対象:住宅設計・構造
野平 史彦
建築家
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「釘」は木造住宅の盲点
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とやおた様
お久しぶりです。
とやおたさんはいつも難しいご質問を投げかけて来ますね(笑)
私も枠組構造については詳しいとは言えませんので、推論としてお聞き下さい。
結論としては、とやおたさんがおっしゃっている様に「単にメーカーが認定を申請していないから」だと思います。
枠組構造では9mmの構造用合板をCN釘で止めて壁倍率3、軸組構造では7.5mm以上の構造用合板をN釘で止めて壁倍率2.5となっていますが、この仕様規定に従えば軸組で9mmの構造用合板を使っても壁倍率を2.5で計算しなければならないことになります。しかし、実際にはもっと壁倍率は上がるはずです。枠組は元々壁で保たせている構造なので9mmで認定を取っていたと思うのですが、軸組は筋交い中心であったため、面材での壁倍率については7.5mmでの実験に基づいたものしかなかったのかもしれません。
個別認定を取るには実際に結構な出費を強いられるため、特別、耐力面材としての強みをアピールしたいものでない限り、メーカーも個別認定を取るケースは少ない様です。
軸組でも釘のピッチを細かくして高い壁倍率を認められている工法がありますから、とやおたさんのおっしゃるように、壁倍率は実際には上がるのです。
さて、軸組構造ではN釘を使うことになっていますが、関東地域においては何故かN釘が流通しておらず、CN釘が使われているならいいのですが、NC釘など梱包用などに使われる細い釘が使われ、所定の耐力をもたない家も随分ある様です。
また、今はほとんど釘打ち機を使って圧力を上げて打っているので、釘の「めり込み」の問題があり、釘頭が面材にめり込んでしまって所定の耐力が得られていない場合も多々見受けられます。
「釘」については、公的な検査においても殆ど検査される事がなく、設計者も殆ど意識していないので、木造住宅におけるひとつの盲点とも言えるでしょう。
評価・お礼
とやおた さん
また、ご解答下さりありがとうございます。
以前の集成材の剥離に関する件は、結局、集成材に手放しで安心できるだけの根拠が見いだせなかったので、無垢材を使うHMにお願いすることにしました。良い無垢材を使うHMは大手では無かったので、地元中心で展開している中小規模のHMを検討しています。
本件についてですが、枠組メーカーのホームページを見ていると、同じ構造用合板を使っても軸組では2.5倍にしかならないのに、枠組では3倍の強度があると書かれていましたが、それは認定倍率の問題で、実際の違いは釘の違いだけのように感じたので質問しました。軸組でもCN釘を使えば、計算上には現れない安全ファクターがかかると考えて良いのかも知れないですね。
ご指摘の施工の問題は、最も気になるところです。
今は出来るだけ多くの現場を見せて貰い、ご指摘の釘打ち器の圧力調整など、カタログに現れにくいところを手を抜かず丁寧に施工してくれるHMを探しています。
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この回答の相談
耐力面材を使って耐力壁を作るときに、枠組構造ではCN釘を使うことが前提ですが高い壁倍率が規定されてます。
一方、軸組構造ではN釘でも構わない代わりに、枠組よりも低めの壁倍率が設定されている場合が多… [続きを読む]
とやおたさん (茨城県/38歳/男性)
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