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対象:住宅設計・構造

野平 史彦

野平 史彦
建築家

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土壁の透湿性を活かした断熱法について

2008/08/31 23:42

 フラット35を利用していらっしゃるとのことですが、「硬質ウレタンフォームを設置する様に指導されている」というお話からすると、優良住宅取得支援制度の省エネルギー住宅で割増し融資を受けようとしているのでしょうか?
(もし、そうなら、バリアフリーで割増し融資を受ける方が簡単ですし、断熱に対する縛りも緩くて済みますよ。)

 また、「外断熱でグラスウールのみで〜」というのは、元々の仕様がグラスウールボードによる外断熱仕様ということなのでしょうか?
その場合、断熱材と土壁の間はどうなっているのでしょうか?
「せっかくの土壁の吸湿効果が損なわれてしまう」という意味もよく分かりません。
外断熱にすれば、部屋内側とは湿度の行き来は遮断されてしまいますから、土壁は単に屋外の湿度状態に呼応しているにすぎず、室内の湿度調整に有効に働いてくれる訳ではありません。

分からないことが多いので、最後の「土壁の良さを残して断熱材を使用する方法はないでしょうか?」というご質問にお答えします。

 土壁がどういったものを使うのか分かりませんが、最近流行っている「シラスそとん壁」を使うなら、そとん壁とセルロースファイバーの組み合わせで、外壁通気層のいらない本当の「透湿する壁」をつくることができます。
これは、室内で発生した水蒸気が壁体内で結露する事無く断熱材を通り、土壁を透過して外気に排出される、というメカニズムをもつものです。
これを私は「透湿断熱工法」と呼んで、「高気密・高断熱」後の断熱法として実践しているのですが、透湿抵抗が公表されている材料を使って、透湿抵抗理論に基づき、防湿気密シートなし、外壁通気層なし、で内部結露を起こさないという計算結果が得られる高断熱の壁をIV地域で作れるのは、今のところこの組み合わせだけです。

補足

(追記)
 しかし、透湿抵抗理論は高気密・高断熱以前から研究されていながら、材料の透湿性は相対湿度によって変化してしまうことから厳密な計算が難しく、まだ確立された理論となっていないため、一般的には用いられていません。
 しかし、''日本の木造の技術が如何に湿気を溜めないか''、という技術であったと考えると、この透湿抵抗理論から導き出せるものは、''日本の伝統的な家づくりの良さを活かした高断熱住宅が可能なのだ''、ということなのです。

透湿抵抗の考え方については私のHPの住宅断熱基礎講座をご覧下さい。

(9/1に頂いた追記に対して)
こちらからも質問させて下さい。
1)カネライトフォームは外張りになっているのですか、軸組内に充填されているのですか?
2)構造用合板などの面材が外壁に使用されていませんか?
3)外壁通気層はありますか?
お応えを「再質問」にお書き下さい。そうして頂かないと、回答欄が出て来ないのです。

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この回答の相談

土壁と断熱材

住宅・不動産 住宅設計・構造 2008/08/31 17:00

フラット35を利用して土壁の住宅を建設中です。
業者の説明では、「土壁の内側に硬質ウレタンフォームを設置するように指導されている。」ということでしたが、これでは、せっかくの土壁の吸湿効果が損なわれてしまう… [続きを読む]

しま88さん

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