対象:企業法務
鈴木 祥平
弁護士
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破産した場合の財産の処分について
会社の破産手続というのは、裁判所が破産管財人を選任した上で、破産管財人が会社に残っている財産をすべて売却して現金化して、その現金を原資に債権者に債権額に応じて公平に弁済をして清算をするというものです。
1.会社が破産した場合の会社が保有する建物の処分について
さて、破産管財人の一存で建物の売却ができるのかどうかという点ですが、破産管財人が売却をする場合には、わざわざ競売にかける必要はありません。破産管財人としては、なるべく債権者に多くの配当をするために高く売るという責務がありますが、破産管財人の判断で売却先を決めることができます。但し、破産管財人が不動産を任意売却する場合には、「裁判所の許可」を必要とします(破産法78条2項1号)これは、破産管財人の売却について裁判所がチェックをするという趣旨で行われているものです。
2.地権者全員と話ができていない場合について
まず、誤解があるのが土地の地権者全員の承諾が必要であるとしている点です。建物を売却した場合には、建物には借地権が付いていますから、借地権付建物として買主に移転します。
借地権が移転するためには、原則として地主の許可が必要です。借地人の名義変更料として一定の金額を支払うというのが通常です。それでも、地主が名義変更(借地権の移転の承諾をしない)に応じない場合は「借地非訟事件の裁判」により地主の承諾に代わる裁判所による「借地権譲渡の許可」を取ります。そして、その許可が得られる場合も、「名義変更料」とかは払えと裁判所が借地人に命じることがあります。「何もかも払いたくないから裁判で勝つんだ」なんて理屈は通らず、裁判所も10パーセントぐらいの支払いを命ずることがあります。破産管財人としても円滑に建物を売却して現金化したいでしょうから、特定の買主に売却する場合には地権者が承諾をしないというケースでは、地権者の承諾を得られる相手に売ろうとするのではないでしょうか。
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この回答の相談
2点質問がございます。
1.会社が自己破産した場合の、会社が保有する建物の処分について
破産管財人が財産の回収を行っていくことになると思うのですが、仮にそ… [続きを読む]
scottieさん (愛知県/32歳/男性)
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