禁句はあるにはありますが

　現在、「うつ」とは言われても、うつ病ではないものもたくさんありますので、あまり一般化はできません。ご友人の場合も文面だけではわかりかねるところです。ただし、うつ病に対する接し方というのは、どのような病理に対しても万能なところがあります。
　ひとつには、このような場合は多く周囲の人が腫れ物に触るような態度で接してしまうことが多いようで、それが本人にとっては心苦しいものになることがあります。かといって軽口を叩くというのも怖いし。当たり障りのない声かけとしては「どう、大変なことない？　あまり無理しないで」
というような言葉ならいいと思います。
　「がんばってね」などと励ますことは禁句と言われています。ほんとうのところは、上手く励ますことができれば問題ありません。けれども、これが一般の人には難しく、やはり禁句としておいたほうがいいというわけです。結局、励ましではなく、ねぎらいですね、大切なのは。
　マラソンでゴールした人を励ますことはしないですよね。走っている最中だって、まだ走れると思うから「がんばれ」というのであって、これ以上走れそうもない人には「もうそんなに無理しないでいいよ」という気持ちになるはずです。こういうイメージを持って接するのもいいかもしれません。
　接し方としてもっとも良い方法は本人に訊くことです。「こう接したほうがいいんじゃないか」と憶測で判断するのでなく、機会があればどういうふうに接してほしいのかを教えてもらうのが確かです。