対象:住宅設計・構造
森岡 篤
建築家
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緩勾配は立ちハゼ系
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MoMofromSDさんこんにちは
パルティータ建築工房の森岡と申します。
雨漏りするかどうかは、屋根の形状:屋根勾配、屋根の葺き方の問題です。
一方、屋根が劣化、腐蝕するかどうかは、材料の問題で、別の問題です。
金属屋根の葺き方には色々な種類がありますが、代表的なものに、''平葺き・一文字葺き''と、''立ちハゼ系''があります。
''平葺き''は、屋根勾配方向、水平方向共に板を折り返すハゼで構成します。
余り緩勾配だと雨が漏る可能性があり、通常3寸勾配以上で用います。
''立ちハゼ系''には、スタンディングシーム、瓦棒葺き、フラットルーフ等があります。
屋根の基本は、U字型で雨を受け、ハゼのような継ぎ手がないので、緩い勾配でも使うことができます。
ドーム状の屋根でも使われ、この場合、部分的ですが、水平で使われています。
立ちハゼ系で、断面形状が合理的なものであれば、1寸勾配でも可能です。
ガルバリウム鋼板は、鉄板に亜鉛・アルミ合金をメッキしたものです。
鉄は錆びやすいわけですが、亜鉛メッキやガルバリウムでは、金属の化学的性質で錆を防ぐため、安定しています。
現場で屋根加工中に切り子で錆が出たような報告もあるようですが、十分な膜厚のガルバリウム鋼板なら、注意深く施工すれば十分な耐光性があると考えられます。
参考にしていただけたら幸です。
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補足
瓦棒葺きには、
・昔ながらの方法で、屋根屋がU型に加工し、瓦棒部でフタをし、瓦棒サイドに釘で止めるもの
・メーカーが、瓦棒形状に屋根本体U字部と瓦棒部が、嵌合できるよう設計し、工場加工したもの
があります。
後者の嵌合製品は、そこそこ信頼性高いと思いますが、前者昔ながらの瓦棒は、釘で固定することと、形状が単純過ぎ、後者に比べ機能が劣ると考えられます。(コストは安い)
昔ながらの瓦棒の場合は、工務店、屋根屋に対し、1寸勾配でやりたい事を伝え、確認を取る方が良いと思います。
いずれにしても、屋根は雨漏りに対し10年保証となるのですが、万一雨漏りした時、「1寸勾配は無理なのに、強引にやれと言われたから・・・」というようなことを、言わせないためにです。
評価・お礼
MoMofromSD さん
パルティータ建築工房
森岡様
とても分かりやすい説明をありがとうございました。
瓦棒葺きと書いてあったので立ちハゼ系という葺き方なのですね。初めて知る事ばかりで新鮮です。
断面形状が合理的なものかどうかは分からないのですが、どこのガルバリウム鋼板を使用するのか調べて、大丈夫そうなら1寸勾配にしてみようと思います。
どうもありがとうございました。
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