対象:住宅設計・構造
伊藤 一郎
建築家
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日差しのコントロールと街並みを考える
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東京で設計事務所をしております、伊藤と申します。
ご質問拝見しました。
「南北に流れる切妻」とは、屋根の一番高い部分である「棟」が東西に向き、北と南にそれぞれ葺き下ろした屋根ということでよろしければ、結論としては「あり」だとお答えします。
日本の四季を考えますと、夏に高いところから差す暑い日差しはなるべく遮りたく、冬に低いところから差しこむ暖かな日差しは家の中まで取り込みたいので、
南面にはある程度大きな窓を設けたくなり、そこにはある程度深い庇が出ていることが望ましいのです。
そのためには南に向かって屋根が葺き下りているのはとても合理的なのです。
もちろん屋根は東西に葺き下ろしておいて、南面の日除けのための庇は別途設けることでも良いのですが。
そういった考えとは別に、街並みの観点から、道路から見た時の屋根の向きと建物への入り方を考えるということもあります。
切妻の場合、道路側に屋根の山型を見せておいてそちらから建物に入るのを「妻入り」といい、道路側に軒先が水平になる側を見せておいてそちらから建物に入るのを「平入り」といいます。
古い街道筋などで、妻入りか平入かで統一されている美しい街並みが多く残っています。
参考までに画像を添付しますが、【画像1】が兵庫県篠山の妻入りの街並み、【画像2】が愛知県犬山の平入の街並みです。
地域によっては建て方の習慣がある場合もあるかもしれません。
住宅地でしたらここまではっきりした屋根の統一感はないかもしれませんが、道路側から近隣の建物を見て統一感があるようでしたら、是非それに合わせるのが良いでしょう。
北側斜線や道路斜線など法的な高さ規制によって、屋根形状が大きく制限されることもありますので、その点は担当の設計者にご確認下さい。
以上、ご参考になれば幸いです。
評価・お礼
mkt0629 さん
2014/08/10 20:24
とても迅速に、尚且つ丁寧にアドバイス下さり助かりました。
無料にも関わらずこんなにもしていただき恐縮です(笑)
が、いただいたコメントをもとに家づくりの参考にさせていただきます。
この度は本当にありがとうございました。
伊藤 一郎
2014/08/11 09:48
高い評価を有難うございます。
ご参考になるようでしたら嬉しいです。
素敵なお住まいが実現できますようにお祈り申し上げます。
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この回答の相談
初歩的な質問です。ありかなしか…でお聞かせ下さい。
北側道路の敷地に南北に流れる切妻の屋根っておかしいでしょうか?
普通は東西に流れる屋根が一般的ですよね。
mkt0629さん (兵庫県/40歳/女性)
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