対象:労働問題・仕事の法律
労働条件の不利益変更に関わる観点で見るべき
まず労基法の規定はあくまで制裁として減給する場合の規定ですので、今回のような業績不振による減給とは関係せず、今回の場合はあくまで「労働条件の不利益変更」にかかわる観点となります。
経営不振による雇用調整が予想される状況で、整理解雇などの人員削減策が適正でない場合には、賃金切り下げもやむを得ないものとされますが、業務上の必要性と従業員の生活上の不利益を勘案し、バランスを欠く場合は「労働条件の不利益変更」として権利の濫用となります。
「労働条件の不利益変更」については、合理性があると判断される例外を除き、労働者の同意がなければ原則無効になります。
合理性の有無については、次の事項を総合的に判断することになっています。
○労働者が被る不利益の程度
○変更の必要性の内容・程度
○変更後の内容自体の相当性
○代償措置その他関連する他の労働条件の改善状況
○労組等との交渉の経緯、他の労働組合又は他の従業員の対応
○同種事項に関する一般的状況
ですから、単純に減給額がいくらまでは良いなどという話ではなく、そこまでに至るプロセスや措置の方法(一部の人に負担が偏っていないか)などについても妥当性が客観的に問われ、違法性については総合判断になります。
今回の減給措置が会社からの一方的通知だけで、同意もしていないのに行われているということであれば、この部分で違法性があると思います。
まずは会社に対して、きちんとした状況説明を求めて話し合ってみてはいかがでしょうか。全社員にかかわることなので、他の方とも連帯して動かれた方が良いと思います。もし誠意ある対応が取られないようならば、労働局や労基署といった機関が相談先になると思います。
回答専門家
- 小笠原 隆夫
- ( 東京都 / 経営コンサルタント )
- ユニティ・サポート 代表
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