食後の反応性低血糖か?糖質摂取減らし野菜や肉・魚など豊富に! - 吉野 真人 - 専門家プロファイル

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食後の反応性低血糖か?糖質摂取減らし野菜や肉・魚など豊富に!

2017/07/24 10:25
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昼過ぎから夕方にかけて、甘いものや糖質の多いものを食べたくなるという現象は、私を含む内科医であれば、比較的よく見かける症状です。人によっては午前中、あるいは深夜などに同様の症状を覚える事もあります。この現象は一言でいうと、食後の「反応性低血糖」と考えられます。この種の低血糖は増悪すると、単に甘いものを食べたくなるという事に留まらず、様々な健康面の問題を引き起こすので対策が必要です。

昼過ぎから夕方にかけて甘いものが欲しくなるとすれば、直接的には昼食で摂取した糖質、すなわちご飯やパン、めん類などの炭水化物、あるいは砂糖を用いたデザートや甘い飲み物などにより血糖値が急上昇し、その後2時間から5時間後にかけ、一転して低血糖の状態となっている事が考えられます。これは糖質摂取後の血糖上昇に対して、膵臓からインスリンというホルモンが分泌され、血糖値が低下することによります。
低血糖による症状には個人差がありますが、よくみられる症状としては、異常な空腹感、集中力低下、冷や汗、手のふるえ、立ちくらみ、イライラ感、頭重感、全身倦怠感などが挙げられます。低血糖症状が出現するまでの時間も、食事内容や体質などでバリエーションがあり、早い場合は食後2時間以内、遅い場合で3~4時間後に現れるなど、個人差が大きいのも一つの特徴です。

食事から一定時間が経過した後に、必ず反応性低血糖が現れる訳では決してありません。低血糖を招きやすい食事と、そうでない食事とがあるのです。低血糖を招きやすい食事とは簡単に言うと「糖質の豊富な」食事です。すなわち白米やパン、めん類など炭水化物の多い食事、味付けやデザート、飲み物などで砂糖の使用量の多い食事です。我々が普通にイメージする「日常的な食事」は多くの場合、このような食事かと思います。
それに対して低血糖を起こしにくい食事とは、反対に「糖質の少ない」食事です。ご飯やパン、めん類などの炭水化物が少なく、砂糖の使用量も少ない食事です。それとは対照的にタンパク質や脂質などの割合が多く、ビタミンやミネラル、食物繊維の豊富な食事であれば、血糖値の変化も小さく、必要な栄養素もしっかり摂れます。別の表現をすると「おかずの割合の多い食事」という事になります。

そのような食事内容に於ける炭水化物や糖質の多寡は、単に血糖変動の大小という糖質代謝の要素以外にも、栄養バランスや体調一般に大きな影響をもたらします。炭水化物や糖質の割合の多い食事を続けた場合、どうしてもタンパク質やビタミン、ミネラルなどの摂取量が少な目となってしまいます。それに加えて血糖値の変動が大きくなると、糖質代謝に深く関与するビタミンB群の不足に拍車がかかります。
ビタミンB群の不足は、実に多くの体調不良と関係しています。ビタミンB群はB1、B2、B6、葉酸など全部で8種類ありますが、糖質代謝や脂質代謝、タンパク質代謝全般に関わり、造血や神経機能などにも寄与しています。欠乏症状は多岐にわたり、全身倦怠感、憂うつ感、イライラ感、不眠、音などへの過敏、口内炎、太りやすい、神経痛など、それこそ枚挙に暇がありません。

糖質中心の食事で不足しやすい栄養素は他にも多数ありますが、例えば女性で特に不足しやすいのが鉄です。鉄は赤血球内のヘモグロビンに取り込まれて酸素を全身に運搬するなど多彩な機能があり、肉や魚、緑黄色野菜などに幅広く含まれています。毎月の月経により失われる影響で、若年から中年の女性では、かなりの高率で鉄欠乏が認められます。不足すると息切れ、動悸、神経過敏、脱毛、爪の菲薄化などに見舞われます。
次に亜鉛も不足しやすい栄養素です。亜鉛は解毒過程に不可欠なミネラルであり、タンパク質代謝などにも関係します。不足すると免疫力低下、倦怠感、うつ症状、味覚障害、不妊症などを引き起こします。一方でタンパク質不足も頻度の高い栄養バランス異常です。体組織の大切な構成要素であるタンパク質が不足すると、肌荒れや疲れやすさ、傷が治らない、シワ・たるみ、浮腫などの症状が現れやすくなります。

