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対象:住宅・不動産トラブル

藤森 哲也 専門家

藤森 哲也
不動産コンサルタント

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他人の土地での建築について

2013/08/17 16:26

はじめまして、不動産コンサルティング会社、アドキャストの藤森と申します。

ご質問いただきました件ですが、他人の土地上に新築することは可能ですし、

その土地所有者が親戚等でない赤の他人でも、無償・有償どちらの借り方でも

建築に問題はありません。



但し、先に回答されてらっしゃる方の言う通り、無償で借りる場合は「使用貸借」、

有償で借りる場合は「賃貸借」として扱われ、無償か有償かで、土地を借りる際に関係して

くる法律が変わってくることに注意が必要です。



この「土地使用貸借」と「賃貸借」で借主の権利が全く違うからです。


賃貸借(有償)なら借地借家法が適用されます。

使用貸借(無償)での借主は、賃貸借(有償)と比べ、

土地を借る権利(保護される部分)において、

弱い立場となることが多いのです。




まず、使用貸借(無償)は借主が亡くなってしまうと効力を失います。

当然、権利は相続されないので、6510mi様の家族(配偶者やお子様)が

その土地を借り続ける権利はなくなります。賃貸借(有償)の場合は、

その土地を借りる権利が一般の相続財産と同じように、相続人に承継

されます。



また、貸借の終了期間が定まっていればそれに従いますが、取り決めがない場合、

使用貸借(無償)は原則、土地所有者や相続人から立ち退きを求められた場合、

即時返却する必要がある弱い立場になります。



土地の貸借の場合は別の見解もあり、建物を建てる目的での土地使用貸借では、

建物がしっかりと現存している間、契約の目的に従った使用収益が終了していない

ので、建物が利用できる期間は借り続けられるとの考えもあるようですが、それが

どの程度対抗要件となるかは分かりません。


また使用貸借契約は、貸主と借主間の信頼関係に基礎をおく契約ですから、

離婚や看護の放棄など、当事者間の信頼関係が破綻していると、

解約が認められ、短い期間でも建物収去・土地明渡しを認めた判例も

あるようです。

※賃貸借の場合でも、土地に抵当権や根抵当権などが設定されている時は、実行され
土地所有者が変わった際に立ち退きを要求に対抗できないので注意が必要です。



ちなみに、有償か無償かの線引きは、単に金銭を支払っているかどうかではありません。

権利金の授受の慣習がある地域であれば権利金、そして地代の支払いです。



税務上、固定資産税相当額以下の金銭を負担していたとしても、

それは実費負担であり使用貸借(無償)扱いした判例があります。

固定資産税を負担していたからと、賃借権による権利の主張はできません。


また、権利金授受の慣習がある地域で、月々の地代支払いのみ(権利金の授受がなかった)

の場合、扱いは賃貸借(有償)となります。

その上で、支払っていない権利金分が、地主から借り主に贈与しものとして

贈与税(認定課税)が課される場合があります。



個人間、特に身内や親子間では、法人税の節税等の要素が少ないので、

権利金の授受や認定課税(贈与税)の心配がない使用貸借(無償)で土地を

使用することが多いのかと思いますが、今回の場合、6510mi様と土地

所有者(義母の内縁の夫)の関係から、縁起の良くない話にはなりますが、

・将来的に義母と土地所有者が別れてしまう可能性がある

・そのことが原因で6510mi様との関係が壊れる可能性がある

・上記の状況から、明け渡しを求められ裁判でも土地所有者に有利では住まいに困る

・万一、6510mi様が亡くなり使用貸借が終了すると、遺族が住まいに困る可能性がある


などの、土地を借りる権利に使用貸借(無償)より強い立場:賃貸借(有償)が必要な状況

ではないかも合わせて検討し、使用貸借(無償)・賃貸借(有償)の関係は何の支払いをもって

線引きされるかにも注意する必要があるかと思います。



契約書の作成についても、ローン審査の際金融機関から求められると思いますし、

後々、土地使用期間や「使用貸借」なのか「賃貸借」なのか等、契約内容を明確に

証明できるようにしておく意味からも必要と思います。


土地所有者はこれから6510mi様の義母様と籍を入れようという関係なので、

6510mi様とも良い関係を築こうと考えての、良心からの提案(家族になるから

無償で良い等)と思いますから、権利の強さ弱さで契約内容の話をするのは気が

引けるところかと察します。実際、無償なら経済的に助かったり、その分貯蓄等も

できると思います。

但し、今の状況・関係だけで判断せず、将来的な関係や状況から影響してくることが、

契約内容や経済状況にどのような分岐点を作っていくか、住まいの確保やその為の

資金計画等は問題ないかを考慮して判断されますと良いかと思います。



以上、ご参考になりましたでしょうか。

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藤森 哲也
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売ってしまえば終わり・・・になりがちな不動産業界の現状に疑問を抱き、不動産購入には欠かせないお金の勉強をスタート。FP資格を取得。住宅購入に向けての資金計画、購入後の人生設計までトータルにサポートする「一生涯のパートナー」を目指しています。

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この回答の相談

他人の土地に新築は建てられますか?

住宅・不動産 住宅・不動産トラブル 2013/08/09 15:25

妻の母(義母)の内縁の夫の所有する土地に新築を計画中です。

義母も相手もまもなく定年を向かえるので、新築の際には私が住宅ローンを組んで私達夫婦が住んではどうかと提案されました。
… [続きを読む]

5610miさん (東京都/37歳/男性)

このQ&Aの回答

使用貸借 小松原 敬(建築家) 2013/08/09 16:22

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