対象:遺産相続
相続放棄の期限
民法第915条は、相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った日から3ヶ月以内に、相続の放棄をしなければならないと定めています。したがって、ご尊父様が2004年3月にお亡くなりになったので、2004年6月までに相続放棄の申述書を相続放棄を被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に提出しなければなりません。
したがって、平成18年2月20日に家庭裁判所に相続放棄の申述書を提出したとのことですが、相続放棄の申述期間が過ぎていますので、相続放棄は認められません。
(相続の承認又は放棄をすべき期間)
民法第915条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
補足
自己のために相続の開始があったことを知ったときの解釈(大阪高等裁判所平成13年10月11日決定)他の判決を見ますと,裁判所は厳格に判断していますので、
被相続人の債務を知らないことにつき、相続人に相当の理由がある場合(広島高等裁判所昭和63年10月28日決定)を除き、相続放棄が認められる可能性は少ないと思います。
もし、相続放棄が認めれない場合は、遺産分割協議書を作成しなくても、
いわゆる相続分不存在証明書
を用いて、遺産分割を経ず遺産分割登記ができます。
東京高等裁判所昭和59年9月25日判決・判例時報1137号76頁は、
「相続分不存在証明書の利用を遺産分割協議書の一形態とし、生前贈与の事実が伴わない相続分不存在証明書であっても、相続人の真意に基づいて作成された場合には、それによって取得分を零とする遺産分割協議が相続人間に成立したものとみて、相続分不存在証明書を付してなされた単独名義の相続登記に遺産分割協議の効力を認めた。」と判断しました。
本判決以前の裁判例の多くは、
「生前贈与の事実を伴わない相続分不存在証明書であっても、相続人の真意に基づいて作成されたものである場合には、それによって相続人間に相続分の放棄や贈与がなされたものとみた上で、相続分不存在証明書はそのことを証する有効な書面として、これを付してなされた単独名義の相続登記に遺産分割協議の効力を認めていました」
(高松高等裁判所昭和38年4月1日判決・家庭裁判所月報15巻7号94頁他)
(引用:別冊ジュリスト 家族法判例百選[第六版] 有斐閣 ?162 2002年5月 112頁
55 「相続分不存在証明書」と遺産分割協議の効力 小野憲昭 北九州市立大学教授)
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