そのように血糖値の大きな変動と栄養バランスの乱れを招きやすく、体調不良にも繋がりやすい糖質中心の食事は控え、ビタミンやミネラル、タンパク質、食物繊維など「血や肉となる」栄養素の豊富な食事を摂るのが望ましいのですが、具体的にはどのような食生活上の工夫が求められるのでしょうか。糖質を控えるといっても、どのくらい控えるのが正しいのか、正直いうと専門家の間でも意見は様々です。
一方で、糖質のさほど多くない食品、すなわち「おかず」の類には野菜やキノコ類、豆類、海藻類、肉類、魚介類など様々な物がありますが、その中ではどの分野の食品を重点的に食べれば良いのでしょうか。一言でいうと「バランスよく」食べる事が大切です。基本的には野菜やキノコ類、海藻類、豆類などをたっぷり摂取し、肉や魚など動物性食品も適度に食べる事が望まれます。

さて現実に、炭水化物はどのくらいの量を食べるのが適切なのでしょうか。これには様々なグレードがあり、大雑把に分けて、ご飯などを通常よりも2~3割程度減らす、比較的軽度の糖質制限、炭水化物の摂取を1日1~2食のみとし、それ以外は炭水化物を取らない、中等度の糖質制限、さらには一日を通して一切の炭水化物、糖質を摂らないという、非常に厳格な糖質制限とがあります。
但し我々現代人は、炭水化物や糖質の多い食事に慣れ切っており、急激に糖質の摂取量を減らしてしまうと、当面は低血糖に見舞われて体調を崩す事が実際には多くなります。元々人間は糖質を摂らずとも、脂質やタンパク質からエネルギーを得る能力を持ち合わせていますが、糖質に慣れ親しんでいる現代人は、この能力が鈍ってしまっているのです。従って、糖質を徐々に減らしていく方が現実的と言えます。

具体的な工夫としては、ご飯やパンの量を半分くらいに減らし、代わりに野菜や肉、魚などの副食を増やす事から始めましょう。この程度ならば無理ない糖質制限と言えます。慣れてきたら、例えば昼食は「炭水化物抜き」に挑戦してみます。もし低血糖気味になったら、小さいおにぎりなどで糖質を少量、補充するのも良いでしょう。間食はお菓子を極力避け、果物やナッツ類、枝豆、ゆで卵などが、血糖変動も少なく有用です。
ここで果物について補足します。果物には糖質として「果糖」が豊富に含まれており、血糖上昇や肥満の原因となるのではないか、との不安も聞かれますが、極端に多量に食べない限り大丈夫です。果糖はインスリン分泌と無関係で、血糖変動への影響は少ないのです。ビタミン類など有効成分も多く、むしろお勧めです。但し日本の果物は少々甘過ぎる傾向があり、肥満予防のため適量に留めておいた方が良さそうです。

なお詳しくは、私の他のQ&Aやコラム、それに私のホームページ(2本あります)のブログに多数掲載してあります。是非ご参考になさって下さい。

蒲田よしのクリニック(内科)
吉野 真人
〒144-0052 東京都大田区蒲田5-27-10 蒲田TKビル1階
Tel : 03-6424-7071 FAX : 03-6424-7072
http://www.kamatayoshino-cl.jp/ (公式HP)
http://www.yoshino-radon.com/ (ガン専門HP)

糖質制限
代謝
バランス
栄養
食事

評価・お礼

M。(えむまる) さん

2017/07/24 18:50

ありがとうございます。
徐々に食事を変えていこうと思います。

回答専門家

吉野 真人
吉野 真人
( 東京都 / 医師(精神科) )
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この回答の相談

糖分欲求

美容・ファッション ダイエット 2017/07/12 17:32

こんにちは。
質問失礼致します。

高校3年女子です。

最近、午後(15:00-19:00頃)に糖分が物凄く欲しくなります。
お腹が空いたのではないのですが、甘いものが食べたくて勉強に集中できなくなります。

部活は… [続きを読む]

M。(えむまる)さん (埼玉県/17歳/女性)

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