対象:財務・資金調達
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税務基準での会計処理
現在の日本には、会計処理方法には2つの基準があるといえます。一つは会計基準、もう一つは税務基準です。
上場しているような大企業だけではなく、非上場の中小企業も、本来は「中小企業の会計に関する指針」等にもとづいて会計処理を行うべきだと思いますが、現実はそうなっておりません。例えば、減価償却費の計上を停止したり、売上の前倒し計上等が行われることも多々あるかと思います。これらも“粉飾”といえば粉飾です。(上場企業がこうした会計処理を行えば、間違いなく「粉飾決算」と新聞に書かれてしまいます。)
では、非上場の中小企業が、なんの基準もなく会計処理をしているかというと、税務上容認される会計処理を行っているのであり、非上場の中小企業は、税務基準で会計処理を行っているといえます。
(「中小企業の会計に関する指針」に強制力はありません)
どの税理士事務所も、基本的には、会社の方から頂いた資料をもとに、税務上適正な決算書と税務申告書を作成しているはずです。(故意に真正な事実に反する税務申告書を作成すれば、懲戒等の対象になります)
会社の方も、税理士事務所が作成した決算書をもとに、経営事項審査や銀行への提出書類を作成されているかと思います。
最後に、“繰越利益剰余金をイジッテル”具体的な方法にはわかりかねますが、単なる期ズレのような会計処理ではなく、架空取引のような粉飾操作を行うと、どこかで資料の整合性が取れなくなり外部からもわかりますので、そのようなことは行うべきではないと思います。
基本的には、以上のような考え方で理解されてはいかがでしょうか。
補足
再質問ありがとうございます。
さて、実質的に税理士事務所が決算書や資料を作成していても、法律的な関係でいえば、経営事項審査(分析機関や入札先)や銀行との関係は会社(顧問先)であり、税理士事務所は会社と業務契約を締結して決算書等を作成しているのではないかと思います。
実際のところ、経営事項審査での虚偽申請は後を絶たないようです。平成20年の経営事項審査の改正で、会計監査人や会計参与を加点評価とされたり、監督官庁からの営業停止処分が15日から30日に倍増されたのも、このためです。
一方、税理士事務所と会社の関係は、業務契約書のひな型をみると、会社からの資料提供の不足、誤りは会社の責任となっています。また、複数の処理方法がある場合は、会社に説明し承諾してもらえば、会社の責任という旨が記載されています。
そのため、仮に税理士事務所が作成した申請書が虚偽だとして会社が営業停止となっても、実際は会社が承諾のうえ虚偽申請を行っており、会社は税理士事務所の責任まで問えないのではないでしょうか。
銀行についても、同様の立てつけだと思いますが、銀行は中小企業が税務基準で決算を行っており、場合によっては粉飾を行っている実態を承知している場合もありますので、きちんと担保を設定し、問題が発生すれば担保権の行使や、人を送り込むようなより実質的な対応を図っているのではないかと思います。
回答専門家
- 森 滋昭
- ( 東京都 / 公認会計士 )
- 森公認会計士事務所 公認会計士・税理士
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監査・税務・ビジネス、”3つのキャリア”で、約20年。 その間、いつも「決算書の数字の奥にあるものをみる!」感覚を研ぎ澄ましてきました。 だから・・・ベンチャーから上場企業まで、あなたの会社の、一番の社外サポーターに!
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この回答の相談
私は税理士事務所に勤めている新人職員です。
?建設業の経営審査提出書類や、銀行に提出する財務諸表の粉飾は今でも多く行われているのでしょうか?
?姉歯一級建築士の耐震偽装に関連し… [続きを読む]
kinoさん (熊本県/34歳/男性)
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