対象:住宅設備
島崎 義治
建築家
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その目的と24時間換気との関係に注意です
全館空調を採用されるとのことで共感を覚え、回答させていただきます。私も全館空調を行う住宅を設計中です。オープンで開放的な住まいを設計するため、全館空調を提案しているところです。
ただ、
ハウスメーカーの提示する全館空調には取り込んだ外気を処理(冷暖房)して全館に供給する本来の全館空調と、エアコンのように冷暖房だけを行い全館に供給し、換気設備を別に補完する擬似的な全館空調(本来は空調とは言えないのですが)とがあるようですのでご注意ください。もちろん、前者でないと意味がありません。
この全館空調は、
これまでのような各部屋にエアコンを置けばいいというような安易な考えで行うものではなく、建物全体の設備システムをどのように考えるかという重要な課題を持っています。
そのため、
大手ハウスメーカーが多数の物件の一つとして標準的に考えられるのではなく、トトゴン様の特別の1件として考えていただく必要があると思います。営業の方に十分注文を出し、納得をした上で契約された方がいいでしょう。
その点を理解いただいた上で、
浴室乾燥暖房機を採用するかしないかを決める必要があります。また、全館空調を採用していない周りの人たちに聞いても参考にはなりにくいのではないかと思います。設備の基本的な考え方が異なるのですから。
一つ目の課題は、
浴室乾燥暖房の目的に関してです。それは、
1)人に対する快適性、
2)雨天時などの洗濯物の乾燥、
3)浴室自体の乾燥、ではないかと思います。
1)については全館空調しているので必要ないと思います。2)ついてはトトゴン様のご家族が浴室で洗濯物を乾燥させるかどうかによります。閉鎖された場所で干すことを嫌う方も多く、これは嗜好によって大きく異なると思います。3)については全館空調で対応できるものと言えますが、急速に乾燥させたいとか、中間期に全館空調をストップするような場合にどのように必要とするかによって異なると思います。2)と3)は嗜好によって異なりますのでよくお考えください。
ただ、必要ないと判断されたのであれば、外部や外壁に設置されます屋外機や排水管、冷媒管などが、メンテナンスや外壁の汚れ、漏水や見苦しさの元凶となりますので取りやめられた方がいいと思います。
(回答補足に続きます)
補足
もう1つの課題は、
24時間換気との関係です。浴室乾燥暖房機が24時間換気対応となっているため、あまり使わない場合でも標準仕様として設置されているのだと思われます。ただ、全館空調を採用する場合はそれ自身で24時間換気の対応をしますので、それとは異なる別の24時間換気設備は必要ありませんし、むしろ設置してはいけないのではないかと考えています。洗面室やWCも24時間換気設備が設置されている場合が多いですので同じように要注意です。
この点は私もまだ研究中ですが、空調システムのバランスが壊れてしまうのではないかと考え始めているところです。簡単なように思われるかもしれませんが、空気のバランスが壊れると冷暖房効果が少なくなるばかりではなく、空気の通過音が騒音となる場合もあるのです。ですから、キッチンのレンジフードさえ注意する必要があるように感じています。
全館空調はとても快適なものですが、十分に専門的知識によって設計されないといけないように思います。ご参考になりましたでしょうか。
また、方向を決定されたらその理由も含めて結果をお教えいただけませんでしょうか。ご協力頂けたらありがたいです。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
島崎義治/島崎義治建築設計事務所
2012グッドデザイン賞を受賞しました
http://architect-studio.com
(現在のポイント:-pt)
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トトゴンさん (東京都/37歳/男性)
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