対象:住宅設計・構造
上村 美智夫
建築家
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「斜面の土地の活用方法」について
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はじめまして、PAO建築設計の上村です。
質問1について
駐車場とエレベーターを設置することは可能であろうと思います。屋根のある駐車場は建築物扱いとなります。また、一般的に多く見られるようなエレベーターであれば、建築物になると思います。
屋根のある駐車場でも、容積率の算定においては、延床面積の1/5までは算入されません。(緩和基準)
質問2について
ご希望のプール・温室・露天風呂などは、すべて、屋根があれば建築物扱いとなります。
あまり大きくない等、軽微な温室は建築物扱いとはならないようです。(詳細は確認機関等で確かめる必要があります。)
手入れをあまり必要としない庭とすることも可能です。
質問3について
熱帯魚用の大きな水槽(1~3畳位)を作ることは可能です。重量が大きくなりますが、それに見合った強度を持たせますので可能です。
壁一面の水槽など、室内のインテリアの一部として、部屋全体をデザインすれば、素敵な空間となり、また、落ち着きや、癒しの効果もありそうですね。ぜひ実現させてください。
井戸を掘る件は、私有地で冷水であれば基本的には問題ないようですが、地下に地下鉄等が通っているなど、規制がある場合もあるようです。行政の窓口等で念のため、可能かどうか確認しておいた方が良いでしょう。
質問4について
一般的な木造2階建て住宅程度のみの規模であれば、地域の工務店でも可能と思われますが、斜面を切り崩して、地盤を作り、それに合わせて住宅等を作って行く等、各方面の総合力も必要になるようにも思われます。その際はビル等の大きな物件も扱う、建築会社の方が、よりふさわしいとも思われます。
まだ計画案も決まっていない、最初の段階で建築会社(設計・施工)を決めるよりかは、設計と建築(施工会社)を分けて考えることも、一般的です。
敷地の特徴、個性、メリット・デメリット等を十分に把握した上で、建て主の希望・要望に沿った、その土地の敷地環境を生かした計画案を、設計者がまず最初に作成し、その工事内容に相応しいと思われる施工会社から、工事金額の見積もりを取り、その金額と共に、設計者と相談して施工会社を決める方法が、もっとも安心できる、確かな進め方のひとつと言われています。
このこともぜひ検討してみては、如何でしょうか。
質問5について
総工事費2億円位とのことですが、この範囲内に収めることは、建て主の理解・協力も不可欠ですが、可能だと思われます。
計画を進めてゆくに当たっては、疑問や不安は大きなもので、避けては通れない、つきものといってもよいでしょう。しかし、一生に一度あるか無いかの貴重な時間かもしれません。どうぞ楽しみながら、乗り切って頂きたいと思います。
最も大切なことは、その敷地の環境や特性を生かして、建て主の希望・要望を盛り込んだ計画案を作成することではないでしょうか。更に、工事予算の適切は配分・バランス感覚も必要です。ある工事に多くの予算を必要とし、他の部分にそのしわ寄せが及ぶなら、別の方法を考えなければならないかも知れません。
なんでも相談でき、信頼できる設計者と共に、計画を進めては如何でしょうか。
参考までに、傾斜地に関する例として。
・京都の清水寺の舞台(傾斜地や崖地に木組みで床を作る工法を、懸造りといいます)
清水寺ホームページ/本堂と清水の舞台
http://www.kiyomizudera.or.jp/info/index.html
・三仏寺/投入堂(懸造り、PAO建築設計ホームページ)
http://www2.gol.com/users/paoarchi/Gallery_Pao/3F_data/sanbutuji.html
・古典建築探訪_三仏寺 投入堂 (PAO建築設計ブログ/Pao's Blog)
http://pao-architects.seesaa.net/article/373234745.html
・懸造りをモチィーフにした建物として、「高山屋台会館」、「大塚文庫」
(PAO建築設計ホームページ内/(有)大江 宏建築事務所 勤務時担当)
http://www2.gol.com/users/paoarchi/jimu-gaiyou.html
少しでも参考になれば幸いです。
評価・お礼
haru_aka さん
2014/04/17 20:35
早速の回答ありがとうございます。
駐車場部分は山にトンネルをくり抜くようなイメージでできないかな?と思っております。
また、下に地下鉄は走っていないと思います。
設計・施工で同じ会社にお願いすると思っておりました。分けてもいいんですね。
お寺さんの設計思想も参考にさせていただきます。
ありがとうございます。
上村 美智夫
2014/04/18 11:55
返信ありがとうございました。
崖や傾斜地など、一般的には不利と思われる点を、知恵と工夫で他では見られない、個性的な魅力にまで高めているところが、今回のご質問の方向性に、少しは参考になるのではないかと思いました。
高低差や周囲の様子は具体的には分かりませんが、道路沿いにこの敷地にアプローチする際、建物の屋根などが、木々の間等からチラリと一瞬でも見えるカ所が、あるのではないかと想像したりします。
「風景になる」ということも、建物の魅力のひとつになると思います。
傾斜地ということで、更に思い出した事がありましたので、蛇足になりますが、下記に紹介しておきます。
少しでも計画の方向性として、参考になれば幸いです。
フランス人の建築家に、ル コルビュジエ(1887~1965)という人がいます。大変著名な建築家として知られています。
フランスのリヨン郊外、美しい風景の傾斜地に建つ、「ラ トゥーレットの修道院」を訪れたときの印象を、ブログで紹介しています。
・ラ トゥーレットの修道院 #03 南側の外観(PAO建築設計ブログ/Pao's Blog)
http://pao-architects.seesaa.net/archives/201206-1.html
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都内の土地(約600平米)なのですがぼた山の斜面の様な所に土地がありまして、一種低層建ぺい率・容積率40%・80%となっております。
現状、道路の入り口(幅4.9m)から急な斜面を登らないと家にたど… [続きを読む]
haru_akaさん (東京都/36歳/男性)
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