対象:刑事事件・犯罪
回答数: 1件
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羽柴 駿
弁護士
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なぜ公訴時効があるのか
公訴時効の存在理由については、長い時間がたつと関係者の記憶が薄れてしてしまうこと、遺族の処罰感情が薄れること、犯人も長い逃走生活で苦労してそれなりの報いを受けること、などが挙げられています。
どれもそれなりの意味があるのですが、一般の方々があまり意識しないことで私が特に指摘したいのは、被告人に有利な証拠の散逸です。
たとえば、映画「逃亡者」のように、身に覚えのない罪で指名手配された場合を考えてみて下さい(現実にそんなことあり得ない、とはいえません。えん罪はいつでもあり得るのです。)
自分が無実であることをアリバイで証明しようとするような場合、会社の出勤簿や領収書などで特定の日時の行動を明らかにできることがあります。(私が実際に手がけた刑事事件でも、被告人の一人のアリバイがアルバイト先の出勤簿で証明されたことがあります。)ところが、どの会社でもこういった書類は5年程度で廃棄するのが普通です。
このように、時間がたつことで被告人に有利な証拠も無くなってしまうのです。あなたがそのような立場に立たされないという保障はありません。
時効に限らず、犯罪を憎むあまりこのような現実を忘れて、やたらと重罰化を叫ぶ声が多いのは気になります。もっと現実に即した議論をしてほしいものです。
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この回答の相談
近々公訴時効の廃止の賛否を巡って討論を行います。これに対する世論は賛成が多数を占めるようですが、私は反対だと考えています。
その理由としては、国家権力の範囲と人権擁護の調和を保つ必要性や、司法機関… [続きを読む]
てらすさん
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