パナソニックの樹脂材と杉の浮造りとの共演に実は戸惑っています

パナソニックの樹脂材と杉の浮造りとの共演に実は戸惑っています。
お住まいはハウスメーカーのつくる軽い感じのものでしょうか、それとも地元の工務店がつくる瓦屋根の民家風のものでしょうか。想像ができません。

スタバのような落ち着いたインテリアというイメージもしっかり持たれているのでトータルコーディネートの重要性もわかっておられるように思うのですが、とてもユニークな発想であること、とのギャップを感じてしまいます。

ご質問に簡単に答えるとすると、パナソニックの建具やドアや枠は杉の地の色に合わせて中間色にするか、木目に合わせて若干濃い目がいいということになるのでしょうが、少し深くお答えしようと思います。


まずは確認したいのですが、
パナソニックの建具やドア、枠材は木製ではなく、表面に樹脂シートが貼られたものであることはご承知でしょうか。木目は印刷されているものです。また、床材は木質系の基材の上に突き板といって0.5ｍｍ程度の薄い木のシートが貼ってあるものであることはご承知でしょうか。

ということは色を合わせればよいという問題ではなく、素材をうまく合わせてゆくということが必要になります。木目の模様の入った樹脂のつるっとした表面と、自然な杉の表面とは調和しないように思います。特に浮造りですからなお一層違いが際立ちます。どちらも、自然な感じの落ち着いたインテリアをディスターブするように感じられます。

もちろん、パナソニックの樹脂シート貼り扉や木枠などより、杉などの自然の木の方が断然いいことは言うまでもありません。

ただ、床だけ際立っていても落ち着かないものです。

そうすると、両者が、つまり人工材と自然材が歩み寄る必要があります。浮造りなどという木目を強調したものではなく、自然な杉の表情を生かし、少しコストを下げた一般的な杉として、その余ったコストで巾木も木にし、もう少しコストに余裕が出れば、思い切って建具枠や建具自体も杉にされたらいかがでしょうか。杉がお気に入りであれば、全体が白いインテリアの中に針葉樹のやわらかな色あいが連なり、いい感じの落ち着いた雰囲気になるのではないでしょうか。

このように考えてゆくと、つまり一つの物語として考えてゆくと、アルミサッシも杉に合う自然な素材としてステン色が合うように思えてきます。玄関の上り框は？（もちろんパナソニックなど使わないでくださいね）玄関の床の仕上げは？玄関の扉は？、、、、というように物語を描いていけるはずです。
私たち建築家はいつもこういうように物語を描きて一つのイメージを作り上げてゆきます。

住まいとは人の感性や哲学が現れてくるものだと思います。ぜひ、思いめぐらせてみてください。
ご参考になれば幸いです。

島崎義治/島崎義治建築設計事務所
2012,13グッドデザイン賞受賞
http://architect-studio.com