対象:住宅設計・構造
森岡 篤
建築家
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コンクリート打放しの問題点
MARY7さんこんにちは
パルティータ建築工房の森岡です。
コンクリート打放しは、独特の魅力を持ち、迫力があります。
私は、コンクリート打放しが好きで、自宅はコンクリート打放しです。
但し、クライアントに打放しはお勧めしていません、それはコンクリート打放しに問題点:ディメリットがあるからです。
ここでは、大きく2つの問題点をあげます。
1点目は、断熱。
2点目は、仕上としてのコンクリートの耐久性です。
通常、外壁を打放しにする場合は、内断熱とします。
外壁内側を打ち放しとする場合は、外壁を断熱(外断熱)します。
内壁・外壁共コンクリート打放しとは、一般的に、外壁の外側にも内側にも断熱のない、無断熱を意味します。
内外コンクリート打放しの家を設計している有名建築家もおり、その魅力は良くわかりますが、コンクリートは断熱性能がとても低く、夏暑く、冬寒い、ガマン比べのような家になってしまいます。
余程の覚悟がないと、膨大な光熱費となります。
冬暖房すると、外壁は外気温に近く冷たいので、結露に悩まされることになります。
夏涼しく、冬暖かく暮らすには、断熱が必要です。
コンクリートの仕上としての性能。
コンクリートは、それ自体吸湿性があり、濡れると水を吸い、黒くなります。
外壁を打放しにするためには、何らかの仕上が必要です。
透明の皮膜(クリア塗装)を作るか、コンクリートに浸透する浸透性防水剤。
クリア塗装をすれば、雨から守られますが、コンクリート打放しの美しさが失われるので、嫌われます。
いずれも耐用年数があり、改修する必要があります。
浸透性防水剤の耐用年数も大分延びたとは言いますが・・・
昔美しく、話題になった建物が20年、30年経ち、美しさを保てなくなり、塗装(色付き)され、別の建物と見間違えるようにみすぼらしくなった例が数多くあります。
補足
無断熱を解決する方法は、他の方もご指摘していますが、内側は内打ち放しとして構造物を作り、外断熱し、その外側に外仕上(打放し)としてのコンクリートを形成するサンドイッチ工法です。
外断熱として、全面断熱層で覆うことができるので、断熱は解決できます。
この方法でも、仕上としての性能は変わらないので、一定期間ごとの塗装メンテナンスが必要です。
浸透性防水剤で撥水した上、高性能クリア塗装するのが、耐久性が高いと思われますが、塗装メンテナンスすると、人工的な感じになります。
「コンクリート打放しは、ローコスト」というのは、間違いです。
美しい打放しを作るのは、コンクリート断面、被り、配筋、コンクリート材料、型枠材料、それを止めるサポートなど、緻密な計画が必要で、打設時にはジャンカーなどの欠陥を作らないよう、多くの人員とツールが必要です。
そのためには、それなりの費用が必要(安いタイルより高価)となります。
参考にしていただけたら幸です。
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この回答の相談
外壁・内壁ともコンクリート打放仕上げでのデメリット
またその克服方法が知りたいです。
快適な室内環境を保てる工夫・アイディアはありませんか?
※コストはかかってもよいが、ランニングコストはなるべく低く抑えられるように
MARY7さん
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