始末書の提出拒否

凄腕社労士　本田和盛です。

　　始末書の提出は強制できるものではありませんので、処分
する事は困難です。
始末書とは、一般に違反行為をした者がその行為について謝罪
するとともに、今後同様の行為を繰り返さないことを誓約する
意思表示を行うものとされています。
　懲戒処分としての始末書の提出を本人の任意で行う事は可能
ですが、本人の意思がない場合に強制するまたは強制しないま
でも、提出しなかった事に対してなんらかの処分を与えるのは
上記の始末書の趣旨と異なってしまいます。また、過去の裁判
においてもその多くは良心の自由に関わる問題として認めてい
ません。

　また、始末書とは異なる「顛末書」、「経過報告書」
(違反行為の経緯末や事実経過を報告させるだけの書類)などは、
それが業務に関する事実関係を報告させるものであれば、会社
は業務命令の一環として、これらの報告書の提出を命令することが
できます。
　ただし、この場合にも報告書内に反省文や謝罪文を加えること
を強制した場合は始末書同様に個人の良心の自由に関わる問題と
なりますので、許されません。

　このような場合、実務上は、上記の「顛末書」、「経過報告書」
を提出させた上で、労働者に違反行為を行った事を認めさせ、
今後その行為を繰り返し行った場合に懲戒処分を行う旨を労働者に
伝え、改善されない場合に懲戒処分を行うことになります。

　始末書に関して、私のコラムに解説を掲載していますので、
併せてご参照下さい。
http://profile.allabout.co.jp/fs/honda/column/detail/51995