歯性上顎洞炎（蓄膿症）による頭痛の可能性があります。

　初めまして、つくばオーラルケアクリニックの飯田です。

　鼻や目の周囲の顎骨の中には、副鼻腔と呼ばれる骨の空洞がいくつか存在します。副鼻腔は鼻と繋がっており、アレルギーや風邪をひいて鼻炎を起こすと副鼻腔にも鼻水が溜まったり、炎症が起こりますが、これにより頭重感や頭痛を生じることがよくあります。


　また、上の奥歯の根の先は解剖学的に副鼻腔の中でも最も大きい上顎洞と近接しています。従って上の歯の虫歯を放置すると、歯の中をバイ菌が進み根っこの周囲に膿んだ病巣を形成（＝根尖性歯周炎）し、さらに鼻の方へバイ菌が侵入して、深刻な鼻炎や蓄膿症（ちくのう症）を生じることがよくあります。これを「歯性上顎洞炎」と言います。

　以前に歯が痛くなったり熱が出たのは歯性上顎洞炎だったものと考えられます。その後、歯の治療をした際の担当歯科医のコメントで、


「ちゃんととれたのは一つだけで、残り二つは奥すぎて取れない。薬を入れておく・・・」


　というのは、要するに不完全な治療しかできなかったという意味です。
　根の周囲にバイ菌が残っており炎症が再燃した可能性があります。また、歯の治療が上手くいって根の周囲にバイ菌がいなくなっていても、副鼻腔の構造は複雑なので鼻の中にバイ菌が残っていて炎症が再燃した可能性もあります。

　本当に「上顎洞炎（副鼻腔炎）が再燃しているか？」や「歯と関係があるのか？」はレントゲン写真やX線CTで診断できます。早めに口腔外科もしくは耳鼻咽喉科を受診していただければと思います。お大事になさいませ。


※歯性上顎洞炎については以前に掲載させていただいたコラムがございますので、宜しければご参考までにお読みいただければと思います。http://profile.ne.jp/pf/yiida/c/c-123310/

※「花粉症で歯痛に…歯と鼻の意外な関係」
http://jijico.mbp-japan.com/2014/03/12/articles8146.html


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