お答えします。

Ignacio2014さん、こんにちは。

ご存知のように2015年5月9日、シャープが経営再建策の一環として、資本金をそれまでの1218億円から「1億円」にする減資を計画していることが報じられました。
しかし5月14日の正式発表では、減資後の資本金は「5億円」に修正されており、そのまま6月23日の株主総会で可決されました。

どちらにしても大幅な減資には違いないのですが、とりわけ最初の報道の際には「1億円」という額が、「中小企業」に該当することから注目を集めました。

この「中小企業」は、その名の通り資本金や従業員数が少ない会社のことです。
我が国の企業の99.7％はこの中小企業に該当します。
我が国の経済を支える存在である一方で、経営資源が限られることから、不利なこともあり、税制や法律上の様々な優遇や支援が与えられています。
企業が中小企業として扱う基準は制度により異なりますが、一般には業種別に定められた資本金等の額や従業員の数で決定します。

今回のシャープの減資の大きな目的は、液晶テレビや太陽電池事業等の不振により被った巨額の累積損失を解消するためです。
その点は減資後の金額が「1億円」でも「5億円」でも同じですが、当時の報道によれば、別に中小企業としての税制上の優遇を受けることなども意図されており、その点で批判を受けて変更したといわれています。
この「税制上の優遇」とは、具体的には以下の２つです。

（１）繰越欠損金の計上の制限がなくなる。
ある期間に発生した損失は、繰越欠損金として翌期以降の利益と相殺することができます。これにより税金を低く抑えられます。
大企業ではこの繰り越せる金額に制限があり、2015年の税制改正によりこの制限は今後、段階的に厳しくなっていくことになっています。

（２）外形標準課税の対象外となる。
外形標準課税は大企業にのみ課税される税金です。

ここでの「大企業」は２つとも資本金1億円を超える法人のことです。ですので、資本金を1億円にすれば、対象外となります。
いずれも規模に応じた利益を上げている大企業ならばそのために減資するほどのメリットになりませんが、赤字が予想され少しでも収支をよくしたい状況の場合には、メリットであると言えるかもしれません。

一方、税制以外でも国や自治体は中小企業をサポートするために様々な施策を施行しており、毎年予算を設定して補助金や専門家派遣などの支援制度を行っています。
シャープがこれらの制度の活用までを視野に入れていたかはわかりませんが、一般的な中小企業は積極的に活用していくべきでしょう。

いかがでしたでしょうか？
Ignacio2014さんのご成功をお祈りします。