も広がったことになります。
筆界の特定自体は筆界特定制度を利用し、筆界特定登記官が筆界調査委員の意見を踏まえて特定するもので、登記簿に筆界特定が行われた旨が記載されます。
所有者同士での民民立会が上手くまとまらなかった場合に行われることも多く、登記簿にこの記載があると、「境界立会で隣地所有者とモメたのでは?」と思われることもあります。
また、仮に未接道であった場合、43条但し書きという方法が適用できれば建替えができます。
建築を行おうとする度に審査が必要となりますし、地方公共団体の許可基準などで階数、規模、前面道路の幅員確保、用途などに建築制限もあります。
未接道・原則は建築不可には違いありませんし、資産価値が目減りすることも有ると思いますが、役所で条件等の確認をしてみてはいかがでしょうか。
以上、ご参考になりましたでしょうか
アドキャスト:http://ad-cast.co.jp/ 藤森哲也
住んでから気になることを事前に説明 http://www.ad-cast.co.jp/purchase/object-report/
回答専門家
- 藤森 哲也
- ( 不動産コンサルタント )
- 株式会社アドキャスト 代表取締役
将来必要なお金を把握せずに、家を買うのって怖くないですか?
売ってしまえば終わり・・・になりがちな不動産業界の現状に疑問を抱き、不動産購入には欠かせないお金の勉強をスタート。FP資格を取得。住宅購入に向けての資金計画、購入後の人生設計までトータルにサポートする「一生涯のパートナー」を目指しています。
(現在のポイント:1pt)
この回答の相談
このQ&Aの回答
このQ&Aに類似したQ&